2020年3月から始まった、100%オーガニックの鎌倉野菜を育てる『雨のちハレ、ときどき農業生活』。2度目の秋冬シーズンに入りましたが、昭和の大横綱・千代の富士をイメージキャラクターに起用した『いつでも勝つ! ダイコンキャンペーン』に便乗して植えた大根『冬自慢』がとても順調に育っています。今日は育つ過程をお届けします。
100倍速の動画付き大根の植え付けはこちら
https://www.bepal.net/natural_life/farming/180460
いい大根は間引きで決まる!
成長を競わせるように一つの穴に3つの種を蒔いていくのが通例だそうで、種を撒いてから5日後、若葉が顔を出してきました。なんとも愛くるしいのですが、思っている以上に成長が早いのです。2週間もすれば、こんなに成長します。
こうなると必要なのが『間引き』です。植物を栽培する際、ある程度密集した状態で苗を育て、育つにつれて苗を引っこ抜いて互いの間を開けて育ちやすくする作業のことで、特に大根栽培では間引きが王道のようです。だったら、最初から間隔をあけて種1つだけで植えればいいのに!と思うところですが、まだ苗の頃には、逆に互いに寄り合っていた方が育ちがよいのだそうです。
他にリンゴなど果樹栽培の場合、果実が未成熟の段階で枝ごとや樹木ごとの果実の数を減らすことがあります。これにより収穫される果実の数は減少しますが、樹から送られる栄養分が少数の果実に集中するため果実の大きさや味がよくなるわけです。
この果樹栽培の作業のことを『摘果』と呼ぶそうですが、こうした良質なものを残してその他を引き抜く合理的な発想が、増えすぎたとされるものを人為的に減らす意味に転じて使われ、貧困などを背景に育てられないと考えた赤子を死亡させることにもこの言葉は使われていました。
「いただきます」って大事!
1回目の間引きでは、苗はまだまだ未成熟なので口に入れることはできなかったですけど、青葉は味噌汁の具にしたり、餃子のタネにしたり、脇役として美味しかったです。
種を植えてから1か月弱で2回目の間引きをしました。蒔いた3つの種から出た芽を2つ抜いて1つだけ残したことになります。このとき個体として弱いもの、細いものを抜き取るのが通例ですが、大きすぎるものだったり、曲がっているなど形の悪いものを抜く場合もあります。
ちなみに間引きをすると、大きい個体が少数得られることになり、間引きしなかった場合にはやせた個体を多数得られることになります。これ、どちらの場合も総計は変わらないとする『収量一定の法則』があるそうです。
間引きを行なわない場合その植物はやせ細ってしまい、時には共倒れしてしまうこともあって、作物として使い物にならなくなるのはもちろんです。しかし次第に大きさにも差が生まれ、一部のものだけが枯れる“自然選択”が働くこともあるとか。
自分で畑を耕し、栽培していくと、ちゃんと「いただきます」と言葉にする大切さを痛感します。