春がきた!リス、カリブー、ムース・・・ユーコンで見られる野生動物たち
  • OUTDOOR
  • NEWS
  • SUSTAINABLE
  • CAR
  • CAMP
  • GEAR
  • COOKING
  • OUTDOOR
  • NEWS
  • SUSTAINABLE
  • CAR
  • CAMP
  • GEAR
  • COOKING
  • 海外の旅

    2020.05.28

    春がきた!リス、カリブー、ムース・・・ユーコンで見られる野生動物たち

    私が書きました!
    フォトグラファー&ツアーガイド
    杉本淳
    カナダ、ユーコン準州ホワイトホース在住。2008年、ユーコン川下りで訪れて以来ユーコン準州に通い始める。2011年に移住後も、ユーコンに生きる野生動物や人々の生活を引き続き撮影中。ユーコンから色々なトピックをお届けします!WEBサイト:www.aplーas.com

    カメラを担いで、ユーコンの野生動物を探しに

    今年はいつもより春の訪れが遅い気がしたけれど、それでも4月も終わればカナダ・ホワイトホースの街中から雪はすべてなくなる。例年通り、春の景色を見つけにカメラを担いで出かけることにした。今年はコロナウイルスのせいで州境が閉鎖されるなどしているので、ソーシャルディスタンスなど州の定めるルールを守った上で、ユーコン準州内の自然の中へと出かけた。

    冬眠から目覚めたホッキョクジリス

    風もなく陽がポカポカと降り注ぐ午後、ホッキョクジリスが冬眠から覚めて巣穴から出て来た。これから天気が好転するサインだ。ホッキョクジリスは地面に穴を掘って生息するリスの仲間で、体長は約40センチ、体重は約700グラム、ユーコンのほぼ全土に生息している。

    彼らは毎年忙しい夏を過ごす。冬眠から覚めた後、恋の季節がすぐにやって来て、短い夏の間に出産と子育てをして、秋には冬眠の準備、そして冬が来ると冬眠してしまう。ユーコンの冬は半年以上続くから、実質巣の外で活動しているのは半年未満。半年以上寝て過ごす彼らのライフスタイル、けっこう羨ましい 。

    カリブー(野生のトナカイ)の群れを撮影 

    気がつけば北風が南風に変わっていた。風が吹けばまだ寒いものの、北風の様な厳しさはもうない。やや遠目の山肌を見ると、30〜40頭のカリブー(野生のトナカイ)の群れがいる! 慌ててスノーシューを履き、カメラを担いで登る。群れでいるときのカリブーは、神経質になりやすいので注意が必要だ。

    彼らのいる斜面の手前には小さな丘があった。この丘とカリブーのいる斜面の間には小さな谷があって、この谷を挟んで丘の上から写真を撮る作戦に決めた。そうすることで彼らに近い目線の高さで、十分な距離を取りつつ、驚かさずに撮れるはずだ。丘の稜線に姿を隠しながら頂上にまで登り着いた時、その数はもっと多いことがわかった。双眼鏡で覗いて数えてみると、その数は約300頭! 10〜20頭程度の小さな群れを度々見ることはあったけれど、これだけまとまった数の群れを見ると心が躍る!

    彼らは更に北の出産地を目指し、これから大陸移動を始めるはずだ。いつか何千頭ものカリブーの移動に囲まれてみたいと想像をめぐらしていると、およそ600もの目は、遠く離れた丘の上の僕の姿を見逃さなかった。そしてゆっくり長蛇の列をなして、稜線の向こう側へと去って行ってしまった。

    人気のない道を横切るムース(ヘラジカ)

    約1週間前に走ってきたのと同じ道を南下する。その時よりもより春めいてきているのが分かる。雪のなくなった人気のない道を、時々ムース(ヘラジカ)が横切る。森の中も随分と雪が減って歩きやすくなり、彼らも活発になってきているみたいだ。陽の光が芽吹いた柳の芽に反射して綺麗だ。

    1000羽以上のハクチョウの群れ

    ホワイトホースから程近いマーシュ湖には、アラスカの営巣地に向かう途中の1000羽を越えるナキハクチョウが訪れていた。湖上の氷はまだ厚く残っているが、毎日少しづつ溶けて水面が広がっていく。この水面でハクチョウたちは羽を休めて、しばらくするとまた北へ向かって飛んでいく。

