月の満ち欠けを愛でながら、体と心に「宇宙のリズム」を取り戻す。
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    2020.07.05

    月の満ち欠けを愛でながら、体と心に「宇宙のリズム」を取り戻す。

    世界的な聖地・パワースポット、セドナに住んで23年になる写心家・NANAさんは、セドナの大自然をガイドしながら、住んでいる人だけが触れられる四季折々のセドナの大自然を写真に収めています。セドナでは満月の夜には、みんなが集まって、ドラムを叩いたり、ダンスをしたり、瞑想をしたりして過ごすそうです。セドナ式の「体と心に宇宙のリズムを取り戻す方法」は、日本にいてもできそうな楽しいお月見です。

    みんな共に集いながらも、思い思いに満月を楽しむ「ドラムサークル」。

    ーーセドナでは、満月の日に「ドラムサークル」があるそうですが、それはどんなものですか?

    NANA  満月の夜になると、私の家から車で10分ぐらいのキャセドラル・ロックの麓にみんなが集まって、人種も老若男女も関係なく、仲良く集って、満月の下でドラムを叩いたり、ダンスをしたり、瞑想したり、ヨガをしたりするのが「ドラムサークル」です。セドナの満月の夜は、懐中電灯がいらないぐらい明るいんですよ。

    「ドラムサークル」は、誰かが催したり、インフォメーションしたりするんじゃなく、自然発生的な集まりです。いつ来てもいつ帰っても、何をしても自由。時間も特に決まっていなくて、みんな、自然に集まって、帰りたくなったら帰ります。決まり事もルールも何もないけど、みんなに共通しているのは、満月を愛でるということだけです。

    先月の満月の夜も、キャセドラルロックには、200人ぐらい集まりました。みんな、明るいうちから集まって、思い思いの時間を過ごして、空が暗くなってくると気持ちが盛り上がってきて、月が昇ったら、一斉に雄叫びを上げて、満月を迎えます。月が登ったら帰る人も、夜更までいる人もいるけど、毎月、満月の夜は、ドラムサークルに集まって、思い思いに時を過ごすんです。

     

    ――なんだか、日本の縄文時代を思わせる大らかさですね。

    NANA   そうですね。でも、そうやって月を観ていると、普段、街で暮らしている時には感じなかった感覚が戻ってくるような気がします。都会ではコロナで自粛したりしていると、「これからどうなるんだろう」と、不安で目の前のことしか見えなくなることがあるでしょう。そういう時に、大きな視野で自分の人生を見直したりするためには、月の移ろいを実感することは、本当に大切だと思います。

    私は毎日、月や星を意識しながら、写心を撮っていますが、意外にみなさんが知らないのが、月の出は毎日50分ずつ遅くなっていくことですね。1日ごとに、月の出の時間がずれていくんです。月が昇る時間も場所も毎日違うことは、写心を撮っているとよくわかります。

    明け方、満月がチムニーロックの中に落ちて行った。

    日本人は、明るいうちに昇ってくる十四夜の月から、少しずつ遅くなって出てくる月に情緒ある名前をつけてきましたよね。 「宵待月」「望月」「いざよいの月」「立ち待ち月」「居待ち月」「寝待ち月」のように・・・ その名前を見ているだけで、時間の流れを感じられるじゃないですか。昔の日本の人は、月の出が日毎に遅くなっていく様子を本当によく観ていたんだなあ、と想います。

    ー日本でもスーパームーンの時は、みんな、月を観ていますね。

    NANA  スーパームーンの時だけじゃなく、月がどんな風に満ち欠けしているのか、何時ごろに月が上るのか、自分で確かめてみると楽しいですよ。「だんだん月が丸くなってきたなあ」と思って、月の動きや星の動きに敏感になると、自分の視野が広がってくるんです。目の前のことしか見えなくなっていても、自分の気持ちを月の周期に向けるだけで、都会でも自然の営みに触れることができるんです。私たちも他の動物と同じように、宇宙の廻りの中で生かされている生命体だと、感じることができる。そうすれば、もっと大きな視野で人生を見ることができるんだと想います。

    キャセドラルロックからの十三夜の月。

    ――人間が作った枠組みではなく、宇宙のリズムで生きるということですか?

    NANA  私たちの肉体や精神は、自然や宇宙と影響し合っていて、切り離せないものでしょう。満月の夜には、サンゴも産卵するし、蛾も交尾します。私たち人間も地球という生命体のひとつの細胞で、地球という母体に生かされていて、同時に、自分の肉体という母体は、宇宙の大きなリズムの中で生きている。そういう意識を持つきっかけが、月を観たり星を観ることだと思います。

    特に、セドナの雄大な風景の中で月を見ていると、人間主体の時間の流れじゃなく、宇宙主体の時の流れの中に自分がいる、と感じることができます。月の動きや星の動きに敏感になって、自分の体の感覚や自分の体の声を聞くことができるんです。だから、「自然体で生きる」ことが大切だと想うんです。

    自然のサイクルの始まりである新月には、自分のやりたいことの意図を明確にする、というお話はしたと思いますが、満月には、「次の満月までに成し遂げよう」と思うと、どうしても自然の流れを意識せざるをえないでしょう。それは、私たちが生命体としての意識を持つこと。月の周期を意識しながら新月と満月を大切にして暮らすと、「自分は、学校とか会社とかの小さなものじゃなく、地球という母体の中で生きている生命体だ」と感じて、もっと自分を大切にできたり、自分の命に感謝することができると想います。日常のしがらみから抜け出して、自分らしく生きられるようになるんですね。生命体としての自分を見ることができた時、自分らしく生きる意識を取り戻すことになるんじゃないでしょうか。

    命を尽くして鮮やかに咲くサボテンの花。

    ――コロナの後は、店に入る時にマスクをしたりと、みんなと同じような考え方をしなければならない風潮も感じますが、どうですか?

    NANA  私は、コロナによって、たくさんの人が本当に必要なものとそうでないものがわかったように想います。私たちは学校とか会社とかの小さい世界に生きている存在じゃなく、自由な生き方にアクセスしていけるんだ、ということに、みんな、なんとなく気づいているでしょう。そういう今だからこそ、月の動きや星の動きを観て意識して暮らすと、人生に対する視野も広がっていくんじゃないかな、と思うんです。これからの季節、夕涼みがてら、月の移ろいに思いを馳せるのも、ニューノーマルな生活かもしれないですね。

    満月の下では、誰もが平和な気持ちになる。

    75日の満月の前から、その後まで、古の日本人が愛でてきた月の移ろいを、ぜひ、味わってみてください。

    キャセドラルロックに昇る十三夜の月。

     NANA プロフィール 

    東京生まれ。高校卒業後、スウェーデンに渡り、美術学校へ。その後、ストックホルム大学で、スウェーデン語と民族学を学ぶ。帰国後、アメリカ人と結婚し、アメリカ、アリゾナ州セドナに移り住む。セドナの自然を案内しながら、セドナ、そして北アリゾナの自然を撮り続けている。その他、ウエディング写真、ホームページ用写真、記念写真の撮影も行いながら、大自然の美しさを通して、命の尊さを伝えたいと想っている。写心(写真)家・ガイドの他に、誘導瞑想、エネルギーワーク、地元のサイキックなどのセッションの通訳、そして自らもヒューマンデザイン・リーディングというセッションを行う。

    NanaさんのHPは、sedonana.com  
    YouTubeチャンネルはhttps://www.youtube.com/channel/UCvc67HqHocC8U3wDxSQkMSQ?view_as=subscriber

    写真/NANA
    構成/ 尾崎 靖(エディトリアル・ディレクター)

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