ブータンでは、一般的な外国人旅行者向けのホテルのほかに、アマン・リゾートなど外資による高級リゾートホテルも続々と進出しています。それらとは異なる基準で選べる新たな滞在スタイルの選択肢となる可能性を持っているのが、エコロッジ。あらゆる面で環境に配慮しながら、ブータンならではの伝統も重視したエコロッジがあると聞き、取材させてもらうことにしました。
ワンデュ・エコロッジは、ブータンのワンデュ・ポダンという場所にある小高い山の上に、2015年にオープンしたばかりのエコロッジです。敷地内には4棟の宿泊客用コテージ(1棟につき2部屋)と、食堂などの建物があります。どの建物も可能なかぎりブータン国内で入手できる建材を使用し、伝統的な工法によって造られているそうです。実際の建設作業も地元の人たちだけで行ったとか。エコロッジの建物の背後には、周辺の村々に電力を供給するために日本の企業が設置したという風力発電プラントがありました。
ワンデュ・エコロッジのオーナー、ウゲン・ワンチュクさん。これまではガイドや写真家として活動していたそうですが、このエコロッジのプロジェクトに託す思いは並々ならぬものがあるようです。
「私たちが目指しているのは、地元のコミュニティを大切にするソーシャル・フレンドリー、伝統文化を大切にするカルチュアル・フレンドリー、環境に負担をかけないようにするエンバイロンメント・フレンドリー、そしてそれらを持続していくサスティナブル・プラクティスという4つのテーマです。こうしたコンセプトを持つエコロッジという存在は、ブータンという国の特性によく合っているのではないかと思います」と、ウゲンさんは話してくれました。