おうちキャンプでも活躍!木のうつわを長持ちさせるケア
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    2020.10.02

    おうちキャンプでも活躍!木のうつわを長持ちさせるケア

    私が書きました!
    大阪在住ライター
    杉谷紗香
    大阪を拠点に、国内外のアウトドア・旅・グルメ情報を取材するフリーランスライター。2008年創刊の自転車フリーペーパー「季刊紙サイクル」の編集発行人を務め、のんびり走る街乗りや、ピクニックライドが得意。アウトドア好きな家庭で育ち、学生時代は府内の野外活動センターでボランティア経験も。現在、男子2人の子育て中。 http://www.cycleweb.jp/

    意外と知らない!? 木のうつわのお手入れ

    木のうつわは、キャンプの“陰の主役”。トーストをのせたり、カレーやサラダを盛り付けたりと、木のうつわを使うだけで、食卓があたたかい雰囲気になり、キャンプ気分もぐんとアップしますよね。軽い、丈夫、料理が冷めにくい、と使い勝手がいい一方で、お手入れ方法って意外と知らないもの。

    今回は、おうちキャンプでの出番も多かった木のうつわたちをケアする方法をご紹介します。定期的にケアすることで、愛着をもって木のうつわを使い続けてみませんか?

    ほぼ毎日出番があった木の皿。表面に細かなキズがいっぱい!

    ケアする前に木の皿をよく観察すると、角にひび割れを発見!

    今回は、大阪・中津にショールームを構える木のうつわの専門店「ubdy(ウブディ)」さんで、木のうつわの手入れ方法を教えてもらいました。こちらの木のお皿やうつわは、チーク材の端材を手彫りしたシンプルなデザインが多く、和洋問わずどんな料理にも似合って、使い勝手バツグン。仕上げの天然塗料にはオリーブオイルのみ100%をもちいているなど、地球環境にやさしいモノづくりにも取り組んでいます。

    大阪・中津にある長屋がubdyさんのショールーム。毎週木曜&土曜にオープン。

    ubdy代表の渡木誠さん。インドネシア・バリ島の職人と縁がつながって2009年に事業をスタート。

    キズ、欠け、割れ…木のうつわ、どうやってケアするの?

    今回は、私自身が5年ほど使い込んだubdyさんの木のうつわを持ち込んで、ケアの方法を教えてもらいました。代表の渡木誠さんは、

    「ubdyを始めたのは2009年ですが、スタート当初から数えて10年以上、同じお皿を使ってくださっている方もいらっしゃいます。木のうつわは、陶器などと違って、表面や側面をけずって形を変えたりするのが容易ですし、特別な道具も必要じゃないから、ケアがとても簡単なんですよ。実際、ユーザーさまからの修理依頼もよくいただいています。ショップオープン日に店舗に持ち込んでいただいての修理も可能ですし、送料を負担いただけたら郵送での修理(要相談)にも対応しています」といいます。

    特に、ubdyさんの木のうつわに使われる木材「チーク材」は、とても丈夫で、手入れがしやすいのだそうで、「チーク材は世界三大銘木のひとつで、強靭な耐久性をもつ高級材料です。特に塩害に強いことから造船木材としても重宝されてきたという歴史があります。チーク材の『目の詰まった強靭な強さ』『海水でも腐りにくい耐海水性』は、普段づかいレベルでも力を発揮してくれますよ」と渡木さん。

    持参したmyうつわを渡木さんに見てもらうと、目に見える表面の細かいキズ以外に、「割れ」も発見! こういうキズなどは、どうやって修理するんでしょう?と渡木さんに聞くと、

    「”けずる”、”ヤスリ”がけするの2工程で、どんなキズでもほとんど目立たなくできます。修理の際のポイントは、キズの深さです。深い割れはそのままにしておくと、割れから水分が中にしみ込んで、腐りやすくなってしまうので、早めにケアしましょう。ここでは、表面のキズと、欠けや割れ、それぞれのお手入れ方法を解説していきますね」。

    ubdyショールームでうつわの修理をする渡木さん。修理持ち込みは土曜のみ。

    ①用意する道具

    彫刻刀(右)と、やわらかいスポンジ研磨剤(左)。もしあればカッターマットも。
    お手入れするうつわは、事前によく自然乾燥させておこう。

    「特別な道具でなくてOK。手に入りやすい市販のものでやってみてください」(渡木さん)

