今注目の自転車「グラベルバイク」って何?日本の老舗タイヤブランドから新しいグラベルモデルが登場
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    2020.07.20

    今注目の自転車「グラベルバイク」って何?日本の老舗タイヤブランドから新しいグラベルモデルが登場

    私が書きました!
    CX / BMXアスリート
    腰山雅大
    自転車歴20年の社会人アスリート。BMXパーク競技を経て泥の中をレースするシクロクロスへ参戦、ボーダーレスな自転車競技活動を続けている。All-City Cyclesの本国契約ライダーとして国内トップカテゴリーを走る一方、本職では自動車整備業に従事。乗り物のほかコーヒー、銭湯、カメラにアウトドアなど、趣味は常に多彩でオーバーフロー気味。https://www.instagram.com/vhlg/

    砂利や土の浮いた未舗装路のことを”グラベル”と呼ぶ

    グラベルってなんだろう

    「サイクリングのジャンル」と聞いてどのようなものを思い浮かべるだろうか。ケイリンのように競技場を走るトラックバイク、ツール・ド・フランスのような疾走感あるロードバイク、荒れた山道を走破するMTB(マウンテンバイク)など。昔から自転車の様式は乗る場所に応じて様々な形、スタイルに進化をはたしてきた。更にここ数年は一台で色んな場面に合わせられるオールラウンドな自転車への関心が高まっており、その中でも特別注目されているのが「グラベル」というフレーズだ。

    グラベルとは、未舗装路のこと。いわゆるアスファルトの道に対して、土や砂利が自然のままむき出しになった道を指す言葉だ。日本の道路の舗装率は簡易舗装も含めれば80%を超え、都会の道路で砂利道を見ることはほぼありえない。だが、少し郊外に出れば脇道など意外と舗装されていない道が多いことに気が付く。またサイクリングロードが続く河川敷なども、大抵は横に未舗装路が併走していたりするものだ。

    どんな道でも走れるタイヤとは

    ロードバイクで長い距離を走った先にオフロードを見つけることも多い  Photo:Kosuke Nishikawa

    とりわけ走る距離が延びるロードサイクリングでは、走りに行った先で砂利道が出てきたり、舗装路であっても砂や石が浮いている旧道を通ることも珍しくない。タイヤが細い昔ながらのロードレーサーで走り抜けるには取り扱いもシビアになるため、機材が進化すると同時に「長い距離が走りやすく、どこでも気兼ねなく走ることができる」自転車=グラベルバイクに人気が集まっている。

    グラベルバイクには今までにない様々な特色があるが、とくにオフロード走行を見据えた幅広タイヤは特徴的だ。舗装路も、未舗装路も両方を網羅して走ることができるタフで軽快なもの。ここ数年は各メーカーから新たなモデルが発表されているが、古くからこの”グラベル” をモデル名に冠し、多くのサイクリストから長く親しまれている「グラベルキング」というタイヤについてご紹介したい。

    “メイド・イン・ジャパン”の老舗タイヤメーカー

    Panaracerは、通勤自転車用タイヤで様々な技術を開発してきた一方、中野浩一選手の世界選手権優勝、ツール・ド・フランスへ日本製タイヤとして初めて供給するなど、スポーツにおいても輝かしい成績をタイヤで支えてきた

    日本の自転車シーンで”グラベル”という言葉が散見される少し前の2014年、兵庫県は丹波市に本社と製造工場を構える Panaracer(パナレーサー株式会社)が作り出したのがこの「グラベルキング」だ。その名の通り、グラベルに特化したタイヤながら、そこへ行くまでの舗装路でも軽快な走りを支えてくれる。

    兵庫県は丹波市に位置する製造工場では、日々様々な種類のタイヤが生産されている

    厳しい戦いの世界で同社が養った技術は、私たちが普段サイクリングや通勤に使うタイヤにも生かされている。タイヤというものは、ぐるっと一本ゴムでできあがっているのではなく、タイヤの特性に合わせた生地を何層も重ねて形成している。分厚い生地を合わせれば強くはなるが、その分重くなったり、しなやかさが損なわれるため「薄くて強い」素材の選定が必要不可欠となる。

