これから山のアクティビティを楽しんでみたいと思う方にとって、僕自身の経験から、山に入るならこれだけは揃えておくべき&持っていくべきだと思うものを挙げてみます。ハイキング、トレッキング、キャンプ、それぞれの目的は違うと思いますが、必要最低限の必携アイテムの参考になればと思います。(もちろんこれが全てではないですが、山の経験が浅い方も、自信のある方もぜひ確認してみてください)
1.靴
山に行くなら、最低限滑りにくいソールの靴が必要です。山の中で怪我をすると想像以上に大変です。自力で下山するにせよ、救助を待つにせよ、体力的にも精神的にもかなり追い込まれますから、怪我をしない工夫は非常に大事です。
トレッキングシューズを履いていくのがベストですが、短時間のハイキングで荷物も軽いのであれば、気軽に使えるトレイルランニング用のシューズが、強度もありグリップも効くのでオススメです。
2.リュックサック
山登りは、長時間の歩きであればあるほどストレスが増すものです。荷物を背負ったときのバランスの悪さも、平地ではそこまで気にならなくても、山の中では負担になってきます。僕が勤務する山小屋「三条の湯」へは、林道を2~3時間歩くだけで到着するルートがあるのですが、普段使いのトートバッグやショルダーバッグなどで来られる方をたまに見かけます。これだと、たとえ林道歩きだったとしても、荷物を背負って歩いたときのアンバランス感や肩の痛みがストレスになることは間違いありません。
リュックサックは、タイプもサイズも色々あるので最初は迷うと思いますが、アウトドアショップの店員さんに相談しながら選んでください。背負い方も、特に荷物が重いときや傾斜のある急登では、腰ベルトをしっかり締め腰で背負う意識を持つと肩が楽になったりします。自分にあったリュックサックと背負い方を試してみて、なるべく楽な歩き方を身につけましょう。山歩きがもっと楽しくなるはずです。
日帰り低山登山などで僕自身がよく使っているのが、中古登山ギアのショップでたまたま購入したMillet(ミレー)の35Lのザック。大きさも背負い心地も、自分の体型に合っていて気に入っています。
3.非常食
山の中では、水分やエネルギーが足りなくなるだけで大ピンチです。もちろん、遭難や事故といった緊急事態に備えての非常食ですが、行動食の予備としての役割もあるので、どんな時でも僕は非常食を持ち歩きます。
昔、前泊した避難小屋で居合わせたハイカー達と大宴会となり、翌日二日酔いの中、半日かけて登った山頂でその日の昼食を忘れたことに気づいて青ざめた経験があります。あとで笑い話にできたのは、この時に非常食を持参してあったからです。
4.地図
歩くルートの地形図や登山地図があればベストですが、初めは観光用のハイキングマップやスマホの山アプリでも構いません。大事なのは自分の現在地を確認して、意識しながら歩くことです。ただ、山中ではGPSの精度が落ちることもありますので、GPSを過信せずに紙ベースの地図も携帯しましょう。
5.ヘッドライト
下山途中で暗くなってしまったときや、リュックサックの荷物を取り出すときに、ヘッドライトがあるかないかでストレスも減ってきます。スマホのライトだけでも何とかなる場合もありますが、両手がフリーになるヘッドライトが便利です。気軽なハイキングでも、リュックの上蓋など取りやすいところに忍ばせておきましょう。また、予備のライトや電池も準備しておくと完璧です。
6.救急セット
僕が山に行くとき、必ずリュックの底には「万が一BOX」を入れていきます。非常食、予備のライトと電池、そして救急セットです。救急セットについては人それぞれですが、最低限あったほうがいいと思うものを3つ紹介します。
1.頭痛薬:高山病や痛みの強い怪我に有効
2.ガーゼとテープ:出血を止めるもの
3.サバイバルシート:天候や怪我で動けないときに雨や寒さを防ぐ
※薬はご自身の常備薬なども併せて調整してください
装備も携行品も、僕は今もなお反省や想定を繰り返して試行錯誤をしています。また、忘れ物を減らすためにも「山BOX」を作っています。日帰り登山のときに必要な最低限の装備品をひとまとめにしておいて、ボックスごと車に積み、登山口で使う順番も考慮してザックに詰め直しています。
僕自身、山岳救助の支援をしたり、山小屋スタッフとして働いているなかで、上記した6つのものを登山者が持っていなかったがために、救助や救援が難しかったケースを少なからず経験しています。いかに安全で、快適な登山を楽しめるかが全てだと思いますので、自分なりにベストな状態で山へおいでください。