次はカンディルだ。
本当に弱弱しそうな半透明の魚だ。イメージとしては小学校の時に保健室で恐る恐る見た人体模型に似ている。
こんな血管が透け出たひょーろくだまに何ができるんだと思いがちだが、こいつがなかなか恐ろしい。群で襲いかかって体内に入り込み骨と皮だけにしてしまうのだ。
顎の下に一度取りついたら決して後戻りしない強力ストッパーがついている。前進あるのみのラグビーフォワードだ。
こいつの前で弱弱しく泳ぐのだけは止めた方がいい。
3番目はサンゴヘビ。コブラの何倍という神経毒を持っている筋金入りの毒蛇だ。
僕らはたまたま車で轢かれたサンゴヘビを見つけてしまった。その姿はまるで刑務所から脱獄した犯人みたい。
しかし性格はいたって温厚。歯も短いので厚手の服ならば毒液が注入されることもないという。しかし、甘く見てからかってはいけない。決して脱獄犯をかくまったりしないように。