さて、高波の恐怖に耐えながら、なんとかポイントに到着した。通常、アオリイカは「エギ」という疑似餌で釣る。エギをいったん海底まで沈めたら、2、3回竿をシャクってアタリを待つということを繰り返す。が、高波のせいもあってエギが着底したのかどうか、よくわからない。基本、底がとれないとこの釣りは成立しないといわれている。
岸からの釣りでは、ルアーが着底すると竿先に「コン」という感覚が伝わるので比較的わかりやすいが、カヤックだと自分も動いてるし、潮の流れもあるので、非常にわかりづらい。そのため、糸のたるみ具合で着底したか見極めないといけないのだが、慣れないのと高波の影響で、なかなか難しい。
沼野さんはさすがに慣れたもので、きちんと底がとれているようす。私も集中しようとするが、なんせ波が気になる。大きいのが来ると、慌てて船主をそっちに向けようとしてしまう。はっきり言って、釣りどころではない。それでもめげずにエギを落とし続けるが、まったく反応なし。1時間もしないうちに沼野さんが「今日は波が高くて底が取りにくいので、別のを狙いに行きましょうか」と近づいてきた。そうしましょうそうしましょう、ということでひとまずアオリイカは諦める。