伝統の技で鍛えられたハイクオリティーが魅力
和式鍛造ナイフ
日本の鍛冶屋は熱した鋼を叩き形状のみならずスペックも刃物に適したものへと変えていく。土地や植生に合わせたものづくりにも対応してきた高い技術力で生み出されたナイフは、アウトドアでも頼りになる。
三条生まれの精緻で使いやすい鉈3種
味方屋の東型とサヤ鉈は、精緻さで知られる高い鍛造技術で、各地に伝わる形状をモディファイした鉈。「黒打ち」は、鋼を鍛造する過程でできる酸化被膜を落とさず仕上げた素朴な風合いが特徴。和式ナイフは狩猟や渓流釣り、さらには簡単なクッキングまで、フィールドで使えるモデルだ。
上 ●全長=425mm●刃長=135mm●重量=710g
中 ●全長=345mm●刃長=165mm●重量=485g
下 ●全長=258mm●刃長=120mm●重量=175g
問い合わせ 日野浦刃物工房 TEL0256(38)0051
日野浦刃物工房
新潟県三条市の鍛冶、日野浦司さんが三代目を務める。味方屋は日野浦さんの息子の睦さんが製作を行なう、明治時代からのブランド。伝統的な技術で、現代に合わせたモデルを送り出している。
越前生まれの
和洋折衷デザインのナイフ
本丸は両刃のハンティングナイフ、漁師マキリはアイヌ民族が使用していたマキリに触発された片刃のモデル。伝統的な製法で作られた白紙鋼を使用した刃と、藤の蔓をあしらったハンドルの組み合わせで、オリジナリティーを出している。その切れ味はハンターなどから高く評価されている。
上 ●全長=255mm●刃長=130mm●重量=145g
下 ●全長=345mm●刃長=165mm●重量=150g
問い合わせ 佐治打刃物 FAX0778(24)2715
佐治打刃物(佐治武士)
父から技術を学んだ佐治武士さんのもと、腕利きの鍛冶たちが越前武生の地で和洋折衷デザインの刃物づくりを行なう。海外のユーザーからも人気。(撮影=圷 正史)
山林用刃物の達人たちが作る
絶品ナイフ
いずれのモデルも鉄を折り重ねて鍛えたダマスカス模様の刃を使用。真ん中の切刃部分には青紙二号を使用し、それを折り返し鍛錬した軟鉄で挟んだ刃は、和、洋いずれの雰囲気にもマッチする見た目の美しさのみならず、切れ味が持続し、刃欠けしにくいという高いスペックを併せ持つ。
上 ●全長=265mm●刃長=120mm●重量=290g
中 ●全長=230mm●刃長=105mm●重量=100g
下 ●全長=190mm●刃長=75mm●重量=130g
問い合わせ トヨクニ ☎088(862)2819
トヨクニ
1946年の創業以来、高知県南国市で、多種多様な刃物を作り続けてきた。各地の営林署職員らプロに愛用されてきた技術力を生かし、アウトドア向けのナイフも手がけ、人気を集める。
マタギの文化を伝える
山林用の鍛造刃物
フクロナガサ最大の特徴は、中空状になった刃と一体成形の柄。柄を差し込むためのデザインだが、袋状のハンドルの合わせ目にあいた隙間によって、物に食い込んだ瞬間の衝撃が直接手首に伝わらない効果がある。4.5〜6寸くらいがアウトドアで使う際はおすすめ。叉鬼鉈は枝打ちなどに活躍してくれる。
上 ●全長=270mm●刃長=140mm●重量=245g
下 ●全長=345mm●刃長=185mm●重量=472g
問い合わせ マトリックスアイダ TEL03(3939)0052
西根打刃物製作所
秋田県のマタギたちが使うフクロナガサを作っていた鍛冶、故西根正剛(写真)。その技は甥の西根登さんに継承され、現在もハンターをはじめとする人々に愛用される。
※構成/服部夏生 撮影/小林 拓
(BE-PAL 2020年6月号より)