担当ライターもそんな一人ですが、近頃ひと際気になるYouTubeチャンネルがあります。それは『KUZRAの山』。仲間とともに山で様々なチャレンジをする様子を配信中で、登場するのは、起業家の「マックスむらい」こと村井智健さんです。
ITの世界から山へ。「マックスむらい」さんとは?
村井さんは、2008年のiPhone 3GS発売後に、スマホアプリ紹介サイトの先駆けである「AppBank(アップバンク)」を設立。アプリの専門家として、テレビにも多数出演。その後、パズドラやモンストなどのソーシャルゲームの実況中継動画を配信し、YouTubeチャンネル『マックスむらい』(https://www.youtube.com/c/TheMaxMurai/)は登録者数約150万人、再生回数は累計約20億回を記録します。
そのキャリアから、てっきりITの世界の住民かと思いきや……!?2020年の夏からスタートした『KUZRAの山』では、山を整備したり、ハーブを育てたり、山や地元のものを商品化したり、豪快なアウトドア料理を楽しんだり。仲間とワイワイ楽しむ様子が配信され、友人とのキャンプが長らくできていない身としては、ウズウズ。
しかし一体、何を目指しているんだろう? アウトドア好きが高じて、山で生活し始めたの?動画を楽しむほど、疑問は募るばかり。というわけで、突撃取材してきました!
山に来た理由
「今は週の半分を山で過ごして、土地の整備や商品開発をしています。寝泊まりは、気候がよければテントで、それ以外は麓の小屋。Wi-Fiも飛ばしているから、山頂からテレカンすることもありますよ。
私は、石川県の穴水町という田舎出身ですが、別にアウトドア好きではありません。キャンプも、2~3回したかな?というレベル。2020年の夏から山を整備し始めましたが、真夏はタープの外に5分といられないし、冬は体感マイナス20度Cくらいだし、春は花粉が大量でキツいし。山での生活は、なかなか過酷です(苦笑)」
「なぜ山で活動しているかといえば、私は仕事を10年刻みで考えています。2000年から仕事し始めて、最初は“IT”の営業マン。2010年からは“スマホ”と“動画”に力を入れて、ソシャゲ(※ソーシャルゲーム)やスマホアプリを仲間と一緒に盛り上げてきました。じゃあ2020年からは?と考えたときに“農業”と“アート”にしようと。この2つにしたのは、Made in Japanのものづくりがしたかったからです。
そこで2019年から、商品開発などができる山を探し始めました。条件は、東京から行き来がしやすくて、フラットな広い土地があること。ご縁に恵まれて、かつて農学校だった3万1000坪の静岡・沼津の山と出会いました」
山に来てよかった!
「この生活が始まって、体が引き締まりました! フラットに見えても土の上はデコボコしているから、歩くだけで体幹が鍛えられるんでしょう。東京ではブラックコーヒー派だったのに、山では必ずカフェオレ。ミルク分のカロリーすら欲しくなるみたいです(笑)」
「大きな気づきもありました。それは、人間らしいコミュニケーションの再発見です。
もともとITの世界に20年いて、営業マンだったりYouTubeで動画を配信したりする中で、人とのコミュニケーションは多いほう。おもしろい人とたくさん出会って、ワイワイやってきました。
でも、今は時代もあり、テレワークが浸透して、極端な話が会議も『始めます』『終わります』がパソコン上のワンクリックですみます。アポイントは必須で、1時間の予定なら1時間きっかりで終了。会議が終わった後の『お酒、好きなんですか? 今度おいしい店にいきましょうよ』なんて雑談が生まれる隙間がない。便利ではあるけれど、ふと、そんなやりとりが希薄に感じてショックでした。
山では、昔を思い出すというか……。動画を撮影していると、遠くから人影がゆっくりゆっくり近づいてくるんです。よーく見ると、地元のおばあちゃん。私たちが撮影している隣に座って『(山に来たのは)あんたらかぁ〜』って、見学して帰る。あとは、地元の方が『これ、おいしいから食べて』と持ってきてくださったり『今(静岡に)いる?』って朝の8時に携帯に電話がかかってきたり。全部アポなしで、皆さんマイペース。最初はびっくりしたけれど、人間味を感じてうれしくなるんですよね」
「私は、私がいる場所を盛り上げたい。それには一人の力では無理で、山でいえば地元の力が不可欠です。だから、来た当初から町内放送で私たちを紹介していただいたり、私の連絡先と紹介文を書いたチラシと羊羹、煎餅、お酒を車に積んで町内をまわって、出会った一人ひとりにご挨拶したり。長くお付き合いをしたいので、少しずつ交流を重ねています。
2020年は、山の整備と同時に、人との繋がりを発掘していった感覚です。ようやく下地ができた2021年は、もっともっと地元と絡んでいきたいですし、協力していただけるよう動いていきたい。その中で、Made in Japanのいいものを生み出していけたらと思っています」
富士山の麓から地元の力を発信!
「『鎌倉』と聞けば有名なお菓子が浮かぶように、静岡の沼津ならコレ! という地元のものが必ずあります。それを活かして、持続可能なものづくりをしていけたら」。そう話す村井さんは「地元の力を信じている」とも。
地域から、まず元気になる。それがいろんな土地でどんどん起こっていけば、日本全体がますます盛り上がるーー。村井さんのお話を聞いていると、そんな可能性を感じます。2021年は、環境の整った山にゲストを迎えて、新たな発信もしていく予定とのこと。う〜ん、ますます目が離せません!
さて次回は、山での生活で村井さんが活用しているアウトドアギアを紹介していただきます。
Made in Japanのオリジナル商品
山での出会いと経験をもとに、生まれたオリジナル商品はこちら!村井さんと仲間の活動報告とともにお届けする「友竹商店」と、新しいものや体験を応援する「Makuake」で購入可能です。
左:究極の手むきみかんジュース
みかんの産地としても知られる沼津のみかんを、地元の人たちが手むき。甘みと酸味のバランスに優れた果実を、1本あたり1.5kgも使用しています。もちろん無添加・無着色。その味わいと安心感から、ギフトにする人も多いそう。「本物のみかんより濃い!? と感じるほど濃厚です。そのままはもちろん、私のおすすめは、ジンと1:1で割るスクリュードライバー(村井さん)」。
720ml 1本¥1,944、3本セット¥5,832、6本セット¥11,664/友竹商店
右:PAPER BOX WATER
脱プラの一歩、紙パックのミネラルウォーター。売り上げの10%が、海洋保護団体のビーチクリーン活動に寄付されます。「まだまだペットボトルが主流のミネラルウォーターを、安曇野にある工場で持続可能な紙パックに詰めました。日常はもちろん、キャンプにもおすすめ。使い終わったら畳んで持ち帰れるから、ごみのカサが増えません(村井さん)」。6本購入で、オリジナルボトル(¥1,320)付き。
1L 6本セット¥1,728、12本セット¥3,080/Makuake
手作り竹炭 -BBQ用
山に残っていた竹炭を焼く窯で、3か月試行錯誤。火がつきやすく、初心者でも手軽にBBQができる竹炭が生まれました。「竹炭は、ひと晩焼き、冷ますのに3〜4日かかります。また、焼く間は窯をしょっちゅう開けられないので、燃える音を聞いて火加減を調整する必要があるんです(村井さん)」。煙が出ないので、食材の味や香りも楽しめるのもいいところ。
2kg ¥3,300/友竹商店
友竹商店 https://bamboofriends.net/
Makuake https://www.makuake.com/