旅行や収納に便利!スーツケースに合うオーガナイザーを自作してみよう
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    2020.10.16

    旅行や収納に便利!スーツケースに合うオーガナイザーを自作してみよう

    私が書きました!
    ロングティスタンス・ハイカー
    ミツ
    63歳で退職後、ニュージーランド(NZ)に4ケ月英語留学。その間地元のトランピング(トレッキング)MeetUpに参加してAuckland郊外の色々なコースを歩くうちに、トランピングにはまる。その後NZに9つあるグレートウォークのうち4つのコースを歩く。2019年にはスペインの巡礼路カミーノ/フランス人の道を2回に分けて800kmを走破。長距離トレッキングに適した、軽くて自分好みのギアが欲しくなり自作しだした。今年初夏のカミノ再訪に備えて必要なグッズを自作準備しているが、COVID-19で渡航を諦める。日頃は地元北九州の皿倉山に週1〜3回登って低山ハイキングを楽しんでいる。

    旅行に使える、ピッタリサイズのオーガナイザーをDIY

    前回(https://www.bepal.net/diy/87378)では、スタッフバッグの自作方法をご紹介した。バックパックには最適なスタッフバッグだが、通常のスーツケースやキャリーバッグには、オーガナイザー(整理収納用アイテム)を使いたくなるのではないだろうか? オーガナイザーも色々なサイズがあるが、自分のスーツケースにぴったりなサイズで揃えようとするとなかなか見つからない。そんな時はやはり自作に限る。

    前回のスタッフバッグに挑戦した方は、きっと生地が余っていると思う。今回も同じシルポリ生地を使って、ウルトラライト(UL)のオーガナイザーの作り方を説明する。

    材料と道具

    1. 生地

    前回のスタッフバッグで用いた、15デニールの撥水性生地「シルポリ」(0.93 oz/yd2 <31.5 g/m2>)を使う。

    生地: MEMBRANE silpoly, 0.93 oz/yd2 (31.5 g/m2), 15D。とても薄い。 左下写真は水滴を撥水している状態。

    今回は白い色のシルポリをメインで使うことにした。中に何を入れたが分かり、かといって完全に透明で丸見えということもない絶妙な半透明な生地が、オーガナイザーにぴったりと考える。

    見え過ぎず、見え足らずの「透け感」がオーガナイザーにピッタリ

    DIYするオーガナイザーのサイズを決める

    自分のキャリーバッグの大きさ: W320 mm x H460 mm x D100 mm (本体深い方) /D 80 mm (フタ部)

    キャリーバッグの開口面積に対して
    ・1/2サイズ(Lサイズ) 
    ・1/4サイズ(Mサイズ)   
    の2種類を作ることにして、マチ(深さ)を100mmとした。バッグ片側にLサイズ1個、Mサイズ2個がキッチリ収まるサイズだ。(※1枚目の写真参照)

    オーガナイザーの寸法:
    ・Lサイズ: W 320 mm x H 230 mm x D 100 mm、7.2 リットル
    ・Mサイズ: W 230 mm x H 160 mm x D 100 mm、3.5 リットル

    角部は、市販品並に丸みを付けたいところだが、曲線縫いでかつ立体に仕上げる技術が必要で、シルポリ布地を用いた場合難易度がグッと高くなる。そこで角を切り落とし(面取り)、直線縫いだけで済むお手軽な方法で作る。

    注: 面取りとは、角を切り落とすこと。下の写真の記号Cで示している。

    面取り記号CはChamferの略。C20とあれば、角から20mmのところで45度で切り取る。

    必要なパーツは下記となる。
    ・オーガナイザー上下面の長方形部(蓋となる部分と、底辺の部分)
    ・マチ(オーガナイザーの深さ)
    ・ファスナー
    ・ファスナー両端に付けるタブ用リボン

    各種生地パーツの寸法の算出方法

    それぞれの生地のパーツの名称と、ファスナーを記した。

    【必要生地寸法の算出数式】
    ・本体生地寸法:  縦・横とも各々10 mmずつ縫代を取る。
    ・マチ (上・下)長さ:  マチ全周長さ – (横 – 2C) + 縫代(10 mm) x 2
    ・マチ (背面)長さ:  横 – 2C + 縫代(30 mm) x 2

    【決定生地寸法】
    面取りC = 20 mmとした場合、生地寸法は下記になる。

    (1) Lサイズ (キャリーバッグ開口面積の1/2サイズ)
    ・本体: 340 mm x 250 mm: 2枚
     全周長さ: 1,053 mm (小数点以下は四捨五入)
    ・マチ (ファスナー無し部): 340 mm x 120 mm
    ・マチ (ファスナー部): 793 mm  x 120 mm 
     このマチをファスナー取り付けの為、120 mmをさらに40 mmと80 mmに2分割する。

    (2) Mサイズ(キャリーバッグ開口面積の1/4サイズ)
    ・本体: 250 mm x 180 mm: を2枚
     全周長さ: 733 mm (小数点以下は四捨五入)
    ・マチ (ファスナー無し部): 250 mm x 120 mm
    ・マチ (ファスナー部): 563 mm  x 120 mm 
     このマチをファスナー取り付けの為、120 mmをさらに40 mmと80 mmに2分割

    全周長さとは?

