アパレル業界から鍛冶の世界に飛び込んで14年、新感覚の手打ち包丁で30~40代を中心に人気の鈴木康人さん。鍛冶屋の鈴木さんにはもう一つの顏がある。鍛造より好きかもしれないという研ぎだ。
左上は、中砥(なかと) ・仕上げ砥兼用の丹波青砥 。力を入れて研ぐと中砥になり、力を抜いて研げば仕上げ砥になる。ほかはすべて仕上げ砥石。
そんな鈴木さんのライフワークが天然砥石の収集だ。中でもこだわるのが仕上げ砥。
「僕が包丁に使っている鋼材は、昔ながらのもの。こういう鉄は天然砥石と相性がいいんですよ。研いでいて気持ちがいい。昔の人の自然を見る目には敬服ですね。石ってたくさんあるじゃないですか。その中から、すぐれた砥石になるものだけを見抜いている」
鈴木康人さん。1959年、福島県いわき市出身。VAN後の石津謙介に師事してアパレルの世界に身を置くが、実家の事情で帰郷。独学で研ぎと鍛造を身につける。研ぎ教室も人気。