マダニに噛まれたくはないけれど、使ってみたい! ダニ取り「Tick Twister]を入手!
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    2019.10.13

    マダニに噛まれたくはないけれど、使ってみたい! ダニ取り「Tick Twister]を入手!

    私が書きました!
    アウトドアライター
    高橋庄太郎
    仕事とプライベートの垣根をなくして、1年中アウトドアフィールドで遊びまくっているアウトドア系ライター。高校山岳部で山歩きを始めた関係で、今もいちばんの得意分野は「山」だが、川や海でのカヤックなども大好物。『山道具 選び方、使い方』(枻出版社)など著書も多数で、イベントやテレビ番組への出演も増えている。

    増えるばかりのマダニの恐怖! 「備えあれば憂いなし」

    もしかしたら、僕は間違って購入したのか? いや、これでいいのか? うん、大丈夫かな……。

    最近やたらと騒がれているのが、そこらの草むらにはびこるマダニの害。日本中でシカやイノシシが増殖していることから、彼らにとりつくマダニも勢力を伸ばしているんですね。マダニは日本紅斑熱、ダニ媒介性脳炎、ライム病などを引き起こすウイルスや菌を媒介するわけですが、とくに最近話題になっているのは2011年に新型のウイルス感染症とされ、その後に死亡事故がたびたび報告されている重症熱性血小板減少症候群(SFTS)。死亡率は30%近くにもなるらしく、アウトドア派には非常に恐ろしい存在なのであります。

     長袖を着たり、虫よけ剤を使うといいのですが、僕の経験上、やつらはその程度では対処しきれません! だって、家に帰ってTシャツを脱いだら横っ腹にくっついていたり、パンツ内に入り込んで内股についていたりしたことが、これまでに何回かあったんですから。こうなると、長袖を着て虫よけをしていれば確実ということにはなりません。

    こいつがマダニ。体のわりに頭は小さいが、この部分がクセモノなのです。

     マダニ自体には大した害がなく、噛まれても少しかゆくなる程度。しかし問題は、肌にがっちりと噛みついたマダニを取り除こうとして引っ張ると、ブチッという感覚とともに体だけが取れてしまうという最悪の事態になりがちだということ。気持ち悪いことに肌の上に頭だけが残り、それをさらに引っ張ると、どうにか頭は取れた気になるのですが、なにかが残っている感じもするんです。どうやら「口器」という歯のようなものでしょう。

    噛まれることで病気が移るのなら、噛まれた時点で手遅れなのではないかと思うかもしれません。それは正解でもあり、不正解でもあるんです。というのは、たしかにひとたび噛まれると病原菌が移される可能性が出てくるのですが、だからといって絶対に感染するとは限らないということ。しかしマダニを無理に引っ張るとマダニの体液が人間の体に逆流しやすく、病気になる確率が高くなるんだそうです。だから、すみやかに、かつスムーズに、マダニを除去することには大きな意味があるんですね。

    皮膚内にマダニの口器を残さず、頭ごときれいに取り除くには、ただ引っ張るのではなく、頭の部分をグルグルとまわしながら引っ張るのが効果的。口器のギザギザが引っかかりにくくなり、きれいに抜けるらしいのです。でも、あんなに小さい頭を素手でクルクルと回しながら引き抜くなんてことは、素手でできるわけないですよね。

    シンプルで効果的な秘密兵器「Tick Twister」

     そこで僕が入手したのが、ブルーとグリーンのパッケージがさわやかな「TickTwister」。ティックツイスターと発音するのかな。フランス生まれのダニ取り(ダニ外し?)で、友人が経営する北海道のアウトドアショップ「トランジット」で購入しました。こいつの先端を肌とマダニの頭の間に差し込んで、軽く持ち上げながらクルクルと回すと、マダニもいっしょにクルクル回り、きれいに頭ごと抜けるといいます。

    先端がカギのようになったTickTwister。大小2つセットになっていて、大が長さ6.3㎝、小が3.8㎝。

    しかし、この原稿を書くために本国のウェブサイトをなんとなくチェックしていたところ、僕は重大なことに気付きました。

    「あれ、オレが買ったのは、”Tick Twister Blister Pack Animal”じゃないか? “Animal”って、どういうこと!?」。だって、その横にはオレンジ色のパッケージで、”Tick Twister Blister Pack– Human”なるものもあるんです。「オレって、ヒューマンではなく、アニマルだったっけ?」

