昨今のキャンプシーンにおいて、「映え」は切っても切り離せない大事な要素。いまやクルマも素敵なキャンプを演出するギアの一部であります。 モノがデカいだけあって、その効果もてき面。発売以来、大人気となっている現行ジムニーはまさにその象徴でしょう。本格的な4WD車でありながら愛嬌も抜群。おまけに軽自動車なので税金も安いと良いことずくめ。そら売れますよ。で、私も買ってみたんです。映えるジムニーを。
手に入れたのは古すぎ、渋すぎなジムニー
これ、どうです?めっちゃ可愛くないですか?このクルマは50年の歴史をもつジムニーの中で1976年から’81年まで作られたSJ10と呼ばれるモデルです(私のは’81年式)。ジムニーは1970年に初代モデルが登場し、二度のマイナーチェンジを経て1981年に二代目(SJ30)へとバトンタッチしました。つまり私のジムニーは初代の最後にあたります。インテリアは鉄板むき出し。クーラーも付いていないスパルタンな仕様です。昔の軽規格なので現代のクルマと比べると冗談みたいに小さい。私のはバンですが、これとは別に幌(キャンパスドア、メタルドア)という3種類のボディタイプが用意されていました。車内後部には子ども椅子のような折りたたみ椅子が装備されています(笑)。
レトロなスタイルが目を引きますけど、実はこの時代のジムニーはもろにジープの模倣なんです。可愛いけれどあまりオリジナリティはないんですね。ところがエンジンの方はものすごく個性的。550㏄の2ストローク3気筒というほとんどオートバイみたいな構造のエンジンが採用されているんです。甲高い排気音はオートバイそのもので、街中を軽く流すだけで笑っちゃうぐらい爽快ですよ。
ところが最高出力はたったの26馬力。こいつで700㎏以上の車体を動かすっていうんだから速いわけがありません。動力性能は原付スクーター並みかそれ以下。4速マニュアルですが、普通にギアチェンジすると時速40~45㎞でもう4速に入ってますからね。高速道路? 原付スクーターで高速道路は走っちゃいけません(笑) 。時速65キロも出すとハンドリングも不安定になり、結構怖いです。
あと、エンジンのご機嫌がコロコロ変わるのも困りもの。信号待ちでうっかりエンストしてすぐに再始動できなくなることもしょっちゅうです。キーひねるときに少しだけアクセル踏むとか踏まないとか、気温や気候によって微妙なクセがあるんです。もちろん4WDシステムはパートタイム四駆。ボディが軽いこともあって砂浜でもぐいぐい進みますが、いまのところあまりオフロードは走っていません。
錆を気にしないアナタは大丈夫
ジムニーの中古車はタマ数豊富ですが、このSJ10ぐらい古いものになると現存数はガクッと減ります。単純に古いのと、その後のモデルに比べて機械としての完成度が低いことがその理由だと思います。とくにネックなのが防錆されていない鋼板を用いたボディ。とにかく錆びやすく、しっかり修復するには多額の費用がかかります。車体自体は50万円ぐらいで実働のものを入手できると思いますが、大抵は錆で穴が空いてる、もしくは空きそうな個体だと思います。それでも商品として成立するのがジムニーの凄いところでもありますが。私のSJ10にも錆はありますが、穴は空いておらず、年式を考えれば奇跡的にコンディションの良い個体だと思います。塗装も恐らく大半は当時のままでしょう。古いジムニーで再塗装されているものは、見えない内側から錆が進行するのでかえって注意が必要です。
クルマとして考えると色々とんでもない代物なんですが、遊びの道具として考えるならこの雰囲気は他に代えがたいものがあります。二人乗りとして割り切れば、荷室もまあまあ広く、ソロキャンプなら不満はほぼありません。
約40年前のクルマでありながら、部品がいまでも安価で入手できる点もジムニーならでは。購入直後にエンジン焼き付きという大きなトラブルがありましたが、新品部品でオーバーホールをしましたし、マフラーやミラーなどもまだスズキから純正部品を購入することができますよ。
先日、ルーフにサイクルキャリアを取り付けました。今後、こいつにキャンプ道具とMTBを積んで、山へ行って遊びまくる予定です!