「冬至」は、マザーアースに感謝して、大地を大切にいたわるべき時
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    2020.12.20

    「冬至」は、マザーアースに感謝して、大地を大切にいたわるべき時

    世界的な聖地・パワースポット、セドナに住んで23年になる写心家・NANAさんは、セドナの大自然をガイドしながら、住んでいる人だけが触れられる四季折々のセドナの大自然を写真に収めています。1年で最も昼間が短くなる冬至は、ネイティブの人たちにとってとても大切な時ですが、今年の冬至は、特に「地の時代」から「風の時代」への変化の始まりの日と言われています。今年1年お世話になったマザーアースに感謝しつつ、新しい時代に想いを馳せるのも、年末の正しい過ごし方かもしれません。

    初冬の雨の晴れ間、刻一刻、動いていく雲の影と射し込む光の出会いが一期一会の物語を生む。

    ――日本では「冬至」よりもクリスマスの方が、冬の到来を感じさせるようになりましたが、ネイティブ・アメリカンの人たちにとってはどうですか?

    NANA   そうですね。近年はやはりネイティブの人たちも、子どもたちはクリスマスを楽しみにしていると思います。ただ、ホピ族の場合ですが、冬至は彼らにとっては、1年の始まり、つまり冬至を境に新年を迎えるそうです。私の友人のルーベンから聞いたところによると、冬至に向かうこの時期にホピ族の男性は、キバという地下に設けられた祭事の場に入り、儀式をするそうです。1年間、食べ物やさまざまなものを私たちに与えてくれたマザーアースは疲れていてデリケートな時期になっているので、刺激しないようにドラムやダンスを控えて、マザーアースに休んでもらい、感謝を捧げる期間なのだそうです。

    そしてまた、この時期は、長老たちやおさん、お婆さんが、若者や孫たちに、祖先から伝わる言い伝えを聞かせる時期でもあるそうです。

    ――冬至には日光が最も弱くなるだけでなく、地球もくたびれているんですね。

    NANA  冬至の時期には地表が薄い霜に覆われますが、ホピ族の人たちはその様子を「マザーアースがブランケット(毛布)をかぶって休んでいる」と言います。冬至には、マザーアースの復活と太陽の復活を祈る。古の人々にとっては、春に向かってのエネルギーの復活は、生命がかかっているとても大切なことだったでしょうからね。

    霜は疲れたマザーアースを包むブランケット。

    ――弱まった太陽は、いつ復活すると考えられているんでしょう?

    NANA   春分と秋分、夏至と冬至の日が太陽の暦として刻まれているV-Vという岩絵がセドナの郊外にあることは以前、ご紹介したことがありますよね。春分と秋分は、正確にその日だけ、ある場所に刻まれた太陽のシンボルに陽が差してきますが、夏至と冬至には、3日間、太陽の影は同じ場所に入ってきます。冬至の光は上からではなく岩の間から差し込んで、矢印が上っていくように影が伸びるんです。1年で一番、日が短い冬至の12月21日を境に 24日まで、太陽の影は3日間同じ場所に留まっている。つまり、太陽が同じ位置で動かない、ということです。

    そして、12月25日からまた動き始めます。ですから12月25日は、春分に向かう太陽の復活を示しているんです。24日がクリスマスイブで25日がクリスマスということからも、クリスマスは、おそらく古代の太陽信仰とも関係があるんじゃないかな、と私は想っています。太陽=救世主の誕生、ということですよね。年によって多少のズレはありますが、2月4日前後に立春を迎えると、いよいよ春が到来し、ホピでは霊山に帰っていたカチーナ(精霊)たちが戻ってくるんです。

    光が矢印のように指すところに、冬至を示す太陽のシンボルが描かれている。

    ――ネイティブの人にとって、冬至は本当に特別な日なんですね?

    NANA   ネイティブの人、というより、世界中の自然と共に暮らしてきた人たちにとって、冬至は特別なものであったと思います。セドナの岩絵で私の目を引くのは、春分、秋分、夏至に影が示す太陽と、冬至の太陽の大きさがずいぶん違うことなんです。冬至の太陽はひときわ大きく描かれています。その日を境に春に向かう冬至は、古の人たちにとってとても大切だったのではないでしょうか。太陽が蘇って、マザーアースも回復する、そんなイメージを感じます。地球が一番デリケートな冬至の時期に、ネイティブの人たちがマザーアースをいたわる気持ちは、本当にお母さんに対する気持ちと一緒なんですね。

