ピックアップトラックや軽トラックの荷台を活かし、独自のキャンパーシェル(居住空間)を搭載したキャンピングカーを「トラック・キャンパー」(通称:トラキャン)と呼ぶ。そんな「トラキャン」シーンを牽引するのが山梨県にあるメーカー「M.Y.Sミスティック」だ。
昨年デビューした『J-cabin Mini W』は、グッドデザイン賞を受賞。アメリカンクラシックなスタイルや実用性が高次元で融合したモデルだ。今回は、先日デビューしたその兄弟モデル『レジストロ』の魅力を探ってみたい。
一見すると、「トラキャン」のようなスタイルだが、荷台の上にキャンパーシェルが積載されているわけではなく、ボディと一体化されているのがわかる。そう、このレジストロは「トラキャン」ではなく、「キャブコン」(※)なのだ。
※「キャブ・コンバージョン」:トラック系の車両に居住部分を架装=コンバージョンしたキャンピングカー。
でも、どうして「キャブコン」にする必要があるのか?
「軽トラキャン」は、キャンパーシェルの着脱ができるのが大きな魅力だが、乗車定員が2人に限られてしまう。
一方、キャンパーシェルを車両と一体化し、「軽キャブコン」にすることで、軽トラック・ベースながら、5人の乗車定員を確保。これにより、ファミリーで旅に出かけることが可能になった。
ちなみに、この大型シェルを搭載したことで、ナンバーは軽自動車の黄色ではなく、白8ナンバーへと変更される。
インテリアは古材風デザインを多用した温かみがあるログハウスのような作りが特徴。
L字型のソファは、大人2人と子供2人がゆったり休める広さ。軽トラキャンよりも大きなシェルを搭載しているので、室内も軽自動車ベースとは思えない広さを誇る。
このソファ部分をベッド展開すれば、1100×1900mmのベッドサイズに。
大人2人がゆったり就寝可能な設計で、クッションも適度な硬さがあり、寝心地もいい。
フロントシート上にある「バンク」と呼ばれる部分には、アルプスの少女ハイジに出てきそうな屋根裏部屋よろしく子供用のベッドスペースがある。
ベッドのサイズは、1650×1600mm。採光用の丸窓がアクセントになっている。
エントランス右側には、キッチンキャビネットを配置。シンクや跳ね上げ式テーブルをはじめ、105Ahサブバッテリーや走行充電システムなど、電装系もここに収まる。また、上の写真のように、電子レンジなどもオプションで搭載可能。
軽自動車でファミリーで車中泊するとなると、通常はポップアップルーフなどがないと、狭く感じるだろう。しかし、この『レジストロ』の場合、あえて白8ナンバー登録を選択し、大型のシェルを搭載したことで、居住スペースに十分な余裕がある。
走行時は、軽自動車ならではの取り回しのよさがあり、都市部のすり抜けや山中の狭い道でもすいすい入っていける。まさにいいとこ取りの、1台といえる。
オプションで用意されているオリジナルの足回りキットは、乗り心地や走行安定性が大幅にアップするので、ぜひともおすすめのアイテム。リヤの「強化リーフ増し」(サスペンション強化)は標準装備となっている。
M.Y.S ミスティック/レジストロ
319万円~(税込み・2WD・5MT)
お問い合わせ先/M.Y.S ミスティック 湘南店
神奈川県平塚市大神2360
TEL:0463-74-4726
http://www.mystic.ne.jp/
◎構成・撮影=伴 隆之