    上記の寸法で「全周長さ」がイメージがつきづらかったかもしれない。そこで以下に写真と図で説明する。マチは、ファスナー部とファスナーが無い部分(マチ背面)にわかれ、これらを縫い合せて次の写真に示すように一本の帯状の輪にする。

    マチは、ファスナーを縫い付けたマチ(マチ上下)と、ファスナーがないマチ(マチ背面)を縫い合せて、1本の帯状の輪とする。(写真は、完成品から、本体(蓋)と本体(底)を取り除いて、マチだけにした状態)

    縫い合せて帯状の一本の輪にしたマチの全周長さは、本体(蓋・底)の縫い合せる「本体全周長さ」と一致する。そこで、両方合わせて以後「全周長さ」と呼ぶことにする。(本体は角部を一部カットするので、全周長さは単純な四角形の全周よリ短くなるので注意が必要)

    ・全周長さ = 縦・横四辺の長さの合計 -面取り寸法(mm)C x 2.4

    本体(蓋・底)とマチの縫い合せイメージを次に示す。

    本体とマチの縫い合せイメージ図

    2. ファスナー

    今回は、「チェーン」タイプのファスナー(YKK フラットニット(25 mm) Col.No: 501、5 m巻き スライダー12個付)を使った(写真参照)。チェーンタイプは好きな長さでカットして使えるので便利だ。またどちらからも開閉できるようにスライダーは2個とする。なお写真に示したようにスライダー同士が向かい合うようにしておいてから、ファスナーをカットするとスライダーを着脱する必要がなくなり作業が簡単になる。

    5 mチェーンフラットニットファスナー。スライダーが12個ついている。

    【ファスナーの寸法】
    ファスナーの長さ=マチ(ファスナー部)の長さ + 約20〜30 mm。

    長めにするのは、作業中に両端の閉じていたファスナーが開いた際、再度閉じる為に必要な長さを確保しておく為だ。ファスナーはガバッと観音開きできるようにコの字型に取り付ける。また高さ方向の取り付け位置は上部から30 mm、下部から70 mm位置に取り付けることにする。ファスナーに上下のマチを縫い付けた後、不要分をカットしファスナーが無いマチ部と縫い合せる。(詳しくはまた後ほど触れます)

    3. 持ち手(タブ)

    【タブの寸法】幅25mm×長さ70mm ×2個

    タブはなくても良いが、ファスナーを開ける時に合ったほうが便利。幅はファスナーと同じ25 mm幅のグログランテープを2片、各々70 mm使用した。これを二つ折りにしてマチを連結する時に差し込んで一緒に縫い込む。

    4. 道具

    ミシン (針: #9、糸: フジックススパン#60)、裁縫道具、ロータリーカッター、カッターマット。詳細は前々回の記事ポーチ(https://www.bepal.net/diy/81182)を参考にしてください。
    型紙: 同サイズのオーガナイザーを複数作成する場合は、型紙を作って印付けした方が効率良いが、今回は省略する。
    裁断したMサイズのパーツが、この写真になる。

    Mサイズのパーツ

    作り方

    今までのポーチやスタッフバッグと比べて、難易度が少し高くなる。特に角部にカーブをつけようとすると、この材料は非常に滑りやすいので、難易度はグッと上がる。しかし今回のように角部を切り取る形状にすれば、直線縫いだけで済み、ハードルは低くなるので安心して欲しい。

    生地の印付けと裁断

    印付けは前回のスタッフバッグと同様、チャコペンを使う。ただし今回用いた白い生地の場合、チャコペンの跡が目立ってしまう。印付けがチャコペンに比べて見えにくくなるが、日数が経つと自然に印が消えるタイプの「しるし付けぺん」が良い。

    生地 (1ヤード:約0.91 m ×58インチ幅: 147 cm)から、3リットルのスタッフバッグ用生地を切りとった(写真左上部)残り生地。

    参考までにだが、3リットル用のスタッフバッグ用の生地を切りとった残り生地から、オーガナイザーLサイズ 2セット、Mサイズを3セット取ることができた(上の写真参照)。(3リットル用スタッフバッグ用に取り寄せた生地の元の大きさは、 1ヤード(約0.91 m )×58インチ(約147cm)幅)

    ファスナーをマチに取り付け

    ここからミシン掛け開始となる。ファスナーに、上下にマチの生地を縫い付けて一つのマチとする。ファスナー表とマチ生地表面を向かい合わせ(中表に合わせる)、マチ生地端をファスナー端に写真のように合わせた後シツケまたはまち針を打って固定し、ミシン掛けする。シツケやまち針なしでいきなりミシン掛けしても良いが、滑り易いので、途中から生地とファスナーがズレやすい。ここは時間がかかってもシツケするのが安心だ。慣れた人はまち針の方が手早く出来るだろう。

