東日本大震災のときに再認識した「石油ストーブ」の実力
あの大地震は、もう9年前か……。今年も「3.11」がやってきますね。死者・行方不明者が最大だった宮城県出身の僕にとって、東日本大震災はあまりにも衝撃的な出来事でした。
3月の東北の気候は当然知っていましたが、当時ボランティア活動で入った宮城県の町々はやはり厳しい寒さ。だけど、停電している場所では、エアコンや電気ストーブは使えないわけです。そんなときに力を発揮していたのは、石油ストーブ。ホンモノの火が生み出す温かさはパワフルで、オレンジ色の炎を見ていると心が落ち着く気分にもなれました。しかし、現在の僕の自宅の暖房器具は、電気ストーブにオイルヒーターと、すべて電気系なのです……。
これでは、いかん! また地震が来て、大規模停電になったらどうするんだ! 昨年は台風による長期停電もあちこちで生じていたではないか!
キャンプで愛用する人も多い、通称「レインボー」で知られる逸品
そんなわけで「災害対策」のために、思い切って石油ストーブを購入しました。安心感の高い日本メーカー「トヨトミ」の通称「レインボーストーブ」であります。冬の野外キャンプに使う人も多い人気製品なので、アウトドア好きの方ならご存知の方も多いでしょう。
レインボーストーブにはミリタリーテイストのものや、ガソリンランタンを模した外観のものなど、もっと「アウトドア」な雰囲気のものもあるのですが、僕が選んだのはクラシックなルックスの品番「CL-250」。キャンプで使うこともあるだろうけれど、どちらかといえば災害対策を念頭に選んだものなので、どんなときでも心が落ち着くような優しい雰囲気のデザインのほうがよかったのでした。
そんな「CL-250」が日本的な懐かしさとともに、ヨーロピアンな雰囲気も持っているのは、唐草模様がイメージらしいアールヌーボー的な金属ガードや、ステンドグラスのような模様が入ったガラスの外筒、そして深いネイビーの落ち着いた色使いだからかもしれません。これなら、洋室でも和室でもなじみそうですね。
ヤカンでお湯を沸かせば、冬場の乾燥対策にも
石油ストーブが機能的だと思うのは、天板にヤカンをかけていれば常にお湯が沸いていること。お湯の蒸気で部屋が満たされ、冬のキツい乾燥も和らぎます。お茶を入れたり、料理にも使えますよね。
そういえば小学生のころ、教室にあった石油ストーブで沸かしたお湯を利用して、お弁当を温めたことがあったっけ。津波で大きな被害を受けた松島では、石油ストーブで焼いたカキを食べすぎて、お腹を壊したことなんかも思い出します。ひさしぶりに石油ストーブを使うと、なんだかノスタルジックな気持ちになりますね。普段使いしている方には笑われそうですが。
点火するとすぐにわかりますが、かわいらしいルックスとは裏腹に、こいつが生み出す熱量は申し分なし! 気密性が高い僕の仕事部屋の室温は一気に急上昇し、写真を撮っているだけで汗がにじみだすほど。慌てて部屋の窓を開け、外気を取り入れました。
カタログ的には、木造住宅ならば7畳くらいまでの性能らしいのですが、約8畳の僕の仕事部屋には弱火にしても十分すぎるくらい。ちなみに、燃料タンクには4.9Lの灯油が入り、20時間近く燃料するようです。
「レインボー」の光の秘密は、外筒への独自の加工
ところで、なにゆえに「レインボー」と呼ばれているのか? じつはガラスの外筒にはトヨトミ独自の「レインボー加工」を施してあり、炎が反射していくつもの円が重なったような光になるのですが、その円がそれぞれピンク、イエロー、グリーン、ブルーといったレインボーカラーに見えるんです。
だけど、写真に撮るのはなかなか難しく……。それでも上の写真を見ていただけば、少しは「レインボー」を感じられるかと思います。
それにしても、満足感が高い買い物だな~。暖をとれるだけではなく、鍋をかければ料理もできるポテンシャル。見た目がかわいらしいモノをもつ所有欲も満たされます。なにより、これで真冬に大停電が発生したとしても、これで凍えることはありません。
こいつを手に入れただけで、なんだかものすごくホッとしました。そんな僕は、ついでに灯油ポンプも物色。一般的な赤いポンプは無粋に思え、ポンプ部分がグレーのものを見つけて購入したのでした。値段はほとんど同じですけどね。
災害がこないことを祈りつつ、「出番」を待つ
そんなわけで、ひさびさに存在感が高いモノの購入だった、このストーブなのですが……。僕が普段使う暖房器具は、今まで通りの電気ストーブで変わりはなかったりして。僕の自宅は気密性が高いので、石油ストーブを使うと短期間に何度も窓を開けて換気しなくてはならず、ちょっと実用的ではないんです。だから、やはりこいつはやはりキャンプか災害時がメインの用途。普段は倉庫で眠らせ、「出番」を待ってもらうことにしました。
その「出番」は災害時ではないことを祈ります。そもそも燃料の灯油はあまり長期保管はできず、ときどき使って新しいものに補充しなおす必要があるので、ちょくちょく点火して稼働させてやらないと。今年はあと何回使うかな?