火にかければあっという間にできるエスプレッソ
コーヒーの味わいは千差万別です。そんなコーヒーには薄めの味わいもあれば、逆に濃いめの味わいもあります。そんな濃いめコーヒーの代表といえばエスプレッソです。今回は、アウトドアでの直火エスプレッソの楽しみ方をお話しします。
エスプレッソマシンとマキネッタ
両者は、どちらも圧力をかけて抽出するコーヒーで、マシンはショップの味、マキネッタは家庭の味のエスプレッソです。通常マシンは9気圧前後の圧力をかけて抽出しますが、マキネッタではボイラー内の水が沸騰し、蒸気の圧を高めて2気圧くらいの圧力で抽出します。圧力の違いで何が違うのかというと、抽出時間とクレマの有無です。抽出時間はマシンなら13〜15秒でマキネッタなら4〜5分になります。そしてクレマとはエスプレッソの液面に浮かぶ非常にキメの細かい泡のことです。
泡の成分はコーヒー豆に含まれた炭酸ガス(二酸化炭素)でペーパードリップならお湯を注ぐとガスが出てコーヒー豆の粉が膨らむという現象として現れますが、エスプレッソの場合、9気圧の圧力を上からかけるので、行き場を失った炭酸ガスはお湯の中に溶け込むしかなく、クレマという形で現れるのです。
キャンプシーンにエスプレッソマシンを持ち込むのは、チョット興醒めかもしれれませんが、本場イタリアではエスプレッソというとマシンで高圧抽出されたコーヒーをいい、マキネッタなど直火式の器具で淹れられたコーヒーは「モカ」と呼ばれて、全く別の飲み物として区別されているようです。しかし、私はあえて「直火エスプレッソ」という呼び方で良いと思っています。その方がアウトドアっぽいですし。
また、ここで言う「モカ」とは、品種やイエメンの港町の「モカ」のことではありません。キャンプでのエスプレッソで思い浮かべるのはアルミ合金製の八角形、モカエクスプレスでしょう。直火でエスプレッソを作るこの器具はアルフォンソ・ビアレッティにより1933年に発明されました。モカエキスプレスはビアレッティ社の商標で、同社の代表的なモデルです。
現在まで多くの種類を販売しており、現行のモカエキスプレスには1杯用から18杯用まで様々な大きさが販売されているので、ご自分のスタイルに合った大きさのモノを選びましょう。また、直火エスプレッソは機構的にもクレマが出にくい傾向があるようで、モカエクスプレスも例外ではありません。
同じビアレッティ社のブリッカというモデルは、クレマが出やすいバルブを採用しているようで、若干コツはいるようですが、見た目だけでもクレマのあるエスプレッソをつくりたい人は形状が可愛いブリッカがオススメです。
エスプレッソを美味しく淹れるポイント
アルミのヤカンで沸かしたお湯でドリップすると、アルミの溶け出した成分とコーヒーの成分がケンカして味がおかしくなるというお話しをたまに聞きます。モカエクスプレスも多くがアルミ製です。
新品のダッチオーブンを油でシーズニングするのと同じで、モカエクスプレスはコーヒーオイル(コーヒーの油脂分)で使っていきながら徐々にシーズニングされますので、洗剤では洗わずに水洗いしましょう。それと新品を使うときは、エスプレッソを何回か試し淹れして軽くシーズニングしましょう。使い込む度に味も良くなっていきます。
エスプレッソが生まれた北欧で使われている水は硬水です。硬水はマグネシウム成分が多いので、渋味や苦味が出やすい傾向にあります。イタリアの水は中程度の硬水が中心です。本場のエスプレッソに近い味わいを楽しむなら、イタリアンローストやフレンチローストなど深煎りの豆を使って、中程度の硬水で淹れてみましょう。キャンプに行った際、食材の買い出しのときに硬水のミネラルウォーターのペットボトルも一緒に買って本格的なエスプレッソを淹れてみてはいかがでしょうか。
おすすめのエスプレッソレシピ
直火エスプレッソで出来るレシピや楽しみ方もいろいろあありますが、まずはストレートで飲むエスプレッソを作ってみましょう。お湯で割ればアメリカーノになり、ストレートでもボイラーに入れる水の量で濃さを意図的に変えられますので、濃いめに淹れたエスプレッソをロックアイスをギッシリ詰め込んだマグに注げばアイスアメリカーノの出来上がり。
お湯で割らずに温めた牛乳で割るとカフェラテに、そして先ほどと同様にマグにロックアイスと牛乳とエスプレッソでアイスラテになります。
またハンディミキサーやミルク泡立て器で温めたミルク(60℃くらいが理想)をきめ細かく泡立ててエスプレッソに入れればカフェカプチーノの完成です。これらのレシピはキャンプのみならず、お家でも出来ますのでぜひ試してみてくださいね。