「私、今日はここでキャンプしようと思います」
その疲れ切った表情を見ると、もう少し頑張ろうよとは言えませんでした。ほどなくワタナベさんが追いついてきて、私たちは2人で先へ進むことを決めました。
残りの食料に問題さえ無ければ、日程に余裕のあるクミさんは急ぐ必要がないのかもしれません。峠を登りながら、つい何度も後ろを振り返ってしまいます。
クミさんが思い直して、ふたたび歩いて来る様子は感じられませんでした。ワタナベさんとは、ほぼ同じ日程だったこともあり、言葉にはしませんでしたが、このまま2人でトレイルの最後を迎えるのだろうと感じていました。
私たちはにパスを越えの午前中にパスを越えられる場所まで歩くのがお約束になっていました。
翌日それと同じペースで私が先に出発し、午前中にピンチョットパスに登り、ワタナベさんを待っていました。そしてそこにやって来たのはなんとクミさんでした。
昨日、パリセードレイクには泊まらず、私達がキャンプしていた近くまでは歩いて来ていたけれど追いつけなかったとのことでした。
しばらくしてワタナベさんも追いつき、またいつもの3人のトレイルが始まりました。
きっとこの頃から、3人で歩き一緒にゴールすることが目標になってきたような、そんな気がしていました。
次回へつづく
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初めてのジョンミューア・トレイル顛末記vol.1
初めてのジョンミューア・トレイル顛末記vol.2
初めてのジョンミューア・トレイル顛末記vol.3
初めてのジョンミューア・トレイル顛末記vol.4
初めてのジョンミューア・トレイル顛末記vol.5
初めてのジョンミューア・トレイル顛末記vol.6
初めてのジョンミューア・トレイル顛末記vol.7
初めてのジョンミューア・トレイル顛末記vol.8
Profile
斉藤正史 山形県在住
LONG TRAIL HIKER
NPO法人山形ロングトレイル理事
トレイルカルチャー普及のため国内外のトレイルを歩き、山形にトレイルを作る活動を行う。
ブログ http://longtrailhikermasa.blog.fc2.com/
山形ロングトレイル https://www.facebook.com/yamagatalongtrail