一見、動きがないように見える星空において、流星はささやかなサプライズだ。
メジャーな流星群の活動期でなくても、また、一晩中夜空を凝視し続けなくても、たいてい一晩に一つや二つは流星を見かけるものだ。長年夜空を眺めているから、累計すると相当数の流星を見ていることになる。
だからと言って「もう見飽きた」とはならず、やっぱり「もっと見たい」と夜毎思ってしまう。
流星を目にすると、反射的に「流れた!」と口にし、思わず笑みがこぼれる。そして、「ラッキー!」と心の中でつぶやくのだ。
流星といえば“流星群”。“たくさん流れる”と分かっているときに見に行けば、見られる確率はぐっと上がる。
実は、流星群の数はとても多く、国際天文学連合(IAU)が名称確定したものだけでも100を超える(※日本では観測が難しい流星群や昼間に活動する流星群も含む)。年間を通して見ると、年がら年中何かしらの流星群が活動していることになる。
実際のところは、眼視で“群”として認識できるほど活発な流星群は多くはない。その中でも、1月のしぶんぎ座流星群、8月のペルセウス座流星群、そして12月のふたご座流星群の、所謂“三大流星群”は別格で、毎年コンスタントに流れてくれる鉄板の流星群だ(※月明かりの影響などから、年によって観測条件は変わる)。
とはいえ、普段は活動の鈍い流星群が活発になる年もあるし、突発出現する流星群もある。結局、思い立ったら夜空を見上げてみるのが一番ということになる。
天文現象には、秒単位で正確に現れるものもあれば、流星のように気まぐれな現象もある。すべてが予報通りにはいかないのが、この世界の面白いところであり、奥深いところでもある。
星景写真の撮影行とは、すなわち、眠気と寒さと孤独と付き合うことに他ならない。流星は、そんなことを続けている僕のような物好きへの、神様からのご褒美だと思うことにしている。
もっとも、満天の星がただそこにあるだけで、僕には十分すぎるのだが。
主な流星群(国立天文台ウェブサイト)
http://www.nao.ac.jp/astro/meteor-stream/major.html
星景写真家・武井伸吾
「星と人とのつながり」をテーマに、星景写真(星空のある風景写真)を撮影。著書に写真集『星空を見上げて』(ピエ・ブックス)など。
http://takeishingo.com/
武井さんの以前のお話はこちら。
桜と星空鑑賞のススメ。~夜桜礼賛~
満天の星の下、お気に入りの樹々と過ごす時間。
星降る夜に、カメラを構えながら思うこと。
僕を夜空の世界へいざなってくれた星。