迫力あるアイガー北壁の景色
スイス・ベルン州に位置するユングフラウ地方。ここに昨年の12月、ヨーロッパ最高地点の鉄道駅ユングフラウヨッホへと繋ぐロープウェイ「アイガー・エクスプレス」がオープンした。
ロープウェイの窓からはヨーロッパ三大北壁3970mのアイガー北壁の迫力ある景色を堪能することができる。
新設されたターミナル駅を起点に、2019年末リニューアルしたメンリッヒェンのロープウェイと、アイガー・エクスプレスの路線がVの形となるVバーンプロジェクトの一環だ。
夏はハイキングや高所登山、マウンテンバイク、冬はスキーやソリ、スノーシューなどのアクティビティーが充実するエリアだ。
空港のように開放的なターミナル駅。お土産物、スポーツショップやレンタル、カフェ、スイスチョコレートのリンツ、スーパーマーケットなどのお店があり、ここに来るだけでも楽しめる場所である。
標高差1377mを約15分で繋ぐ
赤いラインがアイガー・エクスプレス。新設されたグリンデルワルト・ターミナル駅とアイガーグレッチャー駅まで全長6,483mの乗車時間はなんと15分。
以前は登山列車でグリンデルワルト駅から出発してクライネシャイデック駅で乗り換え、アイガーグレッチャー駅まで47分。今まで以上に大幅に短縮された。
26人乗りのゴンドラ!
3本のワイヤーを使い安定性が向上した最新のシステムを利用し、風に強く揺れが少ない26人乗り。実際に強風の日に乗ってみると高い安定感を感じた。
スキーはゴンドラ内に立てる穴があり、スノーボードは手持ちとなる。
新設されたアイガーグレッチャー駅
1912年に全線開通したユングフラウ鉄道に乗り換え、ユングフラウヨッホ駅を目指す。
ゲートの緑は予約あり、黄色は予約なし、紫が10名以上のグループとなる。繁忙期は個人でも予約することをおすすめする。
外に出ることなくスムーズに下の階のホームへ移動。全長約7キロのトンネルを通り乗車時間26分で3454mに位置するユングフラウヨッホへ。
トンネル内の途中駅3160mのアイスメーア駅からはシュレックホルンの絶景が広がる。
「シュレック」とはドイツ語で恐怖、「ホルン」は角を意味する。尖がっている恐山といったイメージ。ディズニー映画の『シュレック』から連想できるだろう。
世界遺産に認定・アレッチ氷河の絶景
全長約24km、アルプス最大・最長の氷河。コンコルディアプラッツという4つの氷河が合流するポイントは深さが900mとも言われている。
夏には山岳ガイドとザイルで繋ぎアイゼンを履いて歩き山小屋で1泊してヴァレー州へと抜けていくツアー、冬には山岳ガイドとツアースキーで登って滑走することが可能。
クレバスが潜むので、リスクマネージメントやクレバスレスキューができる国際山岳ガイドと一緒に行くことを強くおすすめる。
3571mのスフィンクス展望台からは4107mのメンヒが目の前に迫る。
陽気なメロディーに合わせて木彫りの人形たちが動き出す。ライトの色も様々に変化し綺麗だ。
20m下に作られた神秘的な氷河の中につくられた氷の宮殿・アイスパレス。常にマイナス2度を保っているので、防寒が必要だ。
1年を通して万年雪の上を歩くことができる雪原・プラトー。4158mのユングフラウが間近に迫る。
登山列車で下り、アイガーグレッチャー駅で下車。レストラン「アイガーグレッチャー」にてランチタイム。
オーダーしたのは伝統料理のラクレット。大きなチーズの断面を直火で温め、溶けたところをナイフで削ぎ、茹でたジャガイモと一緒に頂く。
付け合わせにはピクルスを、チーズが冷えて固まる前の熱々のうちに食べること。
チーズと相性が良いのは白ワイン。スイス産のワインをぜひ味わっていただきたい。
筆者がいつもここで食べるのがクレームシュニッテ。たっぷりのクリームとサクサクのミルフィーユが絶品。こってり濃厚なのでハーブティーをチョイスすべし。
お得に鉄道を利用できるスイストラベルパスを使い、ロープウェイと登山鉄道を組み合わして移動すれば、今まで以上にユングフラウ地方を効率よく快適に過ごす時間が充実するだろう。
ゴンドラを使い最速で行くもよし、電車でゆったりと車窓を楽しんで行くもよし。目的地とアクティビティーで交通手段の使い分けをし、楽しみ方の選択肢が増えた。
現状は海外旅行が当分難しい状況ではあるが、写真を通じてスイスからの雰囲気を少しでも感じて頂き、癒しのひと時となれば何よりだ。
ユングフラウエリア情報 https://www.jungfrau.ch/en-gb/
お得な交通パスの情報 https://www.myswitzerland.com/