キャンプの準備をしていて悩むのが包丁だ。
使い勝手で言えば包丁がベストだが、持ち運びに困る。ケース入りやまな板とのセットもあるが、ソロやデュオでは大げさだったりもする。とはいえ持ち運びやすいナイフは切れ味の点では合格でも、まな板との接点が小さくて包丁よりも大きく引く必要がある。これが結構ストレスだ。
金物のまち、兵庫・三木市で120年以上前より刃物製造を行なっている神沢鉄工が、2014年に立ち上げたライフスタイルブランドがFEDECA(https://www.fedeca.com)。
FEDECAは現代の生活に寄り添う刃物や雑貨を開発しており、クッキングナイフシリーズもラインアップのひとつ。その中の「折畳式料理ナイフ」(7590円〜)と「ヤマ飯ナイフ」(7590円〜)は“折り畳めるのに包丁感覚で使える”をテーマに誕生した。
折畳式料理ナイフもヤマ飯ナイフも、メスティンの中に収まるサイズになっている。メスティンをはじめクッカーの中に入れて持ち運んでもいいし、ヤマ飯ナイフは二つ折りにするフォークやスプーンと同じくらいの長さなので、カトラリー類とまとめて持ち運んでもよさそう。
独特のカーブで“引く”動作は最小限
折畳式料理ナイフもヤマ飯ナイフも基本デザインは同じで、ブレードのエッジはほぼ直線で峰は美しいカーブを描いている。これが“包丁感覚”を実現した最大のポイントだ。
ナイフを手にしてまな板に当ててみた。
一般的に、包丁は刃先が浮き、ナイフは刃先の一部がまな板に接するのだが、折畳式料理ナイフとヤマ飯ナイフは刃元が少し浮くものの極めて包丁に近い。
目立たないけれども包丁でいうところのアゴもちゃんとある。
ブレードはネジで留めるあたりは約2mmとしっかりしているが、エッジが付いている部分からはごく薄くなっていて繊細な作業が可能だ。
包丁ほどブレードの幅がないのでスピーディーなキャベツの千切りは難しい。けれどもナイフに比べると“引く”をさほど意識しなくてもすむため、かなり楽に感じる。一回り大きな折畳式料理ナイフであれば、日常的に使えそうだ。
国内外のクラフトマンに愛されている神沢鉄工の技術を投入しているだけあり、切れ味は申し分なし。やわらかいトマトもスパッと切れる。
メンテナンスも包丁並み
折りたたみ式ナイフの場合、ネジのあたりや刃を格納するところに食材のカスや油脂が詰まって非常に不衛生なのだが、折畳式料理ナイフとヤマ飯ナイフは付属のドライバーで分解可能。すみずみまで洗えるので衛生的だし、万一、分解中にネジやワッシャーをなくしたり破損したりしてもパーツのみの販売があるので安心だ。
ブレードは安来鋼銀紙三号を芯に、ステンレスで挟んだ三層構造。芯となる銀紙三号は調理人に評価の高い白紙同等の硬度を持ち、さらに酸にも強いという特徴があり、サッと汚れを拭うだけですますことの多いキャンプ料理にぴったりの素材を採用している。
そして、このブレードは砥石のほかに包丁用の簡易研ぎ器を使える。
砥石でていねいに研ぐ自信がないナイフ初心者は、ついそのまま放置しがちなのでこれはありがたい。
持ち運びしやすく衛生的、包丁みたいな使い心地の折畳式料理ナイフとヤマ飯ナイフは、ソロキャンプやデュオキャンプの包丁問題を解決する優秀ナイフだ。使っているうちに手になじむ木製ハンドルなのもうれしい。
ハンドル素材によって削り跡のない滑らかなものもあるので、好みによって選択OK。
クラフト好きならハンドルを削って自分好みの折畳式料理ナイフに仕上げる「It’s my knife Folding Easy」、「同Standard」、「同Advanced」(いずれも5280円〜)を手に入れてみては。削るので時間はかかるがデザインから仕上げに至るまで工夫でき、より愛着の湧くナイフとなるだろう。