    裁縫用仮止めクリップで生地端とファスナー端を合わせておくとシツケがし易い。

    左: ミシン押さえをファスナー用に交換して、ファスナー端から6mm位置をミシン掛け。

    ファスナーに上下マチを取り付ける際、前の写真右の赤丸内に見えるスライダーがミシン針に近づいたら、針を降ろしたまま一旦ミシンを止め、押さえを上げて、針の手前にあるスライダーを、後ろまでずらしてスライダーが邪魔にならないようにしてから、再度ミシン掛けを続ける。

    ミシンの縫い目部からマチを折り返してステッチをかける。今回は生地が薄いので、補強の為ダブルステッチする。

    ファスナーに上下マチを縫い付けて、完成直前のファスナー付きマチの状態。左側マチはダブルステッチ完了状態。右側はミシン掛けしたマチを折り返し、これからダブルステッチをかける状態。ステッチ掛け終わったら、余分なファスナーを切り落としてファスナー付きマチパーツの完成。

    ファスナー付きマチと、マチ(背面)の縫い合せ

    前の工程で出来上がったファスナー付きマチと、ファスナーが無いマチ(背面)を縫い合わせる。縫い合せはマチ表面同士を向かい合せにして(中表)、タブを中に挟みこんだ状態でする。生地が滑りやすいので、シツケかまち針で固定してから、縫い合わせる。

    その後縫代を補強を兼ねて「折伏せ縫い」で処理(始末)する。言葉ではわかりにくいので、次のイメージ図と写真を参考にして欲しい。要はマチ(背面)の30 mmと長目にとった縫代の20 mm部を二つ折りして、それをさらにファスナー部マチの縫代に被せて三つ折りにしてから、表からタブルステッチする。

    タブを挟み込みマチ同士を縫い合せた後の縫代の始末(「折伏せ縫い」)のイメージ図(生地を側面から見た場合)

    マチ(背面)の縫代を三つ折りしファスナーの上に重ね、動かないようシツケるかまち針をうって固定する。

    表からタブルステッチする。縫代の始末の一つで「折伏せ縫い」。

    ファスナー付きのマチが完成。

    マチと本体上下面と縫い合せ

    マチと本体の縫い合わせは、一周をグルリと連続して縫い合わせたいところだが、輪になったマチの周囲長さは、予定通りピッタリの長さになるとは限らない。その場合、マチと本体(蓋)や(底)の合印に合わせて仮止めし、縫い進めても寸法の長さが狂ってきて、最後にはマチの長さが余るか、不足する狂いが生じてしまう。この狂いを面取り寸法の変更で調整する。

    一周グルリと縫い合せずに、長辺、短辺を先に直線縫いする。その際、縫い始めと縫い終わり点は、次の図に示すように、面取り開始点の4-5 mm手前にしておき、最後に面取り部の切り取り長さを調整して縫い合せるようにする。

    マチと本体の長辺と短辺を先に直線縫いするが、面取り点手前4-5 mm部で止め、面取り長さを長めにしておき、最後の縫い合せ時に面取り長さを調整する。

    以上の調整方法を念頭に置き、四辺のマチと本体各辺の中央並びに面取り部角の合印を合わせて、マチ針かシツケで仮止めする。次の写真に示すように、中に適当な容器を入れると作業がしやすい。

    辺中央とマチの合印を合わせ、仮止めする。マチがダラリとならないようマチの輪の中に適当なサイズの箱などを入れて作業するとやりやすい。

    縫い合せのイメージをわかりやすくする為、本体とマチの色を違えた写真を次に示す。

    マチの面取り部に、縫い目1-1.5 mm程までに切り込みを入れて縫い合せる。

    四辺を縫い終わってから、面取り部を縫い合わせる。マチの面取り角部に縫い目まで1-1.5 mm程度の切り込みを入れる。小さな箇所だが、生地が動きやすいので、まち針やクリップでしっかり固定する。

    クリップやまち針を取り外した後は、目打ちで布を動かないようにしてミシン掛けする。

    マチと本体を縫い合せた状態。

    裏返して完成

    裏返して完成。適度な透けが中身の確認を容易にする。

    肝心の重量だが、Lサイズは、生地のみ9.6 g、完成品で20.6 g。Mサイズは、生地のみで6.2 g、完成品が14.0 g。十分軽いと言って良いのではないだろうか。

    製作費は3千円以下!

    シルポリで作ったオーガナイザー達

    製作費用は、1ヤード(約0.91m) ×58インチ幅(147cm)の生地(約1,000円弱、送料別)、5mファスナー(1,000円前後)とリボン合わせて3千円以下(送料別)で、Lサイズ2セット、Mサイズ3セット作ることができた。

    自分のキャリーバッグにぴったり合ったULオーガナイザーセットを見ていると、旅行に行きたくなる。旅に行ける日を想像しながら、家で自作のオーガナイザーを作る時間をぜひ楽しんでみてください。

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