アイリッシュコーヒーの歴史
今年の冬は暖冬でしたが、キャンプで過ごす夜はまだまだ寒いですね。今回はキャンプで飲むのにおすすめな「アイリッシュコーヒー」についてです。
コーヒーと名前が付いていますが、実はウイスキーを使ったカクテルなのです。アイリッシュコーヒーが生まれたのは1942年のアイルランド。当時のアイルランドは飛行艇の途中給油地として賑わっていました。
飛行艇と言えば、今は映画の中でしか見ることはなくなりましたが、1914年にアメリカで初めて旅客を乗せた飛行艇が就航されて以来、黄金期に入りました。地中海横断やアメリカ〜イギリス間の大西洋横断航路、イギリスからエジプト経由でインドや香港など、まさに映画『インディ・ジョーンズ』や『紅の豚』のポルコが活躍した時代です。
当時の飛行艇は航続距離も短く、大西洋横断航空路では経路途中のアイルランドとカナダに寄港し給油しながらの空の旅でした。アイルランドの給油地のひとつで、南西部・シャノン川河口の漁村フォインズにあった水上飛行場で水上給油している間、乗客たちはボートで一旦陸に上がり、給油を待つあいだ、寒さで身体の芯まで冷え切る程だったそうです。そんな乗客の体を温めるために、飛行場のパブのシェフ、ジョセフ・シェリダンさんが考え出したのが、アイリッシュコーヒーでした。
酪農の盛んな国ということもあり、非常に美味しい生クリームが浮かべられて口当りをまろやかにしコーヒーの味わいも相まって、ウイスキーが身体を温めました。この身体を温めるアイリッシュコーヒーが乗客たちから大変好評を得ました。
アイルランド産のアイリッシュウィスキーと生クリームの甘いカクテルは、戦後は空港でも提供されるようになり、口コミで世界中に広まりました。豆知識ですがアイリッシュコーヒーはアイルランド産のウイスキーを使うからアイリッシュコーヒーであり、同じウイスキーでも、例えばスコットランド産のスコッチ・ウイスキーをベースにしてしまうと、ゲーリック・コーヒーと名称が変わり、アメリカ産のバーボンをベースにするとケンタッキー・コーヒーと使うベースウイスキーの産地で名称が変わります。
使うウイスキーで味わいも違いますので、ご自分の好みの味を探してみるのも面白いかも知れませんね。筆者の当面の興味はジャパニーズウイスキーをベースに使ったら、やはりジャパニッシュコーヒーと呼ぶのでしょうか(笑)? シングルモルト山崎を使った贅沢なジャパニッシュコーヒーをキャンプで飲みたい! と思う今日この頃です。
アイリッシュコーヒーを作ってみよう
それでは実際に作ってみましょう。材料はこちら。
アイリッシュウイスキー 30ml(お好みで増減してください)
深煎りのコーヒー 80〜120ml
砂糖、三温糖、ザラメのいずれか 適量(好みに応じて)
生クリーム 適量
生クリームはこだわってキャンプ場で作るもいいですが、今は絞り袋に入って出来上がったホイップクリームも市販されているので、そちらを利用するのも便利です。生クリームやホイップクリームに負けないように、使うコーヒーは深煎りがおすすめ。深煎りのコーヒーもこだわってネルドリップで淹れてみるのもいいと思います。ネルがなくてもペーパードリップで十分です。
メインとなるアイリッシュウイスキーにも種類がありますが、値段もお手頃で、わりと簡単に手に入るのはJAMESON(ジェムソン)スタンダードや、タラモアデュー、世界最古のウイスキー蒸溜所で作られているブッシュミルズがいいでしょう。ブッシュミルズは、1608年からウイスキー造り続ける蒸留所です。中でもブラック・ブッシュは甘味が多く飲みやすいです。もう少しこだわるなら、ティーリング・シングルモルト。アルコール度数は46%と少し強めです。
アイリッシュコーヒーは、ご家庭でもフィールドでも簡単で手軽にできるアレンジコーヒーカクテルです。各材料の分量をメモして分量を変えながらご自分の好みの味わいのアイリッシュコーヒーを、是非挑戦して作ってみて下さいね。