    動物写真を撮るのに大切なことの一つは、自然の中に流れる時間に自分のペースを合わせることだと思う。春の日光が降り注ぐ氷の上でのんびりとシャッターチャンスを待つ。このボサーっとしている時間もなかなかいいもんだ。

    白鳥の数は1000羽以上もいるもんだから、湖面に響くハクチョウの鳴き声は一日中絶えない。誰かしらが常に何か話していて、時々小競り合いがあちこちで起こる。それも彼らの大事なコミニュケーションなんだろうと思いつつ、ふと疑問が湧いた。何故一日中鳴き声が絶えないのだろう? しばらくすると20〜30羽の若い群れが飛来、着水した。南から到着したばかりの群れかもしれない。もしかしたら仲間に居場所を伝えるために一日中鳴いているのだろうか?

    日に日に気温が暖かくなっていくにつれて氷は小さくなり、ハクチョウたちはいなくなった。

    ホワイトホースの街中で標高は約700メートル。そこよりも約400メートルほど高いクサワ湖に行くと、湖はまだ凍っていた。この湖を見下ろせるトレイルを登っていくと、雪はすでに溶けていて、水捌けもよく、快適に歩くことができた。

    春の訪れを告げるプレイリークロッカスの花

    陽のあたる斜面にはプレイリークロッカスが咲き始めていた。ユーコンの人々にとって春の訪れを告げる花。このクロッカスの表面全体には白い毛が生えていて、花弁の中の温度と外の気温では約10℃も違って、寒くなった昆虫が花弁の中で温まることがあるらしい。この花はキンポウゲ科で、本来クロッカスはアヤメ科。この花にはクロッカスという名前が付けられているけれど、本当はクロッカスではないというちょっと不思議な花だ。

    去年見つけたハクトウワシの巣

    ハクトウワシの巣がホワイトホースの街の外れ、ユーコン川沿いの崖から見えるところにあるので、久しぶりに行ってみる。

    ハクトウワシは片方が死ぬまでパートナーを変えない。毎年冬が終わる頃、同じつがいが同じ巣に戻って来る。彼らの主食は魚なので、川や湖が凍る冬の間はユーコンにはいない。

    このつがいは4月半ばくらいから卵を温めていた。約一月経ってまた同じ巣を見に行くと、ヒナはまだ孵っていない様子だった。抱卵期間はだいたい40日前後と言われているので、ヒナが見られるのはきっともうすぐだろう。

    巣が見下ろせる崖には、プレーリークロッカスが咲いていた。

    カナダアカガエルの姿も!

    冬眠から覚めて間もないであろうカナダアカガエル。鼻先に土をつけたまま、カメラを構える僕の足元を横切って行った。

    ユーコンのいたる所で新しい季節が始まった。

    NEW ARTICLES

    『 海外の旅 』新着編集部記事

    オーストラリア・ダーウィンでイケメンパイロットと愛の不時着!?【「海外書き人クラブ」お世話係・柳沢有紀夫の世界は愉快!】

    2024.11.23

    【佐藤ジョアナ玲子のアマゾン旅 vol.11】川幅が増え、ペケペケ号はついにアマゾン川へ。川辺で見つけた二つ星ホテル

    2024.11.23

    スピアフィッシングで巨大イソマグロに挑む小坂薫平一さん「魚突きのリスクと魅力」【動画公開中】

    2024.11.22

    なぜシベリア・ハクチョウは冬になると日本を目指すのか。その生態は?【動物ドッキリクイズ・その15】

    2024.11.22

    「世界最高のゲームフィッシュ」と釣り人が称えるピーコックバスを日本の料理人が見事な刺身に!

    2024.11.21

    アメリカのヨセミテ国立公園のみどころは?水平方向(サイクリング)と垂直方向(ハイキング)で満喫

    2024.11.21

    ガンプ鈴木さんもその味を絶賛!人力車アフリカ縦断旅の食を支える料理人にインタビュー

    2024.11.20

    洞穴から広がる雄大な景色!南アフリカ「ゴールデンゲート・ハイランズ国立公園」ハイキングコースをご紹介

    2024.11.18