ホテルではなく、一般のお宅に民泊させていただきながらめぐる、やんばる東海岸の旅。2日目に訪れたのは、名護市安部区。80世帯ほどの家のある、海沿いの静かな集落です。
集落の中にある小山の入口には、安部拝所のガジュマルと呼ばれる大木が。樹齢は200年以上とも言われ、毎年旧盆にはこの木の下で御願行事が行われているそうです。
安部区で一晩泊めていただくことになったのは、友寄江利子さんの「民泊 はな・はな」。友寄さんのご主人が建設業を営まれていることもあって、とても大きくてがっしりした造りのお宅でした。
夕方に到着した僕ともうお一人のお客さんのために、台所で晩ごはんの支度をしてくださっている友寄さん(中央奥)。3人の息子さんはいずれもレスリングの強豪選手で、娘さんは歌手として活動されているそうです。
沖縄には、千切りにした昆布や大根、パパイヤ、その他の野菜や肉などを千切りにして炒め煮にした「イリチャー」という料理があります。このイリチャーが本当においしくて、箸が止まらない……。沖縄に長寿の人が多い理由は、こんな風にして毎日たっぷり野菜を食べているからなのでは、という話も聞きました。
晩ごはんのシメは、ソーキそば。このあたりではソーキ(豚のスペアリブ)のほかに薄焼き卵なども載せるそうです。食べ応えのある具に、つるんとした麺とあっさりしたスープがたまらない、沖縄ならではの味ですね。
この日の夜は、沖縄の話やお互いの話、テレビを見ながらの雑談など、にぎやかに過ごしているうちに、あっという間に更けていきました。ホテルに泊まるツアーでは味わえない、地元の人々とのなごやかなひととき。これこそが民泊ならではの楽しみだな、と実感しました。
取材協力
平成27年度やんばる観光連携推進事業
http://yanbaru-tour.net
久志地域交流推進協議会
http://kushiminpaku.wix.com/kushiminpaku
【やんばる東海岸 民泊の旅1】波の音を聴きながら眠る、宜野座村での民泊の夜
【やんばる東海岸 民泊の旅2】石獅子に守られた村、“こちゃ村”をぶらりと歩く
【やんばる東海岸 民泊の旅4】未来に残していきたい、やんばるのありのままの自然と暮らし
山本高樹 Takaki Yamamoto
著述家・編集者・写真家。インド北部のラダック地方の取材がライフワーク。2016年3月下旬に著書『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]』を雷鳥社より刊行。
http://ymtk.jp/ladakh/