スマートウォッチ備え付けの心拍計
ウェアラブルの万能腕時計”スマートウォッチ”と呼ばれるものが、今、幅広く発売されている。携帯とシンクロするもの、トレーニング向きのもの、日常生活のデータをたくさん収集するものなどその種類は多岐に渡る。ユーザーのシーンに合わせたものが多いが、多くのスマートウォッチに共通して採用されている機能が「心拍計」だ。
心拍計とは、読んで字のごとく心臓の拍数、つまり心拍数を計ってくれる機能である。以前は心臓近くにセンサーをあて、心臓から発生する電気信号を読み取る方式が一般的であったが、LEDライトを照らして血管のサイズを測定する光学式が登場して以来「日常的に身につける」ことが可能となった。
心拍数を計るという行為は、比較的ハードなエンデュランス競技やトレーニングのメソッドなどで利用されるイメージが強い。ところが、実際にスマートウォッチを身につけてみると、心拍と向き合うことが毎日の生活や身体の健康を維持することに役立つことがわかった。そこで、その方法を3つに分けて紹介したい。
安静時の心拍数で体調管理
安静な状態でいると徐々に心拍は下がっていき、落ち着いたリズムを刻んでいく。これが安静時心拍数だ。疲れているときは高くなったり、逆にトレーニングを積んで体力が上がると平均値が下がる傾向にある。
一般的に男性で60~70拍/分程度、女性で65~75拍/分程度といわれているが、アスリートの場合50拍/分を下回ることもざらにあり、自分自身の平均を知ることが重要だ。通常は寝起き、もしくは横になるか座るかして、5分以上安静にした状態で定期的に計るが、これがスマートフォンの場合、自動で行なってくれるものが多い。
私の場合「Apple Watch」を使っていて、睡眠の記録アプリと合わせてデータを収集している。ハードな山遊びをした次の朝は案の定心拍が高く、そんなときは身体を労ってサウナでリラックスすることに決めている。
日常生活時の異常値検出
机に向かって仕事をしたり、電車や車での移動、または階段の昇降など、ひとまとめに”日常”というと幅は広いが、それぞれの状況に応じて私たちの心臓は血液を送り出し酸素を血管に運んでいる。当然人間の意識下ではなく、臓器が自動で行なってくれているが、その分、身体の変化というのは気が付きづらい。
「スマートウォッチで病気を早期に発見できた」という明るいニュースも頻繁に耳にするようになったが、それだけではなく、心拍数はストレスや何かしら心の動揺で上がることもある。スマートフォンであらかじめ心拍数の閾値(しきいち)を決めてアラートをセットしておけば、もしも身の回りで起きた出来事で気持ちが荒ぶり心拍数が上昇しても、深呼吸をしたり、気持ちを落ち着かせるよう冷静な対応ができる。このように体調管理にも繋げられるのだ。
ウォーキングやランニングではペースの目安に
また休みの日のランニングや山登りなど、身体をしっかり動かして健康を維持するうえでも心拍数を知ることはとても役に立つ。例えばランニングなら走る距離や時間、または主観的な強度(キツさ)を参考に走るペースを決定することもできるが、その日の天候や気分に左右されることも多い。とくに調子が良いからといってペースを上げすぎると膝などの故障にも繋がるので、落ち着いて取り組みたいところだ。そんなときこそ心拍数を目安にして走りたい。
例えば”ダイエット”を目的にする場合には、最大心拍数の40%〜60%を目安とすることが望ましいとされている。最大心拍数は以下のような簡単な式で計算することができるので、ぜひトライしてほしい。
最大心拍数 / 脂肪燃焼向け心拍数 の計算方法
220 – 年齢 = 最大心拍数
(最大心拍数 – 安静時心拍数)×0.4~0.6 + 安静時心拍数 = 脂肪燃焼
私で例えるならば
220 – 34 = 190拍/分(最大心拍数)
(190 – 55(安静時心拍数))×0.4~0.6 + 55 = 109〜136拍/分
となる。
*出典:日本健康運動研究所 運動強度の設定の仕方と測り方
計算は少々手間だが、この数値を覚えてスマートウォッチで確認しながら取り組むだけで、体重を落とすことができるのだからありがたい。
スマートウォッチの機種により、搭載されている機能は異なると思うが、自分の日常生活にあったアイテムを見つけて、心拍で身体の状態へ目を向けてみるのも良いだろう。