南アフリカ第2の都市、ケープタウン。大西洋とインド洋を結ぶ海上交易の中継地として数奇な歴史を重ねてきたこの街には、今も国内外から多くの人々が訪れます。上の写真は、遊覧飛行のヘリコプターの副操縦士席から撮影したケープタウンの街並。正面奥の少し雲のかかった平らな形の山は、この街の象徴とも言えるテーブルマウンテン。右下に見えるグリーンポイント・スタジアムでは、2010年にFIFAワールドカップの準決勝などが開催されたそうです。
この街でもっとも華やかな場所の一つが、テーブル湾に面したヴィクトリア&アルフレッド・ウォーターフロント。古い港の再開発によって、数多くのショップやレストラン、ホテル、アミューズメント施設が集まった一画です。故ネルソン・マンデラ元大統領がアパルトヘイト時代に約18年間収監されていたかつての刑務所島で、現在は世界文化遺産に指定されているロベン島を訪れるフェリーは、このウォーターフロントの港から出航します。
ボカープ、あるいはマレークォーターと呼ばれる地区には、鮮やかな色彩の家々が立ち並んでいます。ここには、かつてオランダ東インド会社によって東南アジアから連れてこられた人々の末裔を中心とした、ケープマレーと呼ばれる人々が数多く暮らしています。中央やや左に見える尖塔はイスラーム教のモスクのミナレット。近隣には、ケープマレーの人々の歴史と文化を紹介するボカープ博物館もあります。香辛料を巧みに活かしたケープマレー料理は、ケープタウンならではの食文化です。
ケープマレー料理をはじめ、アフリカ各地の個性的な料理を楽しめるGold Restaurantでは、店内で繰り広げられる歌と踊りのエネルギッシュなパフォーマンスを見ることもできます。
Gold Restaurant
http://www.goldrestaurant.co.za
写真は、エチオピア料理を出すレストランで、伝統的なエチオピア流の様式でコーヒーをいれてくれている女性。アフリカならではの伝統や風習はもちろん、ヨーロッパや東南アジア、中東など、世界中からもたらされた多種多様な文化が混沌と交じり合っている状況が、このケープタウンのエキゾチックな雰囲気に繋がっているように感じられます。南アフリカを旅する時は、大自然の中でアクティビティを満喫するだけでなく、現地の人々が織りなすもう一つの魅力にも触れてみてはどうでしょうか。
▼著者プロフィール
山本高樹 Takaki Yamamoto
著述家・編集者・写真家。インド北部のラダック地方の取材がライフワーク。2016年春に著書『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々』の増補新装版を雷鳥社より刊行予定。
http://ymtk.jp/ladakh/
▼取材協力クレジット
取材協力:南アフリカ観光局
http://www.south-africa.jp/