春は進級や就職など、「おめでタイ」がたくさんある季節。日本人にとってお祝いの時に欠かせない「鯛」ですが、日本の海水魚には実はとてもたくさん「タイ」と名の付くお魚がいるんです。タイはタイでも果たしてどんなタイなのか? 新年度の「ああしタイ、こうしタイ、やってみタイ」という抱負とともに、写真盛りだくさんの大サービスでご紹介します。
「ブダイ」はタイじゃない!?
水中カメラマン堀口氏が以前ダイビングインストラクターとして屋久島で働いていた時のこと。遊びに来た姉と食事に行き、店員さんが「ブダイです」とお刺身を運んできた。姉は「わぁ~タイのお刺身だ!」と喜んだ。
堀口氏は「姉さんが思ってるタイって”マダイ”じゃないの?」と思ったが、嬉しそうな姉の気持ちに水を差を刺さないよう自分のお刺身も快く譲った。実はブダイはベラの仲間で、「マダイ」とは異なる魚だ。ブダイの仲間は鹿児島や沖縄で刺身で食べられ、もっちりとした食感がおいしい。
刺身でも食され、歯ごたえがあって美味。「タイ違い、ブダイのお刺身食べてみタイ!」
眠るときは粘液でマユを作る。「仕事はさっさと終わらせて、おうちのふとんでゆっくり寝タイ!」
「コブダイ」もベラの仲間
オスはひたいがせり出し、立派なこぶとなるコブダイもベラの仲間。ベラというと小さな魚というイメージがあるが、大型のベラはド迫力だ。
いかついオス同士が口あけてぶつかり合うバトルは迫力がある。
「話合わせるばかりじゃなく、たまにはケンカもしてみタイ!」
「イシダイ」「イシガキダイ」「タカノハダイ」はタイの仲間?
イシダイやイシガキダイは、釣りでもおなじみの「タイ」たちだ。本州のダイビングでもよく観察される。
老成した成魚は口が黒いのでクチグロとも呼ばれる。腹黒ではない。
「やっぱりボーダー柄の服はもっておきタイ!」
石垣模様。「旅行できるようになったら石垣島とか行ってみタイ!」
体はシマシマ尾はドット柄。「シマシマやドット柄以外の服も挑戦しタイ!」
マダイに似ている「コロダイ」
一見マダイっぽい? 「もっとキャラ出しタイ!」
ダンディーな「ヒゲダイ」
あごひげがダンディー。「ひげとか伸ばしてイメチェンしタイ!」
カラフルな「タテジマキンチャクダイ」
ダイバーには「タテキン」の愛称で呼ばれる。英名は「エンペラーエンゼルフィッシュ」ってかっこいい名前。「オトナっぽくふるまいタイ!」
ダイバーの間で「うずまき」と呼ばれる。「子どもの頃みたいにかわいいって言われタイ!」
殿様みたいな「トノサマダイ」
タイだけでも十分偉い魚のような気がしますが、さらに「殿様」がつきます。「自己肯定感、殿様級に上げてみタイ!」
タイはタイでもいろんなタイがいるってこと、お分かりいただけましたでしょうか? まだまだいろんな「タイ」がいますので後編に続きます。
コロナや不景気、気がめいることがたくさんあるけれど、そんな中でも楽しいこと見つけて今の時間を楽しみタイ!!
写真 :水中カメラマン 堀口和重
日本の海を中心に海洋生物やそれに携わる被写体を1年通して撮影。撮影した写真は新聞やダイビング雑誌などのメディアに掲載、セミナーなどのカメライベントなども開催。水中の生き物の面白い姿や、面白い生態を知ってもらいたいと、海と人の関わりをテーマに撮影している。
撮影協力:大瀬館マリンサービス/ダイビングショップ SB/オーシャンドリーム /西表島ダイビングセンター遊びなーら/黄金崎ダイブセンター /(順不同)