1991年生まれ。琉球大学農学部を卒業後、ペルーで2年間を過ごす。帰国後、日本流通産業新聞社に記者として入社。2年後に会社を辞めて再び南米へ渡航し、チリのサーモン養殖を取材。「月刊養殖ビジネス(緑書房)」などに寄稿。部屋でペルーのラジオ番組「パンアメリカーナ」を聴くことがマイブーム。
無限の組み合わせ
みなさんこんにちは、ラテンアメリカ愛好家の志田です。ラテンアメリカといっても広いもので、特に愛してやまないのがペルーとチリです。そんなことはさておき、今回の記事で取り上げる、燻煙材の「スモークチップ」も種類が豊富。それぞれに特徴や相性の良い食材があります。その組み合わせは無限といっていいでしょう。それでは、さっそく解説していきます。
燻煙材の2タイプ
燻煙材には、大きく分けて「スモークチップ」と、「スモークウッド」があります。まずはその違いを知っておきましょう。
スモークチップ
乾燥させた木材を細かく砕いたもの。樹脂や腐食部分を取り除いた、木質部分のみを使用しています。食材を燻す(いぶす)際、チップそのものには火をつけません。金属製の受け皿などに乗せ、下から熱することで煙が出ます。家庭用の小さな燻製器を使う場合におすすめ。
スモークウッド
細かく砕いた木材を、棒状に再成形したもの。スモークウッドそのものに火をつけて煙を発生させるため、熱源が必要ないのが特徴です。大きな燻製器や、長時間の燻製に向いています。
各種チップの特徴
今回は、8種類のスモークチップを用意し、そのうち4種類を実際に試してみました。前回の記事(https://www.bepal.net/diy/80883)で紹介した燻製方法の中の「熱燻」で、チップの香りを比べていきます。熱燻は短時間の燻煙で食材を燻すだけなので、気軽にチップを比較したいときには向いている手法でしょう。用意したスモークチップと、その特徴は以下の通りです。
この8種類以外にも、ヒノキやハンノキ、ブドウなどのスモークチップも存在しています。そのほか、いくつかの木材を混ぜたブレンドチップも定番です。
馴染みあるサクラ、森をそのものを感じるブナ
一に実践、二に実践、三、四がなくて、五に実践。これが成長なきマイアウトドアなものですから、さっそく実践といきましょう。燻した時間は20分ほど。試したチップ、食材、出来上がりの順に紹介します。全てのチップにウズラのゆで卵が入っているのは、色付きを比較するためです。さて、どうなったでしょう。
サクラ
市販のサラダチキンとウズラのゆで卵を燻しました。
定番といわれるだけに、食べてみると、馴染みのある香りが広がります。飽きがこない、バランスが取れたチップだと感じました。香り自体は割と強いので、食材そのものに匂いがあるようなものに向いています。サバ愛好家の私としては、ぜひサバを試したいですね。
リンゴ
鶏肉や魚肉が合うということなので、こちらもサラダチキンとウズラのゆで卵を使用。
甘くてマイルドと表されるようですが、私はフルーティーな酸味のような香りを感じました。嫌いという人はいないでしょうが、好みは分かれそう。燻し比べにピッタリですね。
ナラ
はんぺんを採用(もちろんウズラも)。密かに最も期待していた食材です。
今回試したチップの中では、香りにもっとも柔らかさを感じました。はんぺんの柔らかさを差し引いてなお、ナラの香りは優しいですね。はんぺんとの相性も良くおすすめです!
ブナ
ベーコンとウズラの卵を燻しました。
香りはブナ森そのもの。自然を食しているという気分になります。ヨーロッパの方々は、シカやイノシシのベーコンをブナで作って、森にたたずむ一頭の獣を想像しているのではないか、と勝手に想像してしまうほどです。さらに、ベーコンの脂の甘みが上品になりました。私の中で定番になりそうです。
ウズラの卵の色づきですが、どうでしょう。左から、サクラ、リンゴ、ナラ、ブナの順です。さほど変わらないようにも見えますね。ナラは色付きが強いとよく目にしましたが、今回の比較では最も淡い色でした。燻製器内に置いた場所の関係かもしれないですね。
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか。熱燻によるスモークチップの比較は、ベランダや室内でも実践できます。いくつかのチップをパッケージ化した商品もメーカーや個人が販売しています。ぜひ試行を重ねて、お気に入りのチップや食材との組み合わせを発見してみてください。複数のチップを混ぜたオリジナルブレンドを作っても良いですね。ヒッコリーやウイスキーオークは今回試すことができなかったので、また別の機会にご紹介しましょう。
次回は、食材の塩漬けや塩出しといった燻す前の工程を含めて、燻製作りの一連の流れを解説したいと思います。それでは。