
庭が決め手でこのマンションを購入。湧くんが小さいころは、テントを張って遊んだことも。家族の歴史が刻まれた空間だ。見城 了さん・湧くん/雑誌や広告などで活躍するカメラマンであり、ガレージブランド〝ペレグリンデザイン"の代表を務める。愛息の湧くんとは年3〜4回キャンプに出かけ、自身のアウトドア体験をもとに製品を開発している。
自宅でアウトドアを楽しむ人は確実に増えている。もちろん一戸建てじゃなくてもOK。確かな技術と経験豊富なアウトドアズマンのケースを紹介しよう。
※2019年に取材した記事です。
緑の楽園で楽しむ休日のブランチ
13年前、苔とドクダミだらけだった10㎡ほどの庭を、コツコツと手入れし、やっと理想に近づいてきたと話す、見城さん。そこには、東京都心とは思えない、緑の空間が広がる。
「建物の谷間だから日照時間が少ない。しかも砂利だらけでジメジメしていたから、土や砂を入れたり、軽石を砕いた物を入れて水はけをよくしたりして、土壌の改良からはじめました」
キャンプで使った灰と炭は肥料に

キャンプ時に出た薪の炭かすや灰は、専用の器に入れて持ち帰り、庭にまく。腐葉土と混ぜて肥料にしたり、土の再生にも役立つ。
植えるものも然り。最初は畑を作ってみたり、毎年違うものを植えて、庭と相性のいい植物を徐々に探していった。その結果、日陰に強いギボウシやミョウガが茂り、アジサイに椿、ユズ、月桂樹などが彩る。
「宿根草が好きになったなぁ。冬は枯れるけど、春になると新たな芽が出てきて、その様子を眺めるのがうれしくもあり、楽しくもある。自然のサイクルを肌で感じられますね」
緑の庭作りを楽しむためのコツ

壁に手作り棚を掛け、フィールドで拾ってきた宝物を飾るスペースに。
息子の湧くんも、小さいころはよくミミズやダンゴムシを捕まえて遊んでいた。
「そうそう。周りは庭師さんが来て殺虫剤を撒くけど、うちの庭は自然のままだから、虫の避難所だよね」(湧くん)

柑橘類を植えてアゲハチョウを誘引(!?)。黒いのが幼虫。
セミの幼虫が木に登って羽化したり、ヤモリが虫を捕食する様子を見ることもできる。ウシガエルやハクビシン(⁉)が塀の上を駆けていくことも。ほら、と見城さんが指差した葉の上には、アゲハチョウの幼虫が。植物だけでなく、いろいろな生き物が共存している庭なのだ。

日陰でも逞しく育つ、ギボウシがお気に入り。
休日は、そんな生き物の楽園にテーブルを出し、父子でブランチを楽しむ。
「今日は何にしようか」
ハムやチーズ、アボカドにツナと、冷蔵庫の中身が並ぶ。
「キャンプの朝は決まってこれ。ワッくんの友達が泊まりにきたときにもよく作るよ」
庭ブランチに欠かせない三種の神器

熱いものが直接載せられるユニフレームの焚き火台テーブルと、岩鋳のホットサンドメーカー、コールマンのヴィンテージバーナー。庭ンピングとキャンプで活躍。
と、取り出したのは、ホットサンドメーカー。パンに好みの具材を載せ、ソースをかけて焼く。それだけでホカホカのごちそうに変身する。
「ソースはチューブ物を多用するのがコツ。ピザソースとか具だくさんのタルタルなんておすすめ。しっかり味がついているもののほうが、ササッと作れておいしいからね」

アボカド、ツナ、サラダ菜の組み合わせ。おすすめはキューピーのバジルソース。クリーミーな味わいでボリュームもたっぷり。
焼き上げたホットサンドを、庭の緑や花で湧くんが飾り付け。それだけでおいしさが倍増するから不思議。

定番のハム&チーズに、ズッキーニのスライスをプラス。こちらに決め手はカゴメのピザソースを。失敗知らずで安定感のある味。
父、焼く係。息子、デコレーション担当

何入れても不思議と美味しくなるんだよ。

キッチンで食材の下ごしらえをしたら、あとは庭に持ち出して焼くだけ。熱々をその場でいただくのが、ホットサンドの醍醐味!

挟んで焼けば、5分ほどで完成!「できたよ」と差し出されたお皿を、花や緑で彩る湧くん。自然と親しんで育った証といえる。
いまは足元を緑豊かな芝生にすべく、発酵油かすを巻いたり、雑草を抜いたりと、まだまだコツコツと手入れの日々が続く。
「植物は思いどおりにはならないけど、やったらやったなりに応えてくれる。泰然自若なところがいいんですよね。たまにはキャンプ道具を持ち出して、そんな自然を楽しみながら息子と語り合うのもいい」
庭を眺めるデッキはコミュニケーションスペース

最近、バスケ部の練習どう?(了さん) それより、今度はいつキャンプに行ける?(湧くん)
部屋からの眺めは毎年変わる。その自然の移り変わりを楽しみながら絆を深める。デッキでは、父子の内緒話が続く。
ツールケース兼用キャンプエプロン
見城さんがデザインした丈夫なコットンキャンバスのキャンプエプロン。ペール缶にセットすれば、ツールポケットにも変身する。
タックルボックスのカトラリー入れ
Webで見つけたビンテージのタックルボックスをカトラリーケースに。ナイフからキッチンツールまでスッポリ収まり、持ち運びも楽。
(BE-PAL 9月号 2019より)
※撮影/小倉雄一郎