    “グラベルキング”の性能を解説

    左のロードバイクには 「グラベルキング」の32C(タイヤ幅32mm)、右のコミューターには 「グラベルキングSK(サイドノブ)」の32Cが取り付けられている

    この「グラベルキング」の場合は、内側のよりしなやかな薄い生地(AX-αコード)と、外側の耐パンク性の高い生地(ANTI-FLATケーシング)で形成されている。タイヤのパターン部分(トレッド)は、耐久性・耐摩耗性に優れたゴムを採用している。

    実際の性能に関して述べれば「パンクしにくいタイヤ」というのは、中に空気が満たされている以上は確率の問題ともいえるし、使用する消費者の交換サイクルを考えれば非常に伝わりにくい性能だといえる。ただ、私が自転車競技でレースや練習、または普段使いでそれなりの距離(年間にすると7000km近く)を走って思うのは、タイヤによって「パンクしやすい・しにくい」は確かに体感できるレベルで存在している。安心して遠い場所まで走りにいくうえで、パンクしにくいことはとても大きなメリットであり、私の場合、もはや「グラベルキング」が欠かせないアイテムになっている。

    ロードバイクに32Cのタイヤは、やや太めの印象だ。クリアランス(タイヤとフレームの間隔)に問題がなければ、これを装着することで衝撃吸収性の高さと、スピードを出した時の安定感もアップする

    普段レースに向けたトレーニングや、週末のライドに使うロードバイクには「グラベルキング32C」を装着している。長い直線や上り基調の道では細いタイヤに劣るが、パンクしづらい安心感と幅広タイヤの衝撃吸収性には、とても満足している。またオフロードのレースでは、ノブがある「SK(Side Knob/サイドノブ)」というモデルを使用しており、芝が生えた河川敷のレースなどで重宝している。

    グラベルキングに新たなモデル、”SS”が登場

    今回新たにラインナップに加わった「グラベルキング SS」。長距離のツーリングから、日々の通勤まで幅広い乗り方をサポートする

    また、今回新たにラインナップに加わったのが「グラベルキングSS(セミスリック)」というモデルだ。これは通常版と「SK」の中間にあたるようなノブのデザインが施されている。

    砂利道と舗装路を織り交ぜたようなロングライドをする方や、自転車にアウトドアグッズを積み込んで走る”バイクパッキング”など、かなり幅広い層にオススメできる特色を持っている。個人的には、遠くへ行くためだけでなく、毎日の通勤や通学で自分が大切にしている一台に装着するのもオススメしたい。耐パンク性能は以前の通りながら、晴れの日も雨の日も、アスファルトの上も水溜りの上も、エブリデイバイクに安心をもたらしてくれるだろう。

    パターンはサイズごとに少しずつ型を変更し、タイヤ幅に合わせたトレッドが用意されている

    このタイヤは、サイズごとに接地面のトレッドが調整され、ただパターンを大きくしただけでないところもポイント。また32C以上のモデルは、チューブレスにもできるので、お店などでカスタムすれば、更に軽快な走りやクッション性が期待できるだろう。

    終わりに

    乗り手にあったスタイルの自転車と、その足元を支えてくれるタイヤ

    走れる道が増えるということは、それだけ自転車に乗る幅が広がるという意味でもある

    東京五輪などでスポーツ振興の気運が高まり、健康維持の一貫としてサイクリングが注目されて久しい。初心者にとっては、競技志向の強いロードレーサーも悪くはないが、どんな距離でもどんな場所でも自分の好きなスタイルで楽しめるマルチな自転車が多く登場し、街で見かけることも増えている。

    荷物を積むためのキャリアやライトなど。拡張性の高いツーリングバイクや、舗装路・未舗装路両方に特化したグラベルバイク。または通勤や通学などのコミューターバイクも、シングルスピードなどオシャレで美しいデザインのものが多く登場している。それら多くの自転車に、この「グラベルキングSS」がぴったり当てはまることはいうまでもない。本人のスタイルに合わせて楽しむことができるこのモデル、強くオススメしたい。

    ●商品情報

    Panaracer “GRAVEL KING SS”

    価格:4,900円(税抜) 700×28C
    価格:5,200円(税抜) 700×32C、35C、38C、43C、650×48B
    カラー:ブラック、ブラック×ブラウンサイド
    2020年7月発売

    ●商品に関するお問い合わせ

    パナレーサー株式会社 お客様相談室
    電話番号:0795-82-6806
    https://panaracer.co.jp/

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