パロの北東の山中にある、ブータンでももっとも重要な聖地の一つ、タクツァン僧院。チベットやブータンに仏教をもたらしたとされる伝説的な密教行者グル・リンポチェ(パドマサンバヴァ)は、かつて忿怒の姿で虎に乗ってこの地に飛来し、断崖絶壁にある洞窟で瞑想を行ったと伝えられています。「タク」は「虎」、「ツァン」は「隠れ家」という意味なのだそうです。
標高約3000メートルの場所にあるタクツァン僧院に行くには、山の麓から6、700メートルほどの高低差のあるトレイルを歩いて登る必要があります。さほど急峻な道ではないので、個人差はあると思いますが、高尾山に登れる程度の体力がある人なら大丈夫でしょう。
タクツァン僧院まで自分の足で歩いて登る自信のない人は、途中にあるレストハウスまで馬に乗せてもらうこともできます。ブータンの馬たちはとても小柄なので、乗せてもらうにはちょっと気が引けるかも。
森の中を歩いていると、一羽の鳥がまるで道案内をしてくれるように、行く手をぴょんぴょん跳ねながら飛んでいきました。
山道をしばらく登っていて、ふと見上げると、たなびく雲の隙間に、ちらりと見えてきました……タクツァン僧院の姿が。