くじゅう連山ってどんな山?
日本百名山の一つ、くじゅう(九重、久住とも書くが以下「くじゅう」で統一)連山は大分県に位置し、北は玖珠郡九重町(ここのえまち)、南は竹田市久住町(くじゅうまち)にかけて広がる、九州の代表的な山だ。九州本土最高峰中岳(1,791m)をはじめ、久住山、大船山、星生山など1,700m級の山々が連なり、“九州の屋根”とも呼ばれている。特に冬は、寒波が来れば霧氷が付き、雪が降ればあたり一面白銀の世界に。この時期に山を歩くには、しっかりとした防寒対策、ウェア、アイゼンなどの道具の装備が必要となるので、持ち物チェックは入念にしたいところ。
はじめての冬のくじゅう連山。オススメの登山コース
くじゅう連山への登山口はいろいろあるが、王道ルートのうちの1つ、牧ノ戸峠登山口から天狗ヶ城、中岳を目指し、帰りも同じ道をたどるコースを歩いてみよう。ここからは、扇ヶ鼻、星生山、久住山などへも行く事ができ、景色を楽しみながら歩ける人気のルートだ。
参考コースタイム :牧ノ戸峠(30分)→沓掛山(60分)→扇ヶ鼻分岐(35分)→久住分れ(30分)→天狗ヶ城(15分)→中岳(15分)→御池(20分)→久住分れ(35分)→扇ヶ鼻分岐(80分)→牧ノ戸峠
<往復 約5時間20分(休憩なしの場合)>
牧ノ戸峠登山口から展望台までは舗装路になっており、冬期はツルツルに凍結することが多く、アイゼン装着がオススメ。ストレッチなどしつつ、ウォーミングアップも兼ねてゆっくり歩いていくと、最初のポイントとなる「展望台」に到着。ここからは、由布岳、三俣山、黒岩山などの展望が得られる。暑くなりそうだったここで衣服調整をし、もうひと頑張りして舗装路と階段を登ると阿蘇山の展望が広がる。
そして、1座目の沓掛山へ到着。標識が登山道の上にあるから気づかずスルーしてしまうかもしれないが、ぜひチェックして欲しい。ここからも三俣山、星生山、扇ヶ鼻が見え展望が良い。沓掛山からの下りは岩場で、スリップに注意。また、登山者が多い時は、渋滞する事もあるので譲り合って進もう。ここから先も景色を楽しみながら歩きつつ、扇ヶ鼻への分岐に出たら一休憩しよう。
冬こそありがたみを感じる避難小屋
扇ヶ鼻分岐からは、西千里ヶ浜といわれるなだらかなルートを歩いて行く。星生山への分岐あたりでどっしりとした久住山が姿を現しワクワク感が増すだろう。久住分れ手前には避難小屋があり、寒さをしのげるのは大変ありがたい。中に入るとたくさんの人で賑わっている時もあるので、ここも譲り合いの精神で。一息ついたら、中岳方面へ進み、まずは天狗ヶ城へ向かおう。
冬の風物詩、凍結した「御池」
天狗ヶ城へ向かう途中、眼下に大きな池「御池」が見えてくる。凍っていれば白くキラキラと輝き素晴らしい光景が広がる。天狗ヶ城山頂からの展望は良く、次に向かう中岳はすぐそこだ。
九州最高峰「中岳」からの展望は抜群
岩場を登り中岳山頂へ着くと360度の大パノラマが広がる。遠くに阿蘇、祖母山、傾山、由布岳、そして雲仙が見えたらラッキー。景色を楽しんだら御池の方へ下る。凍結した氷の上を歩くならば、くれぐれも気をつけて。その後は、往路を戻る。天気が良いと、行きと違い足元がぬかるむ場合があるのでゲイターがあると重宝する。牧ノ戸峠へ着いたら、レストハウスで暖かい飲み物もいいが、ぺろりと食べれるソフトクリームもオススメ。
冬だけじゃない、一年中楽しめるくじゅう
今回は冬のくじゅう連山の登山ルートをご紹介したが、他の季節もそれぞれの良さ、美しさに出会えるだろう。ふかふかの雪の上に、うさぎやシカの足跡を見る事ができた冬が終われば、くじゅうにも春が訪れる。生き生きした緑に覆われ、初夏には山肌をピンクに染めるミヤマキリシマが咲き、たくさんの花を見る事ができる。そして秋には、燃えるような紅葉。 日帰りだけじゃもったいないと感じた場合は、くじゅう連山のほぼ中央の標高約1,200mに位置する坊ガツル湿原にある「法華院(ほっけいん)温泉山荘」で宿泊や、テント泊がオススメだ。そう、くじゅう連山の中には、温泉のある山小屋があるのだ。
くじゅう連山の登山道を歩いていると、「硫黄山」の噴気孔から火山ガスが上がっているのが見られるはず。くじゅう連山一帯が、活火山であることを感じさせてくれる(硫黄山は現在登山不可)。風向きによっては少し硫黄臭がすることも。
下山後の楽しみは、やっぱり温泉!