    古の人々が刻んだ岩絵の暦に、岩と岩の間から射してくる冬至の光。

    ――ホピ族の人たちは、天体や自然の動きと調和して暮らしているんですね。

    NANA   そうですね。でも、現在のホピ族の人たちも世界の他の地域と同じような問題を抱えています。知ってはいても、それを行動に移していない人が、やっぱり多くなっているそうです。

    2020年12月21日の今年の冬至は、特に大切な日だと言われています。200年に一度の木星と土星のコンジャンクションが起こっていて、宇宙、星、惑星がアラインメントされるとても大事な時だそうです。まさに変化の時代なんですね。

    地球はアクエリアス(水瓶座)の時代に入って、「地の時代」から「風の時代」に移りつつあるそうです。私たち人類が、大地や海に対してしてきたことを振り返り、これからどうしていくべきかに目覚める時なのだと。ホピ族にとっても今年の冬至は特別で、星の存在たちが光を投げかけて、私たちの目覚めを促してくれていると言われているそうです。

    雪のように星が降る冬の新月。

    NANA  「地の時代」から「風の時代」に移ると、目に見える物質的なものに価値を置く時代から、目に見えない情報やコミュニケーションの価値が大切になると言われています。大きな時代の流れを見た時、ちょうど王制が崩れて、産業革命が起こり、一般庶民が力を持ち始めたのが、丁度、前回のコンジャンクションが起きた200年くらい前なんです。それでも一般人は、王様の代わりに政府や大企業に従属してきました。その体制も、今、崩れ始めていますよね。これからは、もっと私たち繋がりが大きくなって、大企業や政府を介さずにお互いにサポートし合い、経済も横の繋がりで新しい形になっていくのではないか、と私は想っています。地の時代の締めくくりとして、今年、コロナのパンデミックが起こり、仕事の形も否応なく変わってきているんじゃないでしょうか。大きな時の流れの中で見たら、それも必然的なことだったのかもしれませんね。

    木の葉が落ち切り、澄んだ水に映り込む冬のキャセドラルロック。

    ――確かに、コロナによって自分の暮らし方を振り返る人が増えていますね。

    NANA   コロナを機に、新しい価値観が育まれているように思います。パンデミックが象徴する世界的規模で起きている現象は、多くの変化をもたらしました。大企業を辞めた若い人たちが仲間と仕事を始めたりするのはその一端で、企業に依存しないで主体的に生きるという価値が浮上しています。すべての人の生活がそうなるとは思いませんが、国家主義やグローバル主義のような大きくて固定的な価値観から、部族主義とかコミュニティのような、もっと自分に身近な繋がりの中で生きていきたいと考える人が多くなるのではないでしょうか?

    ――自然志向の人たちで、そういう暮らし方を実践する人が増えていますね。

    NANA   世界中で、自然の大切さに目覚めて、人間がマザーアースに対して行ってきたことを見直して、自然を蘇らせようと活動する人たちが増えていますよね。そういう人たちは、ある意味で「風の時代」の到来を直感的にわかっているのかもしれないですね。お金やモノという物質的な価値観から、仲間やコミュニケーションにより大きな価値を置いて、主体的に楽しく生きるということかもしれません。流動性の高い「風の時代」には、宇宙や自然の流れと調和した生き方が、当たり前のことになっていくかもしれません。

    冬の朝、雲の中に沈むセドナの街。

    ――そういう意味でも、今年の冬至は重要な節目になりそうですね。

    NANA   人と人とのコミュニケーションも大切ですが、ホピの教えのような、人と自然とのコミュニケーションの大切さを思い出すという意味でも、今年の冬至は、これからの「風の時代」、自分がどういう態度でマザーアースの中で生きていくのか、ビジョンを描く日にしてもいいのではないでしょうか?

    私たち人類は、自然との調和の中に希望の光を見出して行けるだろうか。

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     NANA プロフィール 

    東京生まれ。高校卒業後、スウェーデンに渡り、美術学校へ。その後、ストックホルム大学で、スウェーデン語と民族学を学ぶ。帰国後、アメリカ人と結婚し、アメリカ、アリゾナ州セドナに移り住む。セドナの自然を案内しながら、セドナ、そして北アリゾナの自然を撮り続けている。その他、ウエディング写真、ホームページ用写真、記念写真の撮影も行いながら、大自然の美しさを通して、命の尊さを伝えたいと想っている。写心(写真)家・ガイドの他に、誘導瞑想、エネルギーワーク、地元のサイキックなどのセッションの通訳、そして自らもヒューマンデザイン・リーディングというセッションを行う。

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    NanaさんのHPは、sedonana.com  

    インスタグラムは、sedonanaworld

    写真/NANA

    構成/ 尾崎 靖(エディトリアル・ディレクター)

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