旅行、お酒、食事、キノコ狩り、カヌーなどが大好きです。オレゴン・マイコロジカル・ソサエティ会員。
水が湧き出す古代サポテカ族の聖地
メキシコの南部、オアハカ州にある山々に囲まれた「イエルベ・エル・アグア(Hierve el Agua)」は、古代サポテコ族の聖地だったと言われる場所。現在は絶景を楽しめる観光地として人気があります。
オアハカの州都、オアハカ・デ・フレイタスからイエルベ・エル・アグアまでは、車で南東へ約2時間。世界遺産「オアハカ中央盆地にあるヤグルとミトラの先史時代の洞窟群」やミトラ遺跡の先です。高速道路を降りてからは、崖っぷちの山道をガタゴト走ります。
スペイン語で「沸騰するの水」を意味するこの地には、今でも多量のミネラルを含んだ水が温泉のように地中から湧き出ています。名前やボコボコと湧き出す様子から、熱いはずだと思いきや、温度はそれほど高くない22度から25度です。
古代サポテカ族は、乾季にもこの水を最大限に農業へと利用するため、2500年以上も前に灌漑システムを構築したそうです。この灌漑システムは、メキシコで唯一のもので、考古学的にも重要な場所だと言われています。
絶景を楽しむインフィニティ・プール
イエルベ・エル・アグアには、この湧き水で満たされた2つのプールがあり、水着を持参すれば、自由に泳ぐことができます。水温は25度ほどなので、かなりひんやりしていますが、入ってしまえばすぐに慣れます。
水深は水が濁っているのでよくわかりませんが、少し入るともう足がつきません。ミネラル分が多いこの水には、治癒の効果があるとも言われています。
人が多くなければ、どちらも空中に浮くインフィニティ・プールのようになっているので、水の中から視界を何にも邪魔されず眼前に広がる絶景を楽しむことができます。
プールの1つは崖の淵にあります。ここからの眺めは最高です。崖に向かって泳ぐのは、ちょっと不思議な気分です。プールを泳ぎ切って、崖っぷちに上がるのは、水で表面が滑ることもあり、かなりドキドキします。
2つの大きなプール以外にも、周りには小さなプールがたくさんできています。プール外壁が、溢れ出た水が固まってしまったかのようなユニークな造形になっているのも興味深いです。
世界に2つだけ?石化した滝のある秘境
ところで、イエルベ・エル・アグアは絶景水遊びに加えて、まるで時間が止まったかのように見える2つの「石化した滝」が見所です。炭酸カルシウム含有量の高い湧き水が、何千年もの年月をかけて石灰分を運ぶことで、このような不思議な造形を生み出したそうです。
高さ30mの「cascada grande(大きな滝)」と12mの「cascada chica(小さな滝)」。今回、私は時間の都合で泣く泣く諦めましたが、大きな滝の滝壺まで行くこともできます。そして、そこからだとプールの下に当たる小さな滝も見ることができるそうです。
プールのすぐ近くにも、いずれは滝っぽくなるのかな?と思わせるような場所がありました。
洞窟内ではなく、地上にこのような鍾乳石のような造形がみられる場所はかなり珍しく、ガイドさんによると、「石化した滝があるのは、世界でもこことトルコの世界遺産、パムッカレだけ」とのこと。
旅行できるようになったら、ぜひいつか訪れてみてください。