和田義弥
最近、自作のギアでキャンプを楽しんでいる人が増えている。とても素敵なことだと思う。そりゃ、市販品に比べたらちょっと不格好だったりするかもしれないが、自分で作ったアイテムで遊ぶのは楽しいし、笑える。完璧である必要はないのだ。手作りというのは、考えているときと、作っているときと、使うときと3回楽しめる。だから、完成まで時間はたっぷりと費やすべきだ。それでちょっといいのができたりすると人に見せたり、教えてあげたりしたくなる。みなさん、そんなことありませんか?最近、私は焚き火台を作りました。自作の焚き火台としては4つ目である。
材料はステンレスの平板、加工のしやすさならブリキやトタンもあり
今回紹介するのは、分解してコンパクトに持ち運べるのが特徴だ。使用時は約270㎜×270㎜×250㎜、収納サイズは約300㎜×150㎜×30㎜になり重量は約600g。軽量でソロキャンプやツーリングなどに便利だ。火床は0.5㎜厚のステンレスの平板で脚はアルミパイプを使用。ステンレスは丈夫でさびにくいため市販の焚き火台の材料としても定番だ。ただ素材自体が硬く、切ったり、曲げたりしにくいため、DIYでは加工しやすいブリキやトタンを使うのもあり。鋼板に錫メッキを施したものがブリキで、亜鉛メッキを施したのがトタンだ。錫と亜鉛の融点はそれぞれ約230℃、約420℃と低いため焚き火をするとメッキは熱ではがれてしまうが、本体の鋼板(鉄)が溶ける心配はない。
薄いステンレスの平板やアルミパイプは金属用のハサミやノコギリでカットできる。今回使用する電動工具は穴を開けるためのドライバドリルだけだ。溶接も必要ないから簡単。材料費はステンレスの平板(910㎜×450㎜×0.5㎜)が約3000円。その他の材料は全部合わせても500円ほど。ブリキやトタンの板ならステンレスより安く1000円前後で手に入る。
材料
①ステンレス平板(910㎜×455㎜×0.5㎜)…1枚、②スナップピン(12㎜用)…3本 ③リベットピン(φ10×55㎜)…3本、④アルミ丸パイプ(φ12×200㎜)…3本、そのほか、型紙をつくるための画用紙も用意する。※写真のステンレス平板はイメージで実際に使用する寸法とは異なります。
道具
①カナヅチ、②金属用ハサミ、③金属用ヤスリ、④ステンレス用ドリルビット(10㎜、6㎜、2.5㎜)、⑤ドライバドリル、⑥サンドペーパー(120番)、⑦サインペン、⑧コンパス、⑨センターポンチ、⑩定規、⑪金属用ノコギリ
作り方
Step1 ステンレス平板の加工
1 火床となるステンレス平板の型紙を画用紙でつくる。型紙は300㎜×150㎜の俵型で両端は直径150㎜の半円になっている。この半円はコンパスで描く。切り込みや穴の位置も記す。寸法は写真を参照。
2 平板を300㎜×150㎜で3枚切り出し、それぞれの板に型紙を重ねてサインペンで形を写し取る。穴を開ける場所は型紙の上からポンチあててカナヅチで軽く打つ。平板に浅いくぼみができればOK。これでドリルを当てたときに滑らない。
3 型紙から転写したラインに沿って金属用ハサミで平板をカットする。切り口は金属用ヤスリでバリを落として滑らかに整える。仕上げにサンドペーパーをかける。
4 平板の下に捨て板を敷き、ポンチを打った場所に2.5㎜のドリルで下穴を開け、次に6㎜のドリルで穴を大きくする。リベットピンを挿す2か所の穴は10㎜のドリルでさらに穴を広げる。最後にバリをヤスリで落とす。
5 3枚の平板を組み合わせるための切り込みを入れ、その角を丸く切り落とす。ここまで3枚の平板をすべて同じように加工する。
Step2 脚(スタンド)の加工と組み立て
6 アルミ丸パイプは1mのものから金属用ノコギリで20㎝の長さに切り出した。写真のように現物合わせでリベットピンの穴の位置をパイプに写し取る。重ねた平板を挟んでスナップピンで留めるので、その厚みを考えて実際の穴の位置より2~3㎜上に印をつける。
7 スナップピンを挿す穴を開ける。ドリル径は使用するスナップピンの径+0.5㎜。今回使うスナップピンの径は2㎜だったので、2.5㎜のドリルで穴を開けた。
8 3枚の平板の切り込みを合わせる。
9 10㎜の穴を重ねてリベットピンを挿す。板は常に中心の穴が上にくるように重ねる。中心の穴が下にくるとおさまりが悪い。
10 裏側から脚を取り付けてスナップピンで固定する。2本のリベットピンはスムーズに入るが3本目は重ねた平板をグッと起こすようにして穴の位置を合わせてからピンを挿す。ちょっと力が必要だが、この湾曲によって応力が働き強度が上がる。
完成。3枚の平板を組み合わせるのにコツがいるが、ちょっとDIYをしたことがある人ならパーツの加工自体はそれほど難しくないと思う。
持ち運ぶときはリベットピンを抜けば脚(スタンド)が外れて、平板をばらせる。組み立ても、分解も道具いらず。自作する上での注意点をひとつ。ステンレスをカットしたり、穴あけしたりした後に出るバリをヤスリやサンドペーパーで丁寧に落とすこと。それをしないとパーツ同士が組みにくかったり、小さな突起で指先を怪我したりする。ささやかなことだが、手を抜いちゃいけないよ。
この焚き火台はコンパクトなので、あまりたくさんの薪は載らない。でも、美しく立ち上がる炎を鑑賞したり、その熱で暖をとったりするのに、それほどの大量の薪はいらない。小さな火に寄り添って焚き火を楽しんでください。