SURLYが作ったファット&ロングテールバイクの実力は?
以前、SURLYのビッグダミーというロングテールバイクを紹介(https://www.bepal.net/bike/83985 )したが、今回はサイクリングツアーでガイドする際にもっとも利用している、2台目のロングテールバイクを紹介したい。
ちなみに、SURLYとは、1998年創業のまだ若いアメリカブランド。カッコよくて遊び心のある自転車を展開している。
名前はビッグファットダミー(※以下、BFDと略)。その名の通りデカくて太い自転車だ。先行して発売されたビッグダミー(※以下、BDと略)と比べ全長が20cm長くなり、幅3インチ(約7.6cm)以上のいわゆるファットタイヤが装着可能になったモデル。最大で幅5インチ(12.7cm)ぐらいの極太タイヤまで装着できるビッグサイズの自転車だ。
ファットタイヤを装着していることでの安定性は素晴らしい。私のBFDはほぼオンロードしか走らないので、転がり性能重視のVEE スピードスターというスリックタイヤを装着している。そのため、ファットバイクにしては細めの幅3.5インチ(約8.9cm)だが、大きな段差でグラつくこともない。しかも、地面からの衝撃を和らげてくれるため、腕やお尻への負担軽減に繋がる。なのでBDより乗り心地は良い。
ちなみにBFDは2016年12月に発売を開始。当時の価格は完成車で、税込437,800円。初期型は26インチタイヤを装備したが、現在の完成車は29インチに変更された。私のBFDは、2016年に発売されたファーストモデル。フレームとバッグのセット(税込274,780円)で購入し、あとは私がチョイスしたパーツを取り付けたため、総額約90万円になった。
ロングテール最大の特徴、リヤの専用バッグ
リヤには定番のDummy Bags(税込26,400円。左右ペア)を使用している。この純正バッグは、単体での販売のほかに、完成車、フレームどちらで購入しても付属する。ロングテールバイクを専門に販売するエクストラサイクル社のバッグとは違い、前後から水が浸入することもあるが、荷物の大きさに合わせてバッグの展開を様々にアレンジできる点が魅力的だ。
以下、写真を使ってその機能性を紹介しよう。
ロングテールバイク専用バッグの使い方
①シンプルモード
荷物を覆うカバーを内側へと収納し、外側のカバーを2つ折りにしたコンパクトスタイル。物が取り出しやすく、大きな荷物をあまり載せずにカッコよく走る時のモードだ。ちなみに右側のバッグは工具が入っている。
②大型バッグ積載モード
①の写真の状態に大きなバッグを積んだところ。荷物が取り出しやすく使い勝手はいいが、バッグを天板に固定するなどの工夫は必要になる。
③フラップ2倍!大容量モード
②の写真の状態から外側のカバーを伸ばすとこの状態になる。カバーは約2倍の長さになり、さらに大きな荷物を覆って積める。
④レインカバーモード
③の写真から、上部にある雨避けカバー(普段は内側にロールして収納)を被せたスタイル。突然の雨の際に、上からも下からも水を防御してくれるが、荷物の量によっては前後のガードが甘くなり、多少の水は侵入する。
⑤レインカバーを比較してみた
BDに装着しているエクストラサイクル社製のバッグ(左)とBFDのSURLY純正バッグ(右)を比較してみた。雨除けカバーの長さはそれほど変わらない。しかし、エクストラサイクルのバッグ後部のマチ(写真左のグレーの部分)は、上部までしっかりカバーされているのでSURLYのバッグよりも雨の侵入が少ない。
ビッグファットダミーのカスタマイズポイント
私のBFDには、リヤラック天板にエクストラサイクルのオプションパーツ”HOOPTIE”という大型ケージのようなパーツを装着している。バッグに入らない大きな荷物を積んだり、アメリカでは、チャイルドシートを卒業した子供から、小学校低学年までの子供を乗せて走れるパーツとして販売されている。じつは私が購入したあとに、SURLYからもっと使い勝手が良い”Kid Corral”という同様のパーツが発売された。専用設計なので、これから購入する方は、こちらを選ぶのがベストだろう。天板には、HOOPTIEに限らず、自分の付けたいオプション品を、わずかな加工で付けられるように、はじめから多数の穴があけられているのは嬉しい。
私のHOOPTIEは購入当時のもので、シルバーだった物をブラックに塗装した。現在は最初からブラックのものが販売されている。天板にはネジ穴や四角い穴がたくさんあけられていて、荷物を固定するストラップを通したり、オプションパーツの取り付けが簡単にできる。
ハンドルバーは巨大な自転車を支える安定性と、様々なアイテムを装着するために、SURLYのマルチポジション=モロコバーを装着(税込14,080円)した。このハンドルは、いろいろな部分を握れるだけでなく、アクセサリーや専用の小型バッグ、ミニマムなテントなどの取り付けがしやすい。私は、サイクルコンピュータ、CATEYE VOLT1700のライト、シマノXT-Di2(電動式変速システム)のディスプレイ、携帯ホルダーを取り付けている。本来6ポジション程度は握る場所があるが、これだけオプションを装備してもなお3ポジションを確保できているのは流石はSURLYといったところか。
ビッグファットダミーでキャンプへ出かける準備をしよう
BFDやBDに乗っていると、「日本一周ですか?何県からですか?」とよく声をかけられ、「近所から来ました」と答えるのがいつも恥ずかしい(笑)。様々な部分に軽いカーボンパーツを使用していても車重が20kgを超えている。旅をしているかのような風貌にみえても、その重さから、じつは長い距離を走る「旅向き」自転車ではない仕様なのだ。沢山の荷物を積んで、近場の山にキャンプに出かける程度の距離感が丁度よい、ゆったり乗る自転車だと私は考えている。
BFDは、エアボリュームが高いファットタイヤを装着しているので、BDよりもさらに重い荷物を載せることが可能だ。しかも、ファットタイヤを収めるために、フレーム幅もワイドな設計。その幅に合わせた幅広の天板に大きな荷物をくくりつけることもできる。なんと重さ15kgほどの3人用テントを載せられた。さらに、ダウンではない重くてかさばる化繊の封筒型寝袋と、グランドマットまで上に載せても安定する。
最後に両側のバッグにテーブルや椅子、調理器具などをふんだんに入れれば、オートバイのパッキングスタイルよりも多くの荷物を載せられる。さすがに、このままではリヤヘビーとなってしまい走行安定性が損なわれるため、フロント側にもキャリアを取り付けた。ここにパニアバッグを装着すれば、自転車といえどもオートキャンプ並みに豪華なキャンプを楽しめることだろう。
昨今、いかに荷物をミニマムにまとめて楽しむか?がブームではあるが、ビッグファットダミーのオーナーになれば、細かいことを気にせずに自分の好きなギアを積めるだけ積んで楽しむことができる。他人とは違ったリッチな自転車ライフに挑戦してみませんか?