北極圏へ!キャンピングカーで真冬のロードトリップ!
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    2020.01.17

    北極圏へ!キャンピングカーで真冬のロードトリップ!

    私が書きました!
    フォトグラファー&ツアーガイド
    杉本淳(すぎもとあつし)
    カナダ、ユーコン準州ホワイトホース在住。2008年にユーコン川下りで訪れて以来通い始め2011年に移住。その後もユーコンに生きる野生動物や人々の生活を引き続き撮影中。ユーコンから色々なトピックをお届けします!
    WEBサイト:www.aplーas.com

    トラックキャンパーで北極圏へロードトリップ!

    キャンピングカーと一言に言っても…

    北米には大型バスサイズのモーターホーム、それより小型のRV、牽引式のトレーラータイプなど色々な種類がある。その中で僕はピックアップトラックに居住スペース(キャンパー)を載せて車のフレームと鎖などでつなぐトラックキャンパーというタイプに乗っている。

    連日マイナス30度台!

    急に1週間予定が空いたので北極圏にロードトリップに出かけることにした。僕が住んでいるユーコンも暖冬とは言え北極圏の気温は連日マイナス30度台。過去にマイナス45度の中でトラックを壊した苦い記憶があるので、天気予報がマイナス20度台になるのを待っていたら出発が2日遅れてしまった。

    野生動物、オーロラを眺めながら北上!

    僕の住む街ユーコン準州都ホワイトホースから第2の街ドーソンシティへと続く、ノースクロンダイクハイウェイを北上する。途中道路脇にエルクのメスの群れが木の枝を喰んでいた。エルクは2番目に大きい鹿の仲間でメスの成獣でも全長2メートルといつ見ても大きい。こんな大きな動物が植物だけを食べてよくもまぁ厳しい冬を越せるものだとそのたくましさにいつ見ても感心してしまう。

    約500キロを7時間半後掛けて走りドーソンシティ40キロ手前を右折。ここからデンプスターハイウェイが始まる。ハイウェイとは言えここまでもそしてここから先も信号は無い。更にここから先は未舗装。夏は踏み固められただけのデコボコの砂利道だが冬は雪で道路表面の穴が塞がれるので路面はスムーズだ。

    今回出発を遅らせたため、時間を少しでも稼ごうと夜通し走ることに。道に街灯など全くないがそろそろ満月が近いので走りやすい。月に照らされたトゥームストーン準州立公園を横目に走る。

    日付が変わった頃、雲の合間から緑色の光が漏れていた。オーロラだ。長距離運転で単調になりやすい気分も一転してワクワク。明るい月が雪景色を照らしてなんとも幻想的だ。

    ホワイトホースを出発して約14時間後、デンプスターハイウェイの中継地点イーグルプレーンズに到着した。ここまで約870キロ。ここには小さなホテルやガソリンスタンドなどがある。この日はここの駐車場でキャンプ。

    キャンピングカーの中も氷点下に!

    キャンパー室内も氷点下。プロパンガスのストーブで温まることもできるが、一晩中付けっぱなしにするとガスが燃焼する時に発生する水蒸気で室内中がベトベトに濡れてしまう。ここは黙ってマイナス20度対応の寝袋に潜り込む。口の周りだけ呼吸窓を作り、寝袋のドローコードをできるだけ絞める。それでも寒くて寝られなかったら、別に持ってきたマイナス40度対応の寝袋に変えよう。

    翌朝寝袋の中から天井を見ると自分の吐いた息が凍って結晶に!寝袋の外の寒さが想像できる。暖かい寝袋からなかなか出たくないが、極北の冬の太陽は11時半に昇り2時半には沈む。貴重な日照時間を無駄にはできないので意を決して出ると、室内は意外と暖かいマイナス7度だった。

    日の出後さらに北へと走り北極圏を目指す。イーグルプレーンズから北にも小さな町がいくつかあるが、この時期の交通量は少ない。そのおかげで動物の足跡が見つかりやすい。途中カリブー(野生のトナカイ)が何度か道と並行して歩いた跡があった。かなり新しく見えるこの足跡は恐らく今朝付けられたものだろう。

    途中凍った川の上をスノーシューを付けて歩くとオオカミ、カリブーの足跡を見つけた。足跡を辿ってみるもしばらくすると森の中へと消えていってしまった。食うものと食われるものがこの広大な原野の中で邂逅しているかもしれないと思うとワクワクしてくる。

    北極圏に着いたのは午後1時過ぎ。しかしもう既に太陽が傾き始めている。その後っという間に日が暮れだんだんと(さらに)寒くなってきたのでイーグルプレーンズの町に戻ることにした。

    夕食後ホテルのバーに寄ると北極圏に行きましたという証明書をくれた。バーの人の話では明日、最大瞬間風速120メートルの吹雪がやって来るらしい。吹雪で行先を遮られる前に来た道を戻って家に帰ろう。

    寒いながらも北極圏の美しい景色とそこに生きる動物たちの息遣いを見れた良い旅になった。

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