ロープワークで基本的な結び方や、ハーネスの作り方、そして支点の取り方のイメージがついたら、今度は支点を実際に使ってみる練習をしましょう。「降下」と「登攀(はん)」、つまりロープを使って降りたり、登ったりする動きです。
降下をする
例えば、救助する側が支点を確保して、チェストハーネスを作り、負傷者のいる場所まで降下するなどの場面で使えます。
(1)支点に繋いだロープを、斜面の降下方向へ投げます。(投げた端末には抜け落ち防止のエイトノットを忘れずに施しておきましょう)
(2)安定した足場で、チェストハーネスを作り、カラビナに「イタリアンヒッチ」(別名ムンターヒッチとも言います)を作成します。
イタリアンヒッチの作り方をお伝えします(右利きの場合)。
(3)カラビナの下に垂れたロープを掴み、ブレーキを掛けながら降下します。
ブレーキが効くか(体重を掛けたときに右手でロープをカラビナより上に持ち上げて止まるか)、支点の強度が十分か、支点のエイトノットに緩みがないか確認してから斜面を下り始めましょう。
登攀(はん)をする
今度は、登り返す動きです。
(1)支点で止めたロープに、60cmスリングで「フレンチノット」(別名クレムハイストノット)を作成して、自分のチェストハーネスと結びます。
フレンチノットの作り方をお伝えします。
(2)フレンチノットを下から押し上げながら登り返していきます。
斜面で万が一足を滑らせても滑落を止めてくれるし、疲れたら手を離し体を預けて休むこともできます。
練習する際は、強固な支点を選び、スリングと樹木の間に添え木や当て布をするなど、支点にダメージを与えないよう自然にも配慮しましょう。また、慣れないうちは緩やかな傾斜地から練習しましょう。
次回は、上から下にいる負傷者や荷物などを「引き上げる」方法についてお伝えします。