    ②表面にできたキズのケア

    「フォークやナイフがあたったりして、うつわの表面にできた細かいこすりキズは、キズが浅いので簡単にケアできます。キズそのものを彫刻刀で削ってから、やわらかいスポンジ研磨剤でヤスリがけすると、簡単に目立たなくなります。ヤスリがけした後は、表面の保護のため、うつわ全体にオリーブオイルを薄くぬって、ふきとり、半日〜1日かけて自然乾燥してください」。

    表面のキズを彫刻刀で削っていく。キズの深さにあわせて彫刻刀を使い分ける。

    うつわ表面のキズを全体的に削った後。このあとヤスリがけしていく。

    ヤスリがけの工程。スポンジ研磨剤を使い、手彫りの風合いを残して整える。

    ③割れ、欠けのケア

    「割れて亀裂が入ってしまったら、その部分をざっくり削り落としてしまうか、割れた部分を接着剤でくっつけて現状維持するかの2通りのなおし方があります。一部分が欠けてしまったら、表面がなめらかになるように削って整えます。削った後は、キズのケアと同じように、削ったところをスポンジ研磨剤でヤスリがけして、仕上げにオリーブオイルで保護します。ちなみに、もし、うつわを落として2つに割れてしまったとしても、くっつけて修理することができますよ」。

    小さな欠け・割れは、部分的にナイフで削って、表面をなめらかにすればOK。

    角の欠けを削った皿(上)。欠けていない皿(下)と比べても、ほとんど違いがわからない。

    愛着をもって、うつわを使い続けるために

    うつわをケアするときに、気になったのは「どこまでキレイにするか」ということ。渡木さんに聞いてみると、

    「確かに、キズ自体を“味”ととらえるかどうかがポイントですね。キズって、実は、使い手の愛着につながっていることが多いですし、お手入れのご依頼があったときも、どこまでキズを消すかをお客様にしっかり確認します。表面に入ったキズも、ちょっとした欠けも、長く使い続けてきた証ですから、キズが消えるとそのささいな証も消えてしまう。ご自身でうつわをお手入れするときも、新品同様のピッカピカの状態にするのを目標にするのではなく、ほどほどに“愛着”を残した形に仕上げてあげると良いと思います」。

    ちなみに、木のうつわって、どれぐらい長持ちするんでしょう?

    「素材にもよりますが、強靭なチーク材で作られた木のうつわは、使えば使うほど味が出てきます。年月が経つにつれて色の深みが増していき、素材ならではの美しい色ツヤになっていきます。

    どれぐらい長持ちするか?については、映画でよく知られる豪華客船タイタニック号のエピソードをよくたとえ話でお話ししています。タイタニック号はデッキがチーク材でできているんですが、沈没後、100年を経た後もそのデッキが海中で朽ちずに、そのまま残っているそうです。それぐらい耐水性・耐久性・安定性にすぐれていることを如実に表している銘木ですから、古い材木ほど価値があり、値段も高価になるんですよ」。

    ubdyの木のお皿ができるまで。手彫りして、手で磨き上げて、職人の手で1つずつ仕上げられる。

    ubdyショールームにて。代表の渡木誠さん、ubdy事業部長の渡木玲子さんご夫婦。

    渡木さんからお手入れ方法や、いろんなエピソードを聞かせてもらいながら、小一時間過ごしている間に、持ち込んだmyうつわは、すっかりリフレッシュ!

    「おうちキャンプも盛り上がっていることですし、木のうつわを暮らしに取り入れることで、家の中でキャンプするかのように自然を感じてもらえたらうれしいです。手にとったり、肌にふれたりと、木のうつわは、私たちにとって一番身近な“自然”なのかもしれませんね」と笑顔で語る渡木さんでした。

    角の割れをケアした後の木の皿で、朝ごはん。より愛着がわいて、長く使い続けられそう!

    ubdy(ウブディ)

    所在地:大阪市北区中津3-21-15

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