ベースレイヤーは、”地味”だけど”最重要”な「基本」ウェア!
“ベースレイヤー”とは、汗をすばやく吸い取り、すみやかに発散させることで体温調整をつかさどるウェア。「ベース」というくらいで、レイヤードの「基礎」「基本」となる最重要のウェアであることは、アウトドア好きの方ならばご存知だと思います。
汗が乾きにくい素材は機能的ではないため、使われる素材は化繊かウールです。化繊は速乾性に長けているものの、ウールのほうが汗冷えしにくく、どちらを選ぶかは用途や目的、そして好み。そのあたりのことを説明し始めると長くなるので、ここでは割愛しますが、僕自身は両者を使い分けつつも、どちらかといえばウールの使用率が高いんですね。僕は乾燥肌で、真夏以外は速乾性が高い化繊素材を着ると肌がかゆくなって仕方ないからです。
そんなわけで、これまでさまざまなメーカーのウール製ベースレイヤーを着てきましたが、最近購入したのが「ウールパワー」なるスウェーデンの会社の製品。それも、風合いのよさと色が気に入って、長袖の「クルーネック ライト」と半袖の「ティー ライト」を一度にふたつも。生地の厚みには“600”“400”“200”“ライト”と4種あり、これらはどちらもいちばん薄い“ライト”ということになります。
海があるスウェーデンの会社なのに、色名はなぜか「ノルディックブルー」
このベースレイヤーにつけられた僕好みの色の名前は「ノルディックブルー」。ノルウェーの海の色がイメージなのかな。スウェーデンの会社なのに……。わざわざお隣の国の名前を付けるとは、なかなか包容力がある会社なのかもしれません。
それにしても、スウェーデンは日本以上に寒いからか、“ライト”といっても思ったよりも薄くはなく、保温性は高そうです。日本では「中厚」くらいのイメージでしょうか? もう1ランク生地が薄いバリエーションがあると、温暖な日本ではよさそうです。ちなみに、先ほどから僕はウール素材のベースレイヤーと説明していますが、正確にはポリアミドを20%混紡。耐久性を高めてあります。
実際に着てみると、なかなかいい感じ。登山のように汗をかくようなシチュエーションではまだ試していませんが、これは期待できますね。“ライト”の生地の厚みだと、日本では春や秋の低山、夏の高山くらいが合っていそうです。
ザラッとしている素材感が、むしろいい!
素材には少々ザラつきがあり、これなら汗をかいても肌に張り付きにくいはず。もっと滑らかなほうがいいと思う人もいるかもしれませんが、発汗量が多い僕は、こういう素材感のほうが好みなんです。これは購入を検討したひとつの理由でもあるんですよね。
ウールという素材を生み出すヒツジにはいくつもの種類がおり、そのなかでもベースレイヤーに使われるものの大半は繊維が極細で肌触りがよいメリノウールです。近年になって加工方法も格段に進化し、肌触りはますます向上しています。いまだにウールといえば「チクチクする」というイメージを持っているオールドアウトドア愛好者もいらっしゃいますが、若い人ならばチクチクしないのが当たり前でしょうね。
本格的なアウトドアの始まりが、高校の山岳部だった僕も、以前はウールといえばチクチクするものだと思っていました。雪山に行くときに、山岳部では汗冷えしない「ウールの肌着(つまりベースレイヤー)」を着るように指導されていましたが、当時の「肌着」は汗で濡れるとチクチクして我慢できないほど。だから僕は家族が着古したカシミアの薄手セーターをダイレクトに着て、肌着代わりにしていました。着古したものとはいえ高級なカシミアを登山用ベースレイヤー代わりに着ていたなんて、あれっ? もしかしたら当時の僕はどこかのセレブの御曹司だったのか……。
しかし、それはあくまでもセーターであって、ベースレイヤーではないので、縫い目がゴロついていた記憶が残っています。その点、現代のウールのベースレイヤーはさすがですね。ステッチの処理が完璧なんですから。
表側はその上に着たウェアとの摩擦感が少ないフラットな縫い目で、裏側は肌と擦れても違和感がない程度にふくらみを抑えてあります。現代の気の利いたベースレイヤーならば珍しくはない工夫ですが、当たり前のことを当たり前にしてくれている点は信頼感につながりますよね。
長く使わないとわからない耐久性の良し悪し
ウールのウェアは、その品質によって耐久性に大きな差が出てくるものです。これまでに僕が使ってきた某メーカーのものはすぐに傷んでしまってガッカリしましたが、別の某メーカーのものはビックリするほど長持ちしました。
さて、ウールパワーのものは、どうだろう? 見た感じは非常によさそうで、だからこそ購入したのですから、いつまでも愛用できることを祈っていますよ。