ミューア・ハットからは、長い下りが待っていました。他のハイカー達と追いつ抜かれつを繰り返しながら、3年前にはまだ建設中だったルコンテレンジャーセンターに着く頃、私は異変を感じたのです。
「なんか焦げ臭くない?」
そして、しばらくすると周りに煙がうっすらと立ち込め始めてきたのです。
ルコンテ・レンジャーセンターからは、ビショップパス・トレイルで迂回が出来ます。以前から、山火事で歩けない場合の迂回ルートとして考えていたルートでした。
分岐点にハイカー達が集まってきていました。そしてしばらくすると先に進みはじめて、そこでみんな一瞬悩むようです。もう一度分岐点まで戻ると、ビショップパス・トレイルにブラックベアーの目撃情報があるので注意するよう手書きのメモが張られていました。
ビショップパスを越えるには、今丸2日かかってしまいます、注意書きが張られるほど熊のいるエリアでキャンプはしたくありませんでした。
行ってダメならまた考えようよ。そんな言葉が自然たのです。結局、私達はそのまま歩き始めることにしました。
歩き始めて小1時間程すると、熊の糞がトレイル上に転がっている場所に出ました。ヤバイ、熊の糞が無く所まで歩かないとキャンプはできないな・・・。
煙は立ち込めているし、熊の糞はそこら中にある。ちょっと憂鬱になってしまうのでした。
翌日からは、煙の量も焦い匂いも少なくなり始めたのですが、パリセードレイク・マザーパスという厳しい登っていました。いつも通り私が先に着き休憩していると、しばらくしてクミさんがかなり疲れた様子でわれました。