新しいYouTuberと思いきや、おやじがキャンプ場で焚き火して料理するドラマだった
公開1か月で100万回以上再生された
2020年10月に公開されるや、約1か月で100万以上の再生回数を記録したという人気YouTubeドラマ『おやじキャンプ飯』をご存知だろうか?
主人公は、元中華料理店の店主・坂本明夫(59歳)。明夫は、京都郊外にあるキャンプ場にテントを張り、約1か月そこでキャンプをしながら暮らしている。テントサイトを訪れる人、買い物をしているときに偶然出会った人など、毎回、謎のゲストが登場する。そんなゲストとの会話の中で、徐々に明夫の人物像が解明していく。
ときにコミカルに描かれた人間模様に加えて、美しい焚き火の炎や山並みなど、リアルなキャンプシーンにグイグイ引き込まれていく。さらには、焚火の音、鳥の声、川の流れる音など、実際にキャンプ場で録音したという自然の音が耳に心地よい。
焚き火で中華鍋を振らずにいられなくなる
圧巻は、明夫が焚き火で中華鍋を振って料理をするシーンだ。明夫が無言で中華鍋と対峙する姿を見守る謎のゲストたち。やがて、元中華料理人が作った料理に魅了されていく。炒飯、回鍋肉など、その料理がとにかく旨そうなのだ。そんなシーンを観たら、焚火をして中華鍋を振らずにはいられなくなるだろう。
そんな『おやじキャンプ飯』は、全6話をYouTubeで無料公開している。30分のテレビドラマほどの長さで簡潔にまとめられているので、さらっと観られるのもいい。キャンプに行きにくい時期に、次に行くキャンプのことを思いながら、自宅でのんびり観るにもいい。
監督は大のキャンプ好きだった
このドラマを制作したのは、シネマズギックス代表・馬杉雅喜さんだ。ボルダリングとロックをテーマに描いた青春ボルダリング映画『笠置ロック!』(2017年公開)で映画監督デビュー。国内外の映画祭にも出品。人口1400人の町で、300人以上の町民が映画作りに参加したことで話題をさらった気鋭の映像ディレクターだ。
キャンプ歴は3年。「一人でキャンプを始めるのが心細かった」という理由で、『クリエーターズキャンプ』を企画する。その呼びかけに100名以上の仲間が集結。馬杉監督は、かつて映画製作をした、ゆかりの笠置町で100名の仲間たちとキャンプデビューを果たした。そして、2年目にすっかりキャンプにハマり、今では年間50日はテントで泊まっているそうだ。
キャンプ好きも納得のリアルな道具 たち
「おやじキャンプ飯では、キャンプ好きのスタッフだけを集めました。昔からキャンプをしている人、釣りが得意な人、いろいろなスタッフの協力でできあがりました」と馬杉監督。
劇中に登場する使い込まれたキャンプ道具は、その多くが馬杉監督やスタッフの私物だという。
謎多きドラマに自然と吸い込まれる
このドラマには、とにかく謎が多い。明夫がなぜそこにいるのか?なぜ娘・千秋と明夫の苗字が違うのか?なぜ、千秋が宇宙にいるのか?公式ホームページもなければ、詳しい情報も一切公開されていない。ゆえに視聴者は、何度も繰り返し作品を観ては、自分なりの考察をたてることになる。そして、SNSなどを探しては、自分と同じように正解を求めてさまよう別の視聴者を探し出す。他人の考察を読んでは、フムフムとなる。しかし、真実は闇の中。気が付けば、すっかりこの作品にハマってしまうという仕掛けだ。
ビーパル3月号では馬杉監督と近藤芳正さんのインタビュー記事を掲載!
そんな謎を解き明かすために、馬杉監督と主演の近藤芳正さんにインタビューを決行した。劇中に登場する使い込まれたキャンプ道具の話、知られざる明夫のバックボーンや監督が作品に込めた思い、近藤さんが何を考えて演じたか?そして、続きは公開されるのか?さらには、印象的なエンディングテーマを唄う谷澤ウッドストックさんもチラッと登場。ぜひとも、2021年2月9日発売のBE-PAL 3月号『BLUE&GREEN FIELD』を手に取ってチェックして欲しい。
おやじキャンプ飯
https://www.youtube.com/channel/UCp1fVYjQEn9g1RB0VPWAjQQ