0歳から山に連れていきました!
長年登山の経験を積んだ人も、赤ちゃんと山登りをするとなれば「大丈夫かな!?」と心配になるのが普通です。私自身、手探りで、体当たりで親子登山をしてきました。「いずれは我が子と」と思いながらチャンスを作れずにいる、早く一緒に行きたくてうずうずしている。そんな山好きパパママに向けて、私の経験を紹介します。
親子で野山に出かけることは子にとっても親にとっても幸せだと思います。賛否はあるかもしれませんが、とくに子どもが0歳の場合は赤ちゃんよりも親にとってのメリットがとても大きいというのが私の実感。山の中で四季を感じ触れたり、体を動かして心地よく疲労したり、お弁当を食べたりする時間が、仕事だ子育てだと慌ただしく過ごす毎日に新鮮でワクワクする風を吹き込んでくれます。
山が好きな人は親になっても山が好きです。私は母になったことで、小さな子ども連れでも行ける近郊の低山に通う日々となりましたが、おかげで新たな山の魅力にたくさん気づけました。
低くても山頂に行けば「登山」。ハイキングと表現した方が適切でしょうが、そこは山おんなの見栄と思って目をつぶってください!
0歳児との簡単な登山なら抱っこ紐もOK
0歳児との登山で特筆すべきことは、抱っこ紐が使えること。登山専用のチャイルドキャリー(背負子)には生後6か月頃から使用できるものもありますが、実際は赤ちゃんが規定の体重より小さいなどですぐ使えないことが多いです。
ロープウェイを利用する登山や、遊歩道などが整備された山ならば、抱っこ紐は有用なアイテムだと思います。大きなチャイルドキャリーは背負っているだけで目立ち視線を集めてしまうので、注目されたくないパパママも安心ですよ。
私の長女は生後4か月になってすぐ抱っこ紐で山に連れられていくようになり、チャイルドキャリーを使って本格的に登り始めたのは生後9か月からでした。
どんな抱っこ紐が登山向き?
私は、パパが背負ってもかっこいいベビービョルンの「ONE」を使っています。
「抱っこ紐」と表現していますが、おんぶができる抱っこ紐を使用し、おんぶができる月齢になったら必ずおんぶで歩きます。前向き抱っこは足元が見えづらく、親の腰を痛めやすいです。ストレスなくおんぶができる抱っこ紐を購入しておくことは、わりと重要項目です。
ONEは、親と赤ちゃんのあいだに1枚生地があって袋状になるため、おんぶするのが簡単で、着脱の際に赤ちゃんを落とす危険が少なく安全です。コートなどを着ていても問題なく使用でき、メッシュ生地のものは涼しく洗濯しやすいです!
ただし、抱っこ紐では危険を感じる場面がたくさんあることは事実。足元の不安定な山道ではリスクが高すぎますし、油断してしりもちをついてしまう、なども避けなければならないです。草木が茂る藪っぽい道で赤ちゃんの手足を傷つけることがないよう、しっかり道刈り(草刈り)されていることも大切です。
地元で愛されている人気の山とルートへ行こう!
道刈りされていないような心配をしなくてすむのは、ズバリ人気の山、地域を代表する山です。登る際にはなるべくポピュラーでかつ短時間で登れるルートを選びます。ロープウェイやケーブルカー等のある山を探し、積極的に使うのも手です!
地元に愛される、自慢の自然や景色が楽しめる山――例えば関東なら定番中の定番ですが、高尾山599m(東京都八王子市)はアクセスもよく0歳児連れにうってつけでしょう。私が通っているのは金華山329m(岐阜県岐阜市)です。標高は低いですが登山らしい登山が楽しめ、山頂のみたらし団子やソフトクリーム、リス村といったご褒美が毎回モチベーションを上げてくれます。
観光スポットになっている山は、子どもが小さいうちは何かとお世話になります。通ううちに愛着がわき、季節を変え、ルートを変えて登れば飽きないもの。「こんないいところがあったんだ!」という山が必ずあります。
0歳児連れ登山を実行!計画のポイントは?
