その日泊まったギターレイクから、Mtホイットニーまでのルートははっきりとは見えません。
しかし、確実そして一気標高をあげていく急なのぼりがまっているのです。
朝起きると、周りには氷が張っていました。朝日を見るために深夜から歩き始めるハイカーが多く、昨晩は沢山あったテントも無くなり、私達と数組を残すだけになっていました。
あまりの寒さに、朝日を見ることは諦めていた私たちの目の前に、突如、異様な光景が目に入ってきました。
何故かハイレグのパンツを履いた男性が、しかもTシャツ姿でMtホイットニー方向から走って降りてきたのです!
私たちは目を疑いました。え?え?
3人ともただその姿を見て何が起きているのか理解できず、ただ視線は彼に釘付けです。
そしてルートを間違えたらしく、戻っていく姿をみて、ようやくみんな大爆笑しました。
Mtホイットニーに向かうトレイルは、所々凍っていました。
滑らないように、そして高山病にならないようにゆっくりと歩き始めます。
やがて、Mtホイットニーとポータルとの合流地点に着くと、前日の雪が凍っていました。
多くのハイカーは、ここに不要な荷物を置き、Mtホイットニーを目指します。
しかし私は、そのまま荷物を置かずにMtホイットニーへ歩き出しました。
ヒドイ寒さに体は芯から冷え切っています。さらに標高も高く、高山病にかかるハイカーも少なくありません。
やがて尾根に出ると、吹き付ける風が一層強くなってきました。
山頂に着で、レンジャー達が何やら集まっています。2日前に遭難、無事発見されたとのことでした。