アウトドアウェアをタウンユースに。ひと昔前なら考えられなかったことですが、今やウェアは野外と街の境界線がなくなりつつあります。’90年代終わりごろから、欧米ブランドのアウターウェアのデザイン性が急速に向上。さらにここ数年で、多くのブランドがこぞって「アーバンライン」や「エブリデイユース」などと銘打ったシリーズを発表しています。
“スキーや登山のためだけに高価なウェアを買う、なんていうのはもはやナンセンス。街でも着れなきゃ”、というユーザーが増えると同時に、作り手側もそういうデザインを意識したウェアがどんどん増えているのです。
アウトドアブランドの秋冬ジャケットは、アウトドアウェア開発のノウハウを活かして作られているので、機能性は折り紙付き。防水透湿性や雨や汚れを弾く撥水性、アクティブに動きやすい伸縮性に優れた素材や加工の採用をベースに、タウンユースを意識したカラーリングやデザイン、シルエットを取り入れています。フィールドに加え、街歩きやビジネスシーンでも使えるとあって、注目度も上がっています。コートタイプも登場し、フード着脱式やステンカラータイプなら、シーンが選べておすすめです。
そして、冷たい風が吹き始めると恋しくなるのが、ダウンジャケットです。いまやフィールド、タウンを問わず活用される、最強の防寒着です。ダウンのクオリティーの判断基準として採用されるフィルパワー(以下FP)は、1オンス(28.4g)の羽毛を規定のシリンダーに入れ、68.5gのウェイトをのせたときの体積を立法インチで表した数値で、数値が高いほどかさ高性が高く、良質といえます。一般的には600FP以上で良質とされますが、アウトドア業界では700FP以上が当たり前、800FP以上で高品質と判断されています。保温性を重視してダウンを選ぶなら、FPをチェックしましょう。
また、今季はダウンの弱点である水濡れ(軽さと保温性は折り紙付きだが、雨や汗などで湿気を帯びると保温性が落ちる)に対応するモデルが充実しています。ダウン自体に撥水性を持たせたものや、シェルに防水or撥水機能を搭載したものまで、シーンに合わせて選べます。伝統的なブランドも、オーセンティックなデザインを残しつつ、素材には防水性のあるものを選ぶなど、進化を遂げています。
さらに、注目されているのが、ハイブリッド型。天然素材であるダウン自体の機能性と、特殊な加工を施した化繊をミックスした中綿を使用したモデルのことです。体から発する遠赤外線効果を利用して体を芯から温めてくれる機能を持つタイプや、濡れても優れた保温性を維持するタイプなど、最新テクノロジーを搭載したダウンウェアが続々と登場。今季はただものじゃないダウンに要注目です。