味の演出に重要な役割をもつコーヒー器具
まいど、自家焙煎珈琲「Old Lanterns Cafe」の岸本です。寒さが一層深まり、本格的な冬が到来しましたね。そんな寒いときに、ホッと温まるドリンクといえばコーヒー。前回は当店が提供するコーヒーの淹れ方について紹介しましたが、今回はちょっとマニアックな道具に関して紹介します。
夫婦でもカップルでも、味の好みはみんな異なる
スタートして6年ほど、アウトドア・コーヒースタンドをやってきました。多くのキャンパーが飲むコーヒーは、割合的に深煎りの苦味とコクのあるコーヒーを好む人が多いように思います。業界では、スペシャルティコーヒーや、自家焙煎の浅煎りのコーヒーが脚光を浴び、こだわりをみせる店も多くなってきました。適切な焙煎をされて適切に抽出されれば確実に美味しいコーヒーではあるのですが、少々お高く、味わい的にも飲む人を限定します(酸味が苦手な方が多いのです)。
味といえばよくある話なのですが、ご夫婦やカップルで好みの味が違うことがよくあります。美味しいと思っていただけるコーヒーを提供するには、飲む側の人の好みを知ることも重要だと思うのです。豆を挽いてから淹れるコーヒーで一番ポピュラーなのは、家でもキャンプフィールドでもペーパードリップではないでしょうか。
ペーパードリップも大きく分けて円錐型と台形型、ウェーブタイプの3種類があります。ウェーブタイプは2010年に発売開始し普及しはじめた、わりと新しいタイプのドリッパー。それ以前までは他の4つのドリッパーがメインストリームでした。台形タイプの1穴のメリタ式、3穴のカリタ式、円錐タイプを発明したコーノ式、そしてパテントが切れた後に同じ円錐型を発売したハリオ式です。
今回は、深煎りのコーヒーを好むキャンパーさん向けに、当店でも愛用していて、深煎りコーヒーを淹れるドリッパーとしては最適な『コーノ式円錐フィルター』を紹介します。
Old Lanterns Cafeが愛用するコーノ式とは
会社の名前は「珈琲サイフォン株式會社」。社長のお名前が河野(こうの)さんなのでコーノ式と呼ばれるようになりました。1925年(大正14年)創業のコーヒー器具メーカーのパイオニアで、初代社長は世界で初めてガラス製のサイフォン「河野式茶琲サイフオン」を世に送り出します。「珈琲の持ち味を素直に抽出する」をモットーに、より良い味を求めるためにサイフォンの形状に改良を重ね、日本を代表するコーヒー器具となりました。
現在の3代目の河野雅信社長は、名門円錐フィルターを家庭用に改良した「ドリップ名人」を発売し、さらに2004年には名門フィルターのカラーバージョンを展開。それから毎年ニューカラーの限定モデルを発売しています。2010年には創業85周年を記念して、名門2人用フィルターのリブを短く、抽出口の径を小さくして、さらに抽出効率を高めたニュータイプ(MDNシリーズ)を発売しました。
現在1〜2人用ドリッパーは初期のMDモデルを「CLASSIC」、MDNモデルを「名門」、最新のMDKモデルを「名門K」と呼び分けて、3種類の名門ドリッパーとドリップ名人の計4種類が販売されています。こだわっている方や注湯コントロールに自信のある方はCLASSICか名門、ドリップ初心者には、リブを短くし抽出スピードを遅くした名門Kがおすすめです。
もちろんプロでも名門Kを使っているお店は多く存在していて、淹れ方をいろいろコントロールできれば、豆の煎り具合や産地の特徴に合わせて使い分けして美味しい珈琲が淹れられます。
深煎り好き、キャンパーにはコーノ式がおすすめ!
コーノ式のドリッパーとサーバーはオシャレなキャンプサイトにもよく似合います。その証拠にインテリアのWEBショップでも、よくコーノ式のドリッパーセットが販売されているのを見かけます。オシャレなテントサイトにもよく映えて、美味しいコーヒーがキャンプの朝や午後により一層、寛ぎと和みを与えてくれること間違いなしです。
※一部監修:河野雅信