日本アルプスに通うような登山をしていた人は、赤ちゃんができて初めて地元の山に目を向けることも多い!? 赤ちゃんに無理のない登山計画について、私の成功失敗から次の点を考えました。
・山の高さや距離、行動時間
初めての登山は、山頂の標高1200m以下、標高差300m以下、コースタイム2時間以下から計画し、その結果を踏まえてステップアップすることを一例として挙げます。赤ちゃんのお世話(授乳やミルク、おむつ替え等)には予想以上に時間がかかるものですし、人気のある山は混雑しがち。また高い山はそれだけ「何かあったときに町に戻りづらい」です。無理せずほどほどの山から始めます。
・誰と登るか
赤ちゃんというリスクを抱えて登るため、家族や友人とのグループ登山を心がけます。もし赤ちゃんとの登山に慣れて赤ちゃんと二人で行く場合は、人の多い山が安心。
・ロープウェイの高低差
ロープウェイ等に乗る場合は、高低差について考えておきます。高尾山のケーブルカーは高低差271m、金華山のロープウェイは高低差255mです。しかし日本一の高低差を誇る駒ヶ岳ロープウェイでは高低差950mもあって、たどり着く千畳敷駅は標高2611m。健康な大人でも高山病になる恐れのある高さです。駒ヶ岳ロープウェイは極端な例ですが、心肺機能が未発達の赤ちゃんにとって、上下移動や標高に無理がないか考えたうえで計画できるといいですね。
・季節
春と秋ならば快適に過ごせる日が多く、登山に最適です(地域や標高にもよりますが)。夏と冬の工夫するポイントを挙げました。
夏の登山
真夏は高原にある山がおすすめ。ただし高原は笹原になっているなど樹林が少ないところも多いため、熱中症予防や日焼け対策が必須です。低山でも木陰が多ければ涼しく過ごせることもあります。無理せずロープウェイなどで省力化して遊ぶことも大事!
冬の登山
雪のないところであれば、ダウンなどのカバーオールを着せると真冬でもあたたかく行動できます。カバーオールはフリース素材のものより、中綿の入っているタイプが、防風と防寒の両面からおすすめ。
赤ちゃんの食事は青空授乳?
0歳では多くの時期、赤ちゃんへの授乳やミルクが必要になります。ミルクの場合は熱湯を入れた魔法瓶や哺乳瓶などのセットが必要で、荷物は増えますが通常のお出かけと同じ。気になるのは母乳育児の場合です。
屋外で授乳することを「青空授乳」「青空おっぱい」と呼ぶなんて、私も産後に初めて知りました。たまたま山に授乳室などの施設があってタイミングよく飲ませられればベストですが、赤ちゃんのご機嫌は思い描いたシナリオ通りにはいきません。つまり母乳育児の場合は、青空授乳を覚悟します。
私は山のてっぺんの低木のかげ、川のほとり、山中のあずまやなどで人目をちょっと気にして授乳しました! 出産すると母親はこうしたことにも慣れてしまうので不思議です。男性には想像しづらいことかもしれませんが、授乳に適した機能のある衣類やストールなどを使うと周囲から気づかれにくくできます。
さわやかな風吹く青い空の下、赤ちゃんの体温で汗ばみながらおっぱいをするのも0歳特有のいい思い出です(笑)。
困難も失敗も思い出に
慎重に計画して山に行ってみても、「ひどく泣いてしまい周りの視線がつらかった」「予想以上に時間がかかって夫婦とも疲れ果てた」など、うまくいかないこともあります。そのときは失敗したなと思うかもしれませんが、時間がたてばそれすらも唯一無二の思い出になります。家族で楽しんでくださいね!
↓使用しているチャイルドキャリー、オスプレー「ポコAGシリーズ」はこちらで紹介。