     だけど、そこからクリックしてさらに詳しい情報を見て、一安心しました。“Animal”といっても動物専用ではなく、人間にも使えるようなんです。実際、パッケージにも「For pets and people」と書いてありました(こんなの見落としていましたよ)。ちなみに、オレンジ色のパッケージのほうは「For people and pets」と人間と動物の順番が反対に。つまり、どちらも人間と動物のどちらにも使えるのですが、「主」と「従」が違うのです。おそらく、「For pets and people」のほうは、長い毛が生えている動物の皮膚の上で使いやすい形状というだけで、毛があまりない人間にも十分使えるということなのでしょう。毛が多い人間もいますけれども。

    「For pets and people」。ペットが「主」で、人間が「従」な表記ですが、ちゃんと使えそうでよかった。

    「For pets and people」だけあり、写真は犬を抱いた女の子になっていました。ちなみに「For people and pets」のほうには動物が入らず、少年3人の素足の写真でした。

    少し調べてみると、日本で販売されているのは、ほとんどが「For pets and people」。人間用ではなく、ペット用のほうが売れるからなのか、動物用のほうが輸入するのに規制が少ないからなのか? いずれにせよ、人間にも使えるのだから、これでいいのだと思います。

     しかし、せっかく入手したのに、こういうときに限ってマダニに噛まれる機会が訪れません。日本にマダニは数種類おり、なかにはもっとも活動が活発になるのが10月という種類もいるようですが、この原稿を書くまでの数カ月、僕は一度もやられませんでした。もちろん噛まれたくもないですし、ヤバそうな場所ではできるだけ長袖にもしていましたが、記事作成のためならば、少しは我慢したというのに。

    どんな感じで使えばいいのか、まずは自宅でお試し

     ともあれ、実際にマダニを取り除く機会はなかったので、自宅のクッションにピンを刺し、マダニと想定してひとりシミュレート。クルクルしてみましたよ!

    まあ、こんな感じでしょうか。ピンの頭のサイズは3㎜ほど。吸血したマダニは膨れて1㎝にもなることがあるんですよ。

     その結果、使い方の“雰囲気”はよくわかりました。でも、マダニの口よりもピンはかなり太いことに加え、生地に食い込んでいるわけでもないので簡単に抜けちゃって……。わかったような、わかっていないような微妙な気持ちに。まあ、今回はあくまでもシミュレーションだから、よいことにしましょう。

     それにしても、こういうものはいつ出番が来るのかわかりません。それほど草むらには入らない人なら、一生使わない可能性も高いでしょう。そう考えると、必携の道具ではないのかもしれません。でも、年中アウトドアにいるような僕のような人間には、やはりあったほうがいいのです。

    ポイズンリムーバーが役に立った過去の記憶 

    世の中には「ポイズンリムーバー」という器具があります。カやブヨに刺されたときにも使えますが、どちらかというともっと厄介なヘビやハチに噛まれたときに毒を抜くものです。僕はこいつを数年前からフィールドで持ち歩くようにしていましたが、はじめは「こんなの使う機会はないんだろうな」などと「無駄っぽい」装備のひとつと考えていました。ところが、やはり「もっていてよかった~」と思う事件が数年前にあったんです。八重山諸島の西表島のジャングルで僕はなんとサキシマハブに噛まれ、ポイズンリムーバーが活躍してくれたのです!

    サキシマハブに噛まれて腫れあがった僕の右手(写真では左側)と、健全な左手。このときはビックリしたな。

    ハブの毒をポイズンリムーバーで抜いているときのカット。ハブの牙は深くまで刺さるため、浅い部分の毒しか抜けないポイズンリムーバーはあまり効果がないという説もありますが、やらないよりマシでしょう。

    サキシマハブはもともと毒性が低く、ポイズンリムーバーがなくても大丈夫だったのかもしれません。とはいえ、ポイズンリムーバーを持っていたからこそ、ジャングルの中でもあまりうろたえず、無事に帰れたのです。そういうこともあり、TickTwisterもこれからいつも持ち歩こうと思ったのでした。

    小さすぎて紛失しやすそうなのを、どうするか?

     ただ、TickTwisterはこんなに小さいのにケースが付属しているわけでもなく、すぐになくしてしまいそうなのが気がかりです。そこで僕が考えついたのは、キャンプ場や山小屋で周囲の人のいびきなどがうるさいときに僕が使用している「耳栓」のケースを利用すること。TickTwisterの形状ならば、耳栓とともにケースに入り、ちょうどいいんです。とくに「小」は。「大」は数ミリ削らないと入らないのですが、やろうと思えばなんとかなるサイズ感です。

    ケースのなかに耳栓とともに収納。しかし、もっとよい方法があるのではないかと再考しています。

    ダニ取りと耳栓の不思議な同居。衛生的に難がある気がして、なんとなく嫌な人もいるかもしれませんが、雑な性格の僕にはこれでいいのです!

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