公園からニッポンを変えよう! パルパーク・プロジェクト第33回 特報
子どもたちに、焚き火体験でたくましく生きる力を! パルパーク第1号山田緑地(北九州市)で、焚き火イベントをサポートするパルの養成講座が開かれた。
1日目:生徒として焚き火を学ぶ
「焚き火の基本は、燃えるものをくっつけて、なおかつ空気の通り道を作ることです」
長谷部さんの声が山田緑地の焚き火場に広がる。その講習を聴いているのは子どもたちではない。小春日和のこの日、集まったのは、焚き火のやり方や楽しさを子どもたちに伝える“森の焚き人”に志願した20代から70代までの老若男女16人だった。
「子どもたちのための焚き火イベントを定期的に開くためには、サポートスタッフが必要となります。そこで、“森の焚き人”になってくれる大人を募集したんです」(北九州市公園緑地部・梅野岳さん)
要はパルパークを持続的に運営するために、地域の人びとをパル(仲間)に呼び込もうというわけだ。麻ひもをほぐしたり木をナイフで削っての焚き付け作り、ファイアースターターを使って焚き付けへの点火、細い枝から始めて徐々に太い枝をくべて火を育てる手順…。
16人は何度も繰り返し、焚き火の基本を身に付けていく。気付くと、いつの間にか日が暮れかかっていた。「皆さん、子どもの顔に戻ってますね~」と長谷部さんが嬉しそうな顔で1日目を締めた。
「明日は今日感じた楽しさを子どもたちに伝えてください」
2日目:先生になって焚き火を伝える
迎えた2日目は、朝から小雨がパラついていた。「この雨の中、火をおこせるだろうか」と不安そうな16人に、長谷部さんがハッパをかける。
「絶好の天気じゃないですか! 基本を守れば悪条件でも火が点くというのを子どもたちに見せてください」
16人は前日学んだことをひとつひとつ丁寧に子どもたちに教えていった。焚き付け作り、ファイアースターターの使い方…。そしていよいよ点火。まずは、16人が手本を示さなければならない。
パチパチッ…マグネシウムの火花が飛び、焚き付けの麻の繊維からボッと炎が上がった。
「わあ! 先生、一発ですごい!」
子どもたちから歓声が上がったこの瞬間、16人は“森の焚き人”となった。サスティナブルなパルパークへ。新たなパルを迎え、山田緑地パルパーク第二章の狼煙が上がった。
「焚き火最高ッ!」。この冬、山田緑地では“森の焚き人”とともに焚き火イベントを定期的に開催する予定だ。
※構成・文/鍋田吉郎 撮影/江藤大作