温泉県の大分県。登山口の九重町にも温泉施設がたくさんある。長者原(ちょうじゃばる)登山口には、星生ホテル、花山酔などがあり、宿泊はもちろん立ち寄り湯もできるので、汗を流し温まって帰りたい。
近隣の温泉施設
【九重星生ホテル】
住所:大分県玖珠郡九重町田野230番地
電話:0973-79-3111
営業期間:通年
駐車場:あり(無料)
【花山酔】
住所:大分県玖珠郡九重町田野260-1
電話:0973-79-2230
営業期間:通年
駐車場:あり(無料)
下山後休憩スポット
【牧ノ戸峠レストハウス】
住所: 大分県玖珠郡九重町牧ノ戸峠
電話: 0973-79-2042
営業時間: 8:30~17:00 ※シーズン時や天候により不定
休業日: 不定休
https://www.env.go.jp/park/guide/kuju/facilities/makinoto/14.html
【長者原ビジターセンター】
住所:大分県玖珠郡九重町大字田野255-33
電話:0973-79-2154
営業時間:9:00 ~ 17:00 (11月~4月 16:00閉館)
休業日:12月29日 ~ 1月3日
長者原登山口にある長者原ビジターセンターでは、くじゅう連山の歴史や自然の事が学べて、くじゅうの四季などを紹介したビデオ放映もある。
アクセス情報
冬期の場合、車のタイヤはスタッドレス、チェーンなどの滑り止めが必要。バス便は少ない。マイカー、タクシーが便利。今回は牧ノ戸峠登山口へのアクセス情報をご紹介する。
【車の場合】
九州自動車道九重I Cで下車。飯田高原中村線県道40号、621号、長者原を右折11号、
やまなみハイウェイにて牧ノ戸峠へ。約40分
牧ノ戸峠登山口 :駐車場、売店、トイレあり
【公共交通機関】
九州横断バス 由布院―牧ノ戸峠 1日三便 096-354-4845
コミュニティバス 豊後中村―長者原までの運行 (冬季)
【タクシー】
はとタクシー 0973-79-2510
長者原から牧ノ戸峠まで (雪の状況にもよる要相談)
豊後中村駅―牧ノ戸峠 (片道約5000円 )
登山ウェアや持ち物について
九州と言っても、くじゅう連山は標高1,700m以上あるので、0度以下になることは普通。行動中は問題なくとも、休憩した時に汗冷えしないように、速乾、保温のウェアを着用し、雨具上下、保温着にダウンジャケット、厚手の手袋、ネックゲイター、ニット帽などが好ましい。
装備としては、アイゼン、ゲイター、ストックを。行動食には、暖かい飲み物、食べ物がひとつでもあると体が温まる。
くじゅう連山データ
山頂所在地:大分県
山域:九重連山
標高:牧ノ戸峠登山口(1,330M)
中岳(1,791M)
今回のコース
コースタイム: 約5時間20分
コースの距離: 約10キロ
コース:牧ノ戸峠(30分)沓掛山(60分)扇ヶ鼻分岐(35分)久住分れ(30分)天狗ヶ城(15分)中岳(15分)御池(20分)久住分れ(35分)扇ヶ鼻分岐(80分)牧ノ戸峠 <往復 約5時間20分(休憩なし)>
※久住分れにあるトイレは冬季閉鎖。携帯トイレを持って行こう
※天狗ヶ城へは上りも下りも、浮き石やスリップに注意
<問い合わせ>
九重町役場商工観光課 0973-76-3150
竹田市役所久住支所 0974-76-1117