私たち現代人はとても便利な社会に住んでいます。しかし、便利だからこそ、緊急時に、どうすればいいのか、わからない人が多いのではないでしょうか。
現在、猛威を奮っている新型コロナウイルスや昨年の台風ハギビス、来年、東日本大震災から10年ということに伴い、都心でも、自然の多い地域でも緊急時に使える、サバイバル技術の1つ『火起こし』についてお話ししたいと思います。
状況に合わせた火おこし方法や着火道具
火さえあれば、低体温症を防いだり、飲み水を浄化したり、助けを呼んだりすることができます。その他にも、ご飯の調理や野生動物を追い払う、心を落ち着かせるなど、様々な役割を担ってくれるので、サバイバルにとって必須な技術が『火起こし』です。
まず、普通のキャンプをするにも、サバイバル目的でも、ライターやマッチを持っていくのは基本です。ただ、そのライターやマッチが使えなくなった時に備え、他の方法をご紹介したいと思います。
弓ギリドリル、拡大鏡や車のバッテリーなど、緊急時となったら色々な方法で火を手にいれることができますが、今回は初心者でもトライしやすい方法を抜粋しました。
以下の着火道具は、火を確保する確率が高い上、小さいので、持ち運びにも便利です!
1、フェロセリウム ロッド
ストライカーやナイフの背と合わせることによって、大量の火花を飛ばすことができます。フェロセリウム ロッドは濡れた状態でも使えて、衝撃に強いのでオススメです。
2、スチール&フリント(火打石と火打ち金)
こちらもぬれた状態で火を確保することができ、持ちもいい商品です。
良い焚き火に使う素材とは?
焚き火を作る時に小、中、大の3種類の焚き木を集めましょう。
(小)ティンダー(Tinder):枯れ草や白樺の樹皮など(鉛筆の芯の太さほど)
(中)キンドリング(Kindling):小枝など(指の太さほど)
(大)燃料(Fuel):大きい枝や薪(手首の太さほど)
焚き火を作る順番:小さい素材から順に徐々に太いものを乗せながら燃やしていきます(小Tinder→中 Kindling→大 Fuel)
基本中の基本ですが、焚き火には、乾燥してる素材(枯れている素材)を集めましょう。生きている植物は火がつきにくく、煙もいっぱい出ます。
ただ、わざと煙をいっぱい出したい場合もありますね。それは助けを呼びたい時です。煙をいっぱい出すことによって、救助チームの合図となります。緊急時に必要な技です。
悪条件でも火を起こすコツ
天気が良い日には、火を起こすのが簡単です。しかし雨が降ると、かなり苦労します。以下は、濡れた状態でも火を起こすためのヒントを幾つかピックアップしました。
1.バックアップのティンダーを持ち運びましょう。箱に入れて保管しておけば、濡れた状況でも、使える可能性が高くなります。
2.濡れた樹皮は抜きましょう。同じく、大きな枝は2つに折りましょう。(上部は濡れていても、下部には濡れてない部分があるかもしれません)
3.乾いている地面ではティンダー等の小さな素材から地面に置いて燃やします。しかし、濡れている時は、ティンダーは地面の水分を吸い込みやすいため、乾燥している樹皮や枝の上にティンダーを置いて着火しましょう。
4.ティピーテントのような形の焚き火を作りましょう。この形だと、炎の熱さを効率的に上げることができ、周りの枝も乾燥していきます。
5.優秀な着火剤といえばファットウッド(松の木の松脂を多く含んだ部分)! 簡単に着火できる上、長く燃えますので、持ち歩いておくとよいでしょう。
6.ガムテープをボール状にして、火をつけると、良い着火剤になります。
火起こしは、意外と簡単!
火起こしとは、アウトドアを楽しむためにも、緊急時を乗り越えるためにも必須なスキルでありながら、皆さんが思っているほど難しい技術ではありません。とても簡単な方法から、上級者向けの方法まで存在するので、まずはキャンプ場で楽しく基本を練習しましょう。楽しいキャンプのためだけではなく、緊急時に備えるためにもね!
※撮影/Anton Engblom https://www.facebook.com/antonengblomphotography/
協力/Bushcraft Denmark http://www.bushcraftdanmark.dk/
衣装/Fjallraven http://fjallraven.jp/