そもそも「サコッシュ」とは、
ツール・ド・フランスなどの自転車レースで使われる「補給食袋」のこと。
ヨーロッパの自転車レーサーたちは、
山岳ステージ頂上などにあるエイドステーションで、
サコッシュに入った補給食を受け取り、下り道を走りながらパンやおやつをかじるわけだ。
ぼくらの街歩きだって、ツール・ド・◎◎な旅ではあるわけで、
小さな旅のムードをつくり出してくれるのは、サコッシュの中味だ。
それ次第で、その日の気分を高めたり、ほがらかにしてくれるに違いない。
「サコッシュは小さなジンセイなのだ」
と、大げさに定義してみた。
小さなジンセイの気分を、定めてくれるものが本である。
「サコッシュと本」。
気分を変えたい週末は、このふたつを持って出かけるべし!
おすすめのジンセイを4パターン、ご紹介しよう。
青い哲学
大好きな山に行きたいけど、週末まで待てない!
そんなときにこのセットでイメトレしよう。
『野性の呼び声』といっても、ジャック・ロンドンのそれではなく、
僕たちにとっては開高健パイセンとC.W.ニコルパイセンのほうが気になる。
野を思慮深く歩きながら、鋭いひらめきはメモ。
う~ん、哲学者気分。
↑ 開高健とCWニコル。20世紀日本を代表するナチュラリスト作家の対談本。
↑ サコッシュはもともとツールドフランスの補給食袋。自転車散歩にもしっくりくる。
灰色な凝視
『ウォールデン 森の生活』(ヘンリー・D.ソロー)は長い。
そして描写が細かいので、すべてをじっくり読む通すことは大変だが、
逆にいえば、その日の気分で、好きな箇所だけ読んでも構わない。
「経済」や「独り居」の章もいいけど、
ここはやはり「池」や「動物の隣人たち」などの章を読んで、
ソローよろしくフィールドウォッチングしてみよう。
自然が奏でる音楽に耳をすませて、おもむくままに思索にふけりたい。
小さな気づきをキャッチするためのデジカメも持参。
なんだか、森の賢者気分。
※『ウォールデン 森の生活』は読みやすい小学館文庫版がおすすめですよ!
↑ 読むと必ず眠くなる(と噂の)『森の生活』。コーヒーボトルは必須!
↑ 念のため、やわらかめの本も持っていこう(つっても、この写真、笑いすぎだろっ!)。
緑の滋味
今日はグルメ気取りだ。
バゲットにおやつ、そしてサンドイッチをつくるための
カッティングボードと「OPINEL」のナイフもバッチリ。
まさかこのサコッシュに、カッティングボードが入っているとは誰も思うまい。
ここまで準備万端で、森へ。
探すのはキノコだ。
『FUNGHI』というイタリア語のキノコ事典を持ってきたから
マジックナンチャラには当たるまい。
さて、見つけたキノコをさっそくバゲットにはさんでいただきま~す!
視界が曲がって…、ヒッピー気分。
↑ 海外のキノコ図鑑は色使いも新鮮。イラストを眺めるだけで楽しい気分になってくる!
↑ A4サイズも入るサコッシュ。タブレットやパソコンだって持ち出せるぞー。
黄の恐竜
子どもと散歩に出かけよう。
ただ歩いていてもいいけど、
今日は『WHERE THE WILD THINGS ARE(かいじゅうたちのいるところ)』(モーリス・センダック)の絵本を持って、かいじゅう探索だ!
最新の学説によると、「鳥は恐竜の子孫である」のだとか!
双眼鏡も持ってきたので、バードウォッチングならぬ、恐竜ウォッチングだ。
ただの鳥と思うなかれ、恐竜の残照を見失うなかれ!
価値の転換をすれば、気分も変わってくる。
古代生物学者気分でタイムトリップすべし!
↑ 双眼鏡ってふしぎなもので、世界がまったく違って見えるんだよなぁ。
↑ ふふふ、誰も知るまい。このサコッシュの中に、まさか怪獣がいるとは! がお~1