こんにちは! 最新号『b*p 今しかできない旅』で、北海道・十勝を取材した津田知枝です。
十勝は、ヒツジと新しい農業家たちがたくさんいて、おいしいチーズや野菜、クラフトビールを生み出している豊かな土地。
中心都市・帯広には、古いホテルをリノベーションした『ヌプカ』という素敵なホテルがあって、生まれも育ちも帯広、生粋の十勝っ子の翠(みどり)ちゃんという看板娘がちゃきちゃきと働いています。
翠ちゃんが教えてくれた「地元の人が大好きなスポット」後編をご紹介します。
十勝には昭和の温泉が残っている!
十勝っ子は、温泉が好き。週に2〜3回行くというのはざらで、毎日行くという人もけっこういる。そんなに「ふだん使い」していれば、みんなそれぞれひいきにしているお気に入りの温泉があるに違いない。
というわけで、またまた翠ちゃんに聞いてみたぞ。
「ちょっと遠いけれど、ぜひ行ってほしい温泉があるんです〜!」
と教えてくれたのが『丸美ヶ丘温泉』だ。
『丸美ヶ丘温泉』は帯広市の隣、音更町(おとふけちょう)にある。車で走ること30分、すっかり建物が少なくなってきた。道の両脇にうっそうと茂る木々を抜けて、いよいよ温泉に到着!
建物に入るとすぐ左手にフロントがあって、その奥にバーカウンター続いている。
カウンターチェアが赤いベルベットで、いかにも“昭和”。よくよく考えてみると、「温泉にバーカウンター」って、不思議な組み合わせなんだけど、不思議と違和感がない。
ほかにも「かき氷」ののれんとか、「だいじょうぶ、だいじょうぶ」と書かれたオブジェ? やら、なんでもあり状態。
フロントにはオーナーの娘さんご夫妻(旦那様はオーストラリア人)と、かわいい娘さんがいて、一家団欒している。あまりにも自然体なのだ。
熱いとぬるい、どっちが好き?
それでは、そろそろ肝心の温泉の話をしよう。
ここ『丸美ヶ丘温泉』は、源泉かけ流しのモール温泉。浴槽は、温度48℃と37℃の2種類あって、好みによって使い分けができる。熱いかぬるいかの究極の2択である。
冷え性の私は、最初に48℃に入り、ある程度体が温まってから37℃に移行した。37℃は、ずばりいつまでも入っていられそうな究極の温度だった。
実際常連さんは1〜2時間ふつうに浸かっているそうで、きっと常連さん同士しゃべったりしながら、のんびりとリラックスした時間を過ごしているのだろうな。
モール温泉特有の茶色く濁った湯はとろとろで、大きく取られた窓からは自然が一望できて、心と体がすっかり弛緩してしまう。
私はけっして温泉通ではないので、湯の質について詳しく解説できないけれど、あくまで直感的に「ここの湯はちょっとレベルが高いぞ!」と思った。
温泉は自然の恵み。こんな気持ち良いものが享受できるのだから、自然には本当に感謝だな。こんどは泊まりに来よう。そして娘さんご夫妻のなれそめなんかも聞いてみようっと。
◎文=津田知枝 撮影=出羽遼介