私が住む女神湖は蓼科山の中腹1500mの高原にある。冬になると氷点下20℃にもなる日がある高原地帯にもかかわらず、ここには人が住んでいる。古くは縄文時代の遺跡や出土品があることから、縄文人もここに暮らしていたのだろう。
現在は、スキー場を中心にスノースポーツや、氷結する女神湖の氷上ドライブ体験に来る旅行客のための宿泊施設が多数あるが、私が経営するキャンプ場『takibi hut』とアウトドア施設『Picnicbase&Hostel』では厳寒の地で生きる知恵を学ぶことができる。
~ふかふかのパウダースノーでかまくらをつくろう~
木々も氷結する北八ヶ岳、白樺高原ではスキーヤーにはうれしいパウダースノーが降り積もる。こんな極寒の地で縄文人はどのように寒さをしのいできたのだろう。パウダースノーはどんなに固く握っても固まらない。そんな雪でかまくらを作るのは至難の業、仲間と試行錯誤して作ると楽しさ倍増だ!
かまくら作りに用意した道具は4つ
- バケツ
- ロープ
- スコップ
- 牛乳用コンテナケース
なぜ、ロープとバケツ?
固まらない雪を固めるためには水を加えて半分溶かし、ブロック状にして再凍結させる。
通常水をかけた雪が再凍結するにはそれなりの時間を要するが、ここではすぐに固まり始める。スピード勝負だ。川から水を汲むためにバケツの取っ手にロープを結び、水を汲んで引き上げる。
流れる川は凍らない
凍らない水、ほぼ氷点下近くまで冷えた川水はバケツに上げるとすぐに凍り始める。
ブロックの形は、牛乳用のコンテナケースが程よいサイズ。多すぎる水は隙間から流れ出る。又、全面から水をかけられるのですぐに浸透する。雪のコアがあればすぐに好きな形のブロックが完成する。
盛った雪を掘るかまくらというよりはエスキモーハウスのような作り方だ。1段目の縁で大きさが決まる。
今回は、手伝ってくれる友人たちと宴会ができる直径3m強のかまくらを目指して作ってみた。
基礎の2段はゆったりと隙間を作りながら並べ、濡らしてシャーベット状になった雪を隙間に詰めて接着していく。一晩おくとしっかりした基礎となり、以降毎日2・3段ずつ盛り上げていく。
日が陰り始めると一層寒くなる中、我こそはと、入れ替わり立ち代わり手伝いに人が来る。きっと縄文人たちも協力し合い作ったことだろう・・・。
夜になれば、寒さは一層強くなる。しかし、ここには縄文人を支えた人のつながりと助けがある。
かじかむ手をこすりながら黙々と作業を進めよう。ブロックを縦に積み上げていく過程から、屋根のカーブに移る。ここは凍結の早い夜がいい。
もう少しで完成!
完成が近づけば笑顔が戻る。
完成は隙間が日に透けて見える昼間にやろう
小さく残した穴を埋めて完成だ。小さい仲間も手伝ってくれた。氷点下20℃にもなるとはいえ、太陽は近く、氷に不純物が入っていれば太陽の熱ですぐに溶け出す。このかまくらはどれだけ立っていられるのだろうか。
自作かまくらの中での熱燗は格別!
完成はかまくらの中で一杯やりながら、助けてくれたみんなの顔を思い浮かべながら談笑は続く。縄文人ははたしてこの寒さの中、どうやって過ごしていたのだろう。熱燗で冷えた体を温めた。自分たちで作ったかまくらの中で飲むお酒は、格別に美味しい!