宜野座村に一泊した翌日は、宜野座村観光協会の方に案内していただきながら、以前「こちゃ村(古知屋村)」と呼ばれていた松田区のあたりを散策することにしました。
こちゃ村の中には、至るところに立派なガジュマルが。無数の気根が絡み付いて独特の形状を作り出しています。沖縄では古くから、ガジュマルには「キジムナー」という精霊が宿っていると伝えられています。
この丸っこい石像は、こちゃ村の集落の境目に配置されている石獅子です。外界に棲む魔物から村を守る役目を果たしていたのだとか。ここでは2年に一度、旧暦の8月15日頃に「十五夜アシビ」という豊年祭が催され、アシビナーと呼ばれる場所に設けられる舞台では、伝統的な獅子舞などの舞踊が披露されるそうです。
村の道路にあるマンホールの絵柄も、獅子舞。何だかかわいい絵柄ですね。
沖縄の各地には、神を祀る「御嶽(うたき)」と呼ばれる場所があります。こちゃ村には「前ヌ御嶽(メーヌウタキ)」と「後ヌ御嶽(クシヌウタキ)」という2つの御嶽があり、上の写真は後ヌ御嶽。いずれの御嶽も、神聖な場所として今も人々から篤く敬われています。
こちゃ村の中で唯一残っている、琉球王府時代に作られた高石垣。このお宅のご先祖様が金武御殿から寄贈された石垣なのだとか。門の内側に見えるもう一つの石垣は「ひんぷん」と呼ばれ、魔物が家に入ってくるのを防ぐために門と家の間に設けられるものです。
この一帯の地下には、巨大な鍾乳洞が存在します。「メーガー洞」と呼ばれる鍾乳洞内を流れる川は、かつて村の人々にとって貴重な水源でした。松田鍾乳洞の中を探検する人気のツアーもあり、ヘルメットやツナギ服、長靴、ヘッドランプなどをレンタルしてもらって参加することができます。
こちゃ村散策の途中、宜野座村観光協会の方に「このお店で休憩しましょう。ぜんざいはいかがですか?」と言って出していただいたのが、こちら。沖縄で言う「ぜんざい」は、甘く煮た金時豆や白玉にかき氷をかけたものなのだそうです。沖縄に疎い僕は、てっきり温かいぜんざいが出てくるものだと思っていたので、意表を突かれました。
散策を終えた後、おひるごはんを食べるため、村にある沖縄そば屋さんへ。注文を終えてから、ふと店の壁を見ると、何やらすごい迫力のお品書きが。山羊汁50人前……そういうニーズがあるんですね。すごいなあ……。
取材協力
平成27年度やんばる観光連携推進事業
http://yanbaru-tour.net
宜野座村観光協会
http://ginozanavi.com
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山本高樹 Takaki Yamamoto
著述家・編集者・写真家。インド北部のラダック地方の取材がライフワーク。2016年3月下旬に著書『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]』を雷鳥社より刊行。
http://ymtk.